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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

ツル植物 サルナシ

2012年12月06日 | 樹木

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サルナシ(マタタビ科) 落葉つる性植物

裏山のスギの植林地と雑木林の境界地に、サルナシの大木を見つけました。直径約15㎝、樹高8mほどの、かつて目にしたことのない大きさです。根元は苔むし、樹形は歴史をしのばせる趣きです。


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サルナシは、太陽の光を求めて木を伝い、幹を太くし、葉を上へ上へと広げ、樹冠を覆っては絡まった木を倒し、何年の歳月を生きてきたのでしょうか?木肌は樹齢を重ねた老木の美しさをかもしだしていました。


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ツル植物は、木に絡まって立ち上がり光合成をしながら大きくなっていきますが、不思議なことに、このサルナシは独立した一本の木のように空に向かって立っています。これほどになるまでどれだけの立ち木が犠牲になったでしょうか?


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サルナシは、木のてっぺんの方で、枝を張った他の木々に、ツルを伸ばして四方を抱き込んだ形で支えられていました。


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サルナシの花(6月)

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サルナシの実(10月)

サルナシの語源は、あまりにもおいしくて猿がすぐに食べて無くなってしまうからとか、木で完熟したサルナシの味は香りもよく、ほど良い酸味と甘みがあり最高の味わいです。

手入れが行き届かない大小迫山には、サルナシの木がいたるところで見られますが、このような大木は初めてです。林業関係者にとってツル植物は、害木であり見つかり次第駆除される運命にありますが、このサルナシの古木は命が尽きるまで見守っていきたいと思います。


ツル植物 フジ

2012年12月04日 | 樹木

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フジ(マメ科)つる性落葉木本

昨日、長年手入れしていない山に入り、旺盛な繁殖力で勢力を広げ、木々をなぎ倒しているフジの根元切りをしました。

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腿の太さほどもあるフジ

何年の歳月が流れているのでしょうか?年輪を刻まないフジの切り口からは年数は分かりませんが推定20~30年は経っているものと思われます。


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高木を左巻きに絡んで生長するフジ。


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高木のイヌシデよりもフジが太くなり、左巻きに絡んでシデの樹冠を覆っています。このまま放置すれば間もなくイヌシデは引き倒されてしまうでしょう。


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このフジの周りの赤松4本は、全て倒木となり朽ちかかっていました。アカマツに絡まって生長したフジがマツの樹冠を覆い枯らし、アカマツと一緒に共倒れしたものの地を這い、次の赤松に移って再びよじ登り生長して絞め殺すという戦略で、この地では4本の赤松が倒され大きなギャップができていました。

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コナラに巻きついたフジ

身体をくゆらせ自由自在に回転しながら高木に絡んで生長す様は自然の芸術でもあり、切るか切らないで残すか悩むところです。曲線美がいいですね。

広葉樹の森やスギ植林地との境目、山の境界地にはフジが多く、繁殖を広げていました。山仕事師には、本来ならツル植物は敵と言う考えでツル切りをするのでしょうが、林業経営が成り立たない現状では、ツル植物が造りだす芸術性を楽しみながら、山仕事をしようと思いました。


裏山の樹木の花

2012年06月26日 | 樹木

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バイカツツジ(ツツジ科)

バイカツツジは花を、梅の花に見立てた名前。

直径2㎝ほどの小さな花で3本の長い雄しべと2本の短い雄しべがあり、白い花の上部に紅紫の斑点をつけ、葉っぱの下でつつましやかに咲き誇っていました。

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バイカツツジは落葉低木で高さ2m前後、高木の木々の木漏れ日の中で、ひそかにハナバチを待っています。

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受粉を終えた花が、笹の葉の上に散り、ゆりかごのように風に揺られていたバイカツツジ。

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ウツギ(ユキノシタ科)

ウツギは枝を折ると中が空っぽなのでこの名があり、ウノハナ(卯の花)とも呼ばれています。清楚な花の中心に、黒くなるほど小さな虫たちが集まっていました。

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コバノガマズミ(スイカズラ科)

白く小さな花の中心から飛び出した雄しべや花柱が、線香花火のように四方に広がり、華やかです。

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ナツハゼ(ツツジ科)

ナツハゼは、夏にハゼノキのような紅葉がみられることから名づけられました。

花は、下向きに釣鐘状に咲き、先端は浅く切れ込み、反り返る。まだ花は咲き切っていませんが下から覗くと10本のオレンジ色の雄しべが目立っています。晩秋には黒色に熟した果実の、甘酸っぱい味が楽しめます。昨年は熟した実でジャムをつくり、純日本産ブルーベリージャムとでもいうのでしょうか。色もよくジャムとしては最高の味わいを楽しみました。

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落葉低木のナツハゼのある森は、まわりの木が高木になり日当たりが悪くなってきています。ナツハゼの幹の根元から出ていた脇枝を4月に挿し木してみました。今では葉が展開し、どうにか根付いたようです。実がつくまでには何年もかかるでしょうがたくさんのナツハゼジャムづくりを夢見ています。

バイカツツジやナツハゼの花をせわしなく飛び回るハナバチたちの活動が一段と活発になってきました。森に入るとさまざまな花の香りに誘われ私自身も酔いしれます。


「イワテヤマナシ」の花が咲きました

2012年05月23日 | 樹木

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つむぎの家の里山に、宮沢賢治の童話に出てくるイワテヤマナシの花が咲きました。花びらが散ったものやヤマナシの実がついたものが見えますので、花の時期としては少々さかりを過ぎたようです。

*宮沢賢治の ”ヤマナシ”  ~小さな谷川の底を移した二枚の幻燈です。~

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旧棚田のそばにある、高木になったヤマナシの木。

かつて棚田を耕作していたころ、稲刈りの時期にヤマナシを食べたと言う話を聞きました。小さなナシで味はさほどではないが、香りがよくジャムなどに加工することで美味しさが増すと言うことでした。減反政策で米作りをしなくなってから、かれこれ40年が経過、樹齢およそ60年は経っているでしょうか。

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旧棚田は、非耕作地になってから、クリの木を植えましたが、長年放置された栗林は、雑木や笹が生い茂り、鹿のエサ場になっていました。そこで今年の1月に、クリの木を伐採、間伐等の整備事業を行い、棚田の風景を再現しました。これはその時の写真ですが、ヤマナシの木の周辺の木々も伐採・整備し、日当たりをよくしました。

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中央に立っているのがヤマナシの木ですが、太いフジヅルに覆われていました。上方に絡まったフジヅルが切られ、宙ぶらりんと浮いています。(24/1月撮影)

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今年、ようやく日の目を見たヤマナシの木は、ポツリポツリですが白い清楚な花をつけました。実りの秋のヤマナシが楽しみです。

ヤマナシの木から十数メートル離れたところに谷川があり、今年、水辺環境の整備事業も行い、清らかな水が流れています。宮沢賢治の童話に比べると、谷川の水量は少ないですが、童話の世界をイメージ出来る里山環境が再生できました。ヤマナシの実が食べられるころに、子どもたちと一緒に、賢治の世界に浸ってみたいと思います。


冬越しの木々 冬芽と葉痕  その22

2012年03月25日 | 樹木

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ツリバナの冬芽

ツリバナの冬芽は、枝の先端に頂芽を1個付け槍のようにとがり、側芽は頂芽よりやや小さく、対生しています。

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ツリバナの葉痕

葉痕は半円形で、枝の半分くらいと小さく全体では”とんがり帽子におちょぼ口”の風貌です。

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ツリバナ(ニシキギ科)

ツリバナの名は、花や果実が垂れ下がっていることに由来、秋の紅葉も美しいが、落葉後、つり下がった赤い果皮が枝に残り、風に揺らぐ様は何とも愛らしい。

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ドウダンツツジの冬芽と葉痕

冬芽は、ふっくらとした水滴形、葉痕は三角形、1個の維管束痕が目立ちますね。

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ドウダンツツジ(ツツジ科)

ドウダンツツジの名は、灯台ツツジから転じたものと言われています。秋は見事な紅葉で、雑木林の中で存在をひときわアピールすることでしょう。

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ウラジロノキの冬芽と葉痕

ウラジロノキの冬芽は卵形でつやがあり、白い綿毛をまとっています。特に1年生の枝は、冬芽も枝も綿帽子をかぶったようなふわふわした毛の装いです。葉痕はV字形で盛り上がっています。

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ウラジロノキ(バラ科)

ウラジロノキは、葉裏に白い毛を密生させて、白く見えることに由来。樹皮は若木では平滑ですが、老木では皮目が縦に連なって筋状に裂け、特徴のある木肌を見せ、目立った存在です。

木の芽起こしの雨が降り、マンサクの花が咲き、カエデ類の芽は動き出してきています。春はもうすぐそこですね。