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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その17

2012年03月03日 | 樹木

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ヤマウルシの冬芽と葉痕

ヤマウルシの冬芽は、裸芽で茶色の毛を密生し、葉痕は大きなハート形で維管束痕がV字形に並んでいます。

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ヤマウルシ(ウルシ科)

ヤマウルシは漆器などに塗る漆をとるウルシに似て、山に生えるのでこの名があり、樹皮は白っぽく縦に裂け、樹液はかぶれます。

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クサギの冬芽と葉痕

クサギの冬芽は、裸芽で赤紫色の毛が密生し、側芽は球形で対生、葉痕の形はユニークで狐のお面のようにも見えますね。

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クサギ(クマツヅラ科)

クサギは、枝や葉を傷つけると悪臭があるのでこの名がありますが、果実は染料、根は薬用、若葉は山菜として利用価値の高い木です。樹皮は灰白色で丸い皮目がよく目立ちます。花も実も美しく、折々に楽しめる樹木の一つですね。

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ツタウルシの冬芽と葉痕

冬芽は褐色の毛におおわれた裸芽で、頂芽は長くてとがり、側芽は小さくて丸い形をしています。葉痕はハート形で維管束痕ははっきりしません。

ツル性で枝には毛が多く、気根を出して地面を這ったり、木に絡み付きよじ登っていきます。

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ツタウルシ(ウルシ科)

ツタウルシは木質のつるがツタに似ているウルシという意味でこの名があります。写真はツルから気根を出して杉の木に絡み付いたツタウルシです。

肌の弱い人はそばを通っただけでもかぶれることがあるそうですが、秋にはハッとするほど見事な紅葉を見せてくれます。

四季折々に姿を変え、一年を通して私たちの目を楽しませてくれる木々達のスタートは、小さな冬芽から始まると思うと、どんな植物も愛おしく思えます。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その16

2012年03月02日 | 樹木

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イワガラミの冬芽と葉痕

イワガラミの冬芽は、オレンジ色の芽鱗に包まれ、毛が密生し、葉痕は大きな三角形で魔法使いのおばあさんのようです。

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イワガラミ(ユキノシタ科)

イワガラミの名は、大きな岩や木に絡んで生長する生態そのものに由来。ツル性植物で写真は、気根を出してウワミズザクラの木に絡んでいます。

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アズキナシの冬芽と葉痕

アズキナシの冬芽は、水滴形で4~5枚の芽鱗に包まれつやがあり、葉痕は、半円形で維管束痕は、はっきりしません。

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アズキナシ(バラ科)

アズキナシは、果実が小豆に似て梨のような石細胞を持つのでこの名があり、山林の開けた場所に自生しています。

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アズキナシの樹皮

木肌は、黒紫色で白い皮目が散在し、あたかも目盛のように見えるので、ハカリノメ(秤目)とも呼ばれています。

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バイカツツジの冬芽と葉痕

バイカツツジの冬芽は、頂芽の周りに側芽が集まり、長卵形で先がとがっています。葉痕は心形で真ん中に維管束痕が見え、大きな口をあけて深呼吸しているようです。

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バイカツツジ(ツツジ科)

バイカツツジは、花が梅の花に似ていることからこの名がついています。裏山の一角のほとんどがバイカツツジですが葉に隠れるように花が咲くために目につきにくく、花の最盛期を見逃しています。

1週間前に今冬初めての大雪(15㎝)が降りましたが、昨日は作業をしていて汗ばむような温かさでした。陽の光が雪を溶かしポトンポトンと滴る水が、春の足音のように聞こえてきました。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その15

2012年03月01日 | 樹木

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ハクウンボクの冬芽

ハクウンボクの冬芽は、柔らかい毛が密生し、主芽と副芽(予備芽)が縦に並んでいます。

主芽が副芽を包む姿は、幼子を優しく抱くお母さんのようです。副芽は主芽が何らかの理由で生長できなかったときに代ってその役割を果たしますが、主芽が順調に生長した時には、消えてしまうそうです。

植物が万一に備えてここまで準備するとは驚きですね。

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ハクウンボクの葉痕

葉痕は、冬芽をぐるりと囲むO字形で、裸芽の冬芽を大切に守っている姿ですね。

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ハクウンボク(エゴノキ科)

ハクウンボクは、白い花が群がって咲く様子を白雲に見立ててこの名があり、樹皮は、茶褐色の縦筋が入るが、全体では黒っぽく林内ではよく目立ちます。

花期の5月、黒い木肌に垂れ下がって咲く真っ白な多数の花は白雲そのものです。

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ナツハゼの冬芽と葉痕

ナツハゼの冬芽は卵形で先がとがり、葉痕は三日月形で全体では森の小人のようです。「森のこかげで ドンジャラホイ、しゃんしゃん手拍子 足拍子 太鼓たたいて笛吹いて・・・・・♪」

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ナツハゼ(ツツジ科)

ナツハゼの樹皮は、灰褐色で縦に裂け、縦長の薄片になってはがれ、枝には腺毛が密生します。

熟したナツハゼの実のジャムは、最高の食味です。

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コシアブラの冬芽と葉痕

コシアブラの冬芽は、円錐形で先がとがり硬い芽鱗に包まれています。葉痕はV字形で枝をほぼ半周し、複雑な紋様を刻んでいます。維管束痕が多く、ネックレスで着飾ったおしゃれな姿にも見えますね。

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コシアブラ(ウコギ科)

コシアブラは、代表的な山菜の一つで、名は樹皮からとる油を漉して塗料として使ったことに由来。樹皮は平滑で楕円形の皮目が多い。

秋の黄葉は薄く抜けるような独特の色合いで、五葉の葉が逆光で見ると透けて見えます。

冬の寒さや乾燥から身を護るために、冬芽に細かい毛を密生したり、芽鱗で覆って春を待つ木々たちの、様々な冬越しの知恵には感動します。中でも、もしものために副芽を用意するハクウンボクの危機管理能力には学ぶところがありますね。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その14

2012年02月24日 | 樹木

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オオカメノキの冬芽と葉痕

冬芽は、裸芽で毛が密生し、花芽は球形で両手をあげているのは葉芽、葉脈がはっきり見えます。葉痕は三角形であどけない顔に見えますね。オオカメノキのこんな姿に出会うととても幸せな気分になります。

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オオカメノキ(スイカズラ科)

オオカメノキは、葉の形が亀の甲羅に似ていることから名がついたそうです。ムシカリの別名もあり葉が虫に食われる「虫喰われ」ことが多いことに由来するとか。早春に咲く白い花は、まもなく雑木林を明るく華やかにしてくれることでしょう。

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ツノハシバミの冬芽

ツノハシバミの冬芽は、赤みを帯びた水滴形でつやがあり美しく、冬枯れにひときわ目立っています。

網目模様の雄花の基部には小さな雌花があり、小さいながらも真っ赤に咲く花が待ちどおしいですね。

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ツノハシバミ(カバノキ科)

ツノハシバミは、ハシバミの仲間で果実に角があるのでこの名があります。9月ごろに熟した果実は、ヘーゼルナッツのような味わいで、そのまま食べることができ、学校帰りの道草で友達とよく食べたことを思い出します。

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オノオレカンバの冬芽と葉痕

冬芽は、長だ円形で先がとがり、細かい毛が密生しています。葉痕は半円形でおとなしい顔に見えますね。

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オノオレカンバ(カバノキ科)

オノオレカンバの名は、斧が折れてしまうくらい硬い木であることに由来します。

樹皮が華々しくはがれ、まっすぐに伸びる樹形はよく目立ちます。やせ地に生育する木だそうですが、つむぎの家の裏山の一角10m四方の約3分の1がオノオレカンバという森がありました。

写真の木は胸高直径約60㎝ほどです。

昨日は久しぶりに雨らしい雨が降り、木々も大地もしっとりと生き生きしていました。冬木立に命の息吹を感じます。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その13

2012年02月22日 | 樹木

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シナノキの冬芽と葉痕

冬芽は、ややいびつな形で2枚の芽鱗に包まれ、葉痕は、半円形で3個の維管束痕があります。

赤茶色の枝には、縦長の皮目が目立ちますね。

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シナノキ(シナノキ科)

シナノキの樹皮は、縦に浅く裂け「シナ皮」と呼ばれ、繊維が強く主にロープの材料とされてきました。また古くは、木の皮の繊維で布を織り衣類なども作られたそうです。

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シナノキの小枝

小枝を折ると樹皮がつながってはがれ、強靭な「シナ皮」を実感、はがした樹皮の下には、白い木肌が見えました。

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ヤマハンノキの冬芽と葉痕

ヤマハンノキの冬芽(葉芽)は、卵形で柄があり、枝から離れるようにつき、葉痕は、輪郭がはっきりしていて目玉があり、凛々しい顔つきですね。

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ヤマハンノキ(カバノキ科)

高木のため、昨年の果実や雌花序・雄花序がたくさんついていますが写真に撮ることができませんでした。

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マンサクの冬芽と葉痕

中心は、葉芽で柄があり、たくさんの毛でおおわれ、両側に球状の花芽があり、黄色い顔をのぞかせています。花芽の付け根に黒ずんだ小さな葉痕が見えます。

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マンサクの実

大きな口を開いたあんぐり表情は、昨年のマンサクの実です。その中には光沢のある黒い種が見えますね。種も温かな春を待っているのでしょうか?

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マンサク(マンサク科)

早春に山で一番早く花を咲かせて春の訪れを告げる木のために「まず咲く」がマンサクになったと言われています。

枝先には強風にも飛ばされず、いくつかのマンサクの実が残っています。

三寒四温の言葉には遠く、寒い毎日ですが、黄色い花芽をのぞかせているマンサクに、芽吹きの春を思い描いています。