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ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

問題の立て方

2014-08-25 07:20:36 | Weblog

「問題の立て方」8月19日
 『中学校に警察 是か非か』という見出しの記事が掲載されました。記事は、『4~6月、埼玉県内の男子中学生6人が、教諭への暴行や傷害の容疑で同県警に相次いで逮捕されていたことが分かった。いずれも「胸ぐらをつかんだ」「胸を殴った」などで学校側が通報し、警察官が現行犯で逮捕した。被害の程度軽いケースでも学校への警察介入を進めるべきなのか』という書き出しで始まっています。
 私は、是か非かという以前に、問題設定のあり方について興味をもちました。まず、中学校という限定の仕方についてです。高校以上であれば、「警察介入」は当然であるという前提なのでしょうか。小学校では、「警察介入」は当然だという意識なのでしょうか。私が教委に勤務していたときには、小学校の高学年の子供にけがをさせられた教員がいました。私は被害届を出すように指導しましたが、小学生は小さくて非力だから殴られても教員は我慢できるはずという発想なのだとしたら、あまりにも現場を知らないと言わざるを得ないと思います。
 また、「警察介入」という表現はどうなのでしょうか。介入という言葉には否定的なニュアンスが込められています。いじめや不登校の問題にはカウンセラーが関わることが必要という言い方をし、カウンセラーが介入すべきという言い方はあまりしません。「介入」という表現を使うことによって、警察が関わることに対して否定的方向に誘導しようという意図を感じてしまうのは私だけでしょうか。例えば、連携という表現であれば、大分印象が異なると思うのですが。
 さらに、「被害の程度が軽いケース」という条件提示についても疑問があります。私は教員が暴行を受けた場合、診断書をとるように指導してきました。診断書というのは、とてつもなく軽いけがでも作成されるものです。立場は逆ですが、教員の体罰事例では、担任の男性教員が整列しない子供の手をつかんで引っ張ったという事例で、子供の母親は全治3日という診断書をつきつけてきました。校長の目視では、子供の二の腕に教員の指の跡が3つついていたという程度で、翌日には跡形もなくなっていたそうです。
 もし、記事で『胸を殴るなどした』とある事例で教員が直ちに医師の診断を受ければ、全治○日の打撲傷という診断書がつくられて可能性は極めて高いと思います。そうであれば、それは軽いケースではなくなるのでしょうか。
 私は「警察との連携」を強く支持する立場です。もちろん違う考えの方がいることは理解していますが、少なくとも偏った問の立て方でミスリードするのはやめてほしいと思っています。
 最後に、教育評論家尾木直樹氏のコメントにある、『生徒の評価権という絶対的権限を持つ教諭が~』について一言言っておきたいと思います。教員の評価権は、評価を気にする子供に対してのみ影響力をもちます。教員の暴力をふるう生徒は、教員の評価を気にして憚ることがない生徒がほとんどであるという事実に目をつむってしまっては、議論を誤ります。
 

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