ムーンライト

麻薬中毒の母とマイアミで暮らす少年シャロン。

貧しい暮らしの中、身体も小さく、いじめの標的になっても言い返せない少年をまるで自分の息子のように暖かく見守るのは、麻薬の売人の元締めのファンだ。
学校にも家にも居場所のない少年を、無条件に受け入れてくれる男とその妻。

高校生になっても、辛い毎日が変わることはない。麻薬を買う金を母からせびられる。同性を愛するという自分の思いを奇異の目で見られる学生生活。そんな中、唯一優しい言葉をかけてくれた友人ケビン。

辛い生活が劇的に変わることはない。トラブルを起こし、少年院に入ったシャロンは結局自分を息子のように大事にしてくれたファンと同じような道を生業にすることになる。

少年、青年、そして成人・・・・シャロンが大人になっていく様子を三人の俳優が演じ分けるが、違和感を感じないのは、ストーリーが非常に淡々としたものだからだろう。
シャロンの前に広がる世界の中で、選べる道は限られたものだ。何か大きく羽ばたこうとするわけでもなく、自分の前にある道を受け入れ、日々を過ごすシャロン。
更に同性を愛する彼にとって、自分の気持ちを素直に表現することはどれだけ切なくどれだけ勇気のいることだろうか・・・・

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辛く淡々としたストーリーではあるが、見終わった後に寂しくなることはない。
ブルーを基調にした映像にどこか癒されるものがあるせいかもしれないし、どんなに辛い毎日の中にも一筋の光が感じられる瞬間があるかもしれないと思わせるものがあるせいかもしれない。

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