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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

北限の手もみ茶づくり

2012年06月12日 | 里山再生

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岩手の気仙地方は、お茶の北限といわれていました。つむぎの家の里山にも樹齢100年以上のお茶の木があります。

田んぼの除草や子どもたちの植樹体験、自然の生き物探しなど、忙しさにかまけており、また、雨などのため天候にも恵まれず、茶摘みの適時を逸してしまいましたが、昨日、朝から晴れあがり、初夏の香りを楽しむだけでもと急遽、茶摘みをしました。

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摘んできた茶葉を広げ、ごみや古葉を取り除き,蒸し上げ、うちわで扇ぎながら水分を蒸発させます。

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蒸した茶葉を、60度ぐらいの鉄板(じょたん・助譚)の上で風を入れもみながら乾燥させます。

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約1時間半ぐらいで、葉の形がなくなり縮れて小さくなってきました。

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次に、ホイロ(茶葉を乾燥させるための囲炉裏)に移し、和紙で作られた助譚の上で1時間半ほど揉みながら乾燥すると手もみ茶の出来上がりです。

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お茶づくりをしていると、担任と一緒に3年生が大豆の観察につむぎの家にがやってきました。お茶づくりを始めてみた子どもたちに、「これがお茶になるんだよ。ちょっと口に含んでごらん」といって差し出すと、興味津々。口に含んだソウキ君、「苦い!」と顔をしかめたので、「じっくり味わってごらん」というと、ミオちゃんとキョウセイ君は「おいしい!」との声が返ってきました。

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ちょうど良いチャンスなので、蒸した茶葉を乾燥する体験をしてもらいました。

助譚の上で茶葉をもみながら振るい落とすしぐさを、担任の先生が優しく見守っています。担任も子どもたちも、昔ながらの道具での、茶づくり初体験に目を輝かせていました。

ちょっと時期を逸した茶づくりでしたが、小さな来訪者の手に揉まれた新茶の出来具合は、どんな味がするか楽しみです。昨年は、助譚での揉みと乾燥が足りず、茶葉が細くならず色も黒ずんでしまいましたが、今回は、まずまずの出来上がりかなと思っています。でも、お茶づくりは、なかなか思うようには出来上がらないのが現状です。先人からお茶づくりのノウハウを学んでおけばと、悔やんでいますが、これからもチャレンジしながら、次世代に伝えていければ良いのかなと思っています。


メダカを放流

2012年02月12日 | 里山再生

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先日、ため池にメダカを放流しました。このため池は、「冬水田んぼ」を始めた水田へと絶えず水が流れていますが、田んぼから川への放水は細かいネットで、メダカの流出を防ぐことができます。

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小川にも放流しました。今年の里山整備により、小川の周辺がとても明るくなりました。この小川の下流には2つの砂防堤があり、大洪水以外は本流へのメダカの流出を防げる環境です。

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無農薬栽培のコメ作りを初めてから、里山に自然と生き物が戻ってきました。ヘイケボタルをはじめヤゴやオタマジャクシやクモの多い田んぼへと変わってきていますが、絶滅してしまったものを再生するには長い時間かかりそうです。

昨年、近くの綾里小学校に、圃場を解放してから、子どもたちがつむぎの家に遊びに来るようになり、小さなバケツを抱えて一日中、田んぼやため池で、カエルやオタマジャクシを捕まえて遊んでいた子どもたちの無邪気な姿に、学童期の自分の姿が重なり、かつての日本の原風景を再現したい思いに駆られました。

童謡「春の小川」や「めだかの学校」を口ずさむ自然が目の前に広がり、メダカを追いかけ、泥んこになって生き物と戯れ、時を忘れて遊んでいた日本の原風景です。メダカの放流には、課題もありますが、自然の中で泳ぐメダカと触れ合う子供たちの笑顔を思い描き、寒い時期の放流ですが、「めだかの学校は~ 川のなか~ そーっとのぞいてみてごらん ~♪♪」と今夏は、メダカが繁殖し、童謡と共に子どもたちの歓声が里山に響き渡ることを願っています。


カタクリ山の整備

2012年01月21日 | 里山再生

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厳しい寒さの中で雪らしい雪も、雨も降らず乾燥が続いている三陸ですが、春を呼ぶ陽光を感じ、カタクリ山の笹刈をしました。

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ササを片付けた後は、一面が落葉落枝の赤茶けた山肌になりましたが、ここに息づく生き物たちが顔を出しました。

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「この時を待ってました」とでも言うように、ササ隠れしていたツルリンドウが微笑んでいるようです。

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シュンランも顔をのぞかせました。鹿が大好きで、食害の跡が見えます。

昨年はほとんど食べつくされました。

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オモトの赤い実が冬枯れに彩りを添えてくれています。

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少なくなったと思っていたアキノギンリョウソウの咲枯れも見られ、嬉しくなりました。

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窪地には、アオダイショウと思われる抜け殻があり、取り出して長さを測ってみると、乾燥してねじれた状態で約50㎝ありました。

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蛇の抜け殻のすぐ隣には、直径20㎝ほどの小さなスズメバチの巣がありました。

蛇の脱皮が先か、スズメバチの営巣が先か、それとも一緒?などと想像しながら、間もなくやってくる春のにぎわいに思いを巡らせています。


里山整備第2弾-ご支援くださいました皆様、ありがとうございました-

2011年12月28日 | 里山再生

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12月の6日から始めました里山整備第2弾の、年内作業を昨日(27日)終えました。大槌から3人の山仕事のプロが片道約2時間の道のりを毎日(日曜、祭日は休み)通ってきてくれました。

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今回の里山整備のコンセプトは、生き物で賑わう水辺環境の整備と子どもたちの遊び環境を整えることを主眼に取り組みました。

約50年前に棚田であった斜面を減反政策で栗林に転換し、約30本の栗の木が植えられていた約30アールの場所です。長い間放置され、栗の実は鹿の餌になり、田んぼは遷移が進み斜面上のほうの田は雑木林やススキ、チカラシバ、アズマネザサのジャングルで、下の方は水田の名残が残り湿地にショウブが生えていました。

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アズマネザサに囲まれた栗の木(10月)

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栗の木の回りのササを刈り払い、子どもたちの木登り用の木として残しておきました。

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棚田跡の上方には、ハンノキやイヌシデなどの雑木が生い茂っていました。

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雑木の間伐をして、明るくすっきりとした雑木林になりました。

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栗の木の多くは立ち枯れしており、生きている木も下の枝が枯れていたりして、栗の実は鹿の餌になっていたので、その中で威勢がよく、木登りに適している樹形の栗の木2本を残して、すべて伐採しました。

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栗の木の年輪を数えてみると、棚田を栗林に転換してから推定42年の歳月が流れていました。

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棚田のそばを流れる川辺。水量はそれほど多くはありませんが、切れることなく流れている沢の水です。その川べりはコクサギやつる性植物でおおわれていました。

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川べりの雑木を切り、すっきりと明るい川になりました。

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子どもたちが川に下りて、水遊びできる環境になり、ユウト君は竹筒で沢の水を汲んで飲もうとしています。

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棚田の土手を転がって遊ぶソウキ君、ササの切り株が痛いだろうにとの心配をよそにコロコロ回転。

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一緒に歩いていたユウト君が突然走りだし、枝下ろしをした杉の木をすいすい上ってVサイン。

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棚田の上のほうから里地の方向を見た里山整備後の景色。

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棚田中段から山奥を見た里山整備後の景色。

整備された里地・里山で、今後、子どもたちはどんな遊びを創作・演出してくれるでしょうか?

昨年は、林野庁の森林づくり国民運動に応募し、採択された助成金で母屋周辺の約2haの里地・里山整備を行いました。今年は、あの東日本大震災で綾里地区も大きな被害に遭いました。その中で、多くの方々から「つむぎの家」にもお見舞金をいただきました。この見舞金を、「生き物で賑わう里山づくりと、次代を担う子供たちが、自然に触れ合いながら冒険遊びができる環境」の場を整えるための活動資金として活用させていただきました。

本来ならばご支援いただいた皆様一人ひとりに、お礼とご報告を差し上げなければなりませんが、本ブログ上でその一部を報告させていただきました。

震災後10か月が経過しようとしています。地域では復興に向けて、ゆっくりではありますが歩んでいます。「つむぎの家」でも、次世代を担う子どもたちのために、ささやかですが自然と触れ合う環境づくりに努めてきています。ブログ上でのご報告で失礼しますが、多くの方々のご支援に心より御礼申し上げますとともに、来年は良い年になりますようお祈り申し上げます。