ヤギの「ユキちゃん」は、どうやらつむぎの家に慣れてきたようです。
連日会いに来てくれた5年生の女の子たちにもすっかりなつき、口元を寄せて親しみの表現をするようになりました。リノちゃんが近づくと、優しい目つきで顔をなめようとしましたが、リノちゃんは反射的に身を引いています。
昨日は、川の水質調査のために、山の中に入ることになり、暑い中”ユキちゃん”と遊んでいたユウナちゃんとミオちゃんに声をかけると、一緒に山に入りたいと言うのでみんなで小川に向かおうとしました。
すると突然、柵の中にいた”ユキちゃん”が、肢を折り長い首を曲げて身を乗り出し、柵のすき間から這い出てきて「私を一人にしないで!」とでもいうように後を追ってくるではありませんか。仕方がないので一緒に連れて行くことにしました。
始めて外に出たユキちゃんは、まるで人に歩調を合わせるように、気品よく川べりの林道を歩いていきました。
川べりの木につないで、水質調査をしている間、初めての景色に興味津々、少々興奮気味に目をきょろきょろさせながら周囲を歩き回っていました。
傍に寄ってきたユキちゃんにミオちゃんが、両手で水をすくってあげると顔をすくめて飲んでいました。
人の動きにも興味を示し、川に入って遊んでいた子どもたちの様子をよく観察していて、ユキちやんも川に下り前足を水につけて感触を試していました、があまりの冷たさにとっさに肢をひっこめ、その動作が愛らしく、無邪気な幼子の好奇心にも似た行動に笑みがこぼれました。
川べりに腰を下ろして、タオルで靴をふく動作を後ろから覗き込むように見つめられたユウナちゃんは驚きの表情で振り返っています。
この日の夕方、ホタル観察に来た子どもたちから餌をもらうユキちゃん。
小屋で横たわっていたのですが、子どもたちの声を聞きつけ、小屋から出てきました。長い首に長い耳、整ったプロポーションで気品のあるユキちゃんは、子どもたちの人気者です。
ヤマトが大好きで、ユキちゃんと初対面のホナちゃんは、「ヤマトよりも人気者になるかも」と心配顔でつぶやいていました。
ホナちゃんの妹のサッちやんは、ますますユキちゃんが好きになったようで、イタヤカエデの葉をせっせとユキちゃんに食べさせていました。
でも、ホタル観察の後は、しっかりヤマトとも触れ合ってから家路へと向かった心優しい子どもたちです。
新しいものに興味を示し、人が好きで姿が見えなくなると後追いをする甘えん坊のユキちゃんは、思いのほか手がかかりますが、可愛いさは想像以上です。
日中は、寂しくないようにヤギ小屋にラジオをつけっぱなしにしていますが、やはり人恋しいようです。