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ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

頼りにならない

2016-11-29 07:39:45 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「大人の自覚」11月24日
 『いじめ止めよう はなわさん講演』という見出しの記事が掲載されました。警視庁新宿署が開いた「いじめ防止キャンペーン」についての記事です。その中で講師を務めた一人である新宿調理師専門学校の上神田梅雄学校長の言葉が紹介されていました。『大人が頼りにされていないから陰湿ないじめが起きる。子どもたちを命がけで守る責任感を持つべきだ』というものです。
 上神田氏は、ご長女がかつていじめに遭っていたという経験をもつ方のようです。ですからここで言う「大人」とは、教員に限定したことではなく、保護者を含む大人全体を意味していると解するべきだと思います。
 その上で、大人が頼りにされていない、という指摘について考えてみたいと思います。いじめを起こすのは加害者の子供たちです。彼らにいじめをしよう、しても大丈夫だと思わせるのが大人の頼りなさということになります。
 まず、大人社会にもいじめがあること、大人がいじめを肯定もしくは是認するような言動をしていることがいじめの誘因になるということです。子供と接することがある大人は、この点で自らの言動を振り返り反省する必要があるということです。
 次に、いじめは悪いことであり、いじめが発覚したら加害者である自分たちが厳しい罰を受けるという認識がいじめのブレーキ役を果たすはずなのに、有効に作用していないという点です。子供たちがこうした認識をもってしまうのは、それまでの「学習」の結果です。つまり、過去に目にしたいじめ問題において、喧嘩両成敗的な対応がとられるのを目にしたり、表面的な仲直りの握手で解決済みとされるのを知ったり、加害者側が強く出れば教員も周囲の子供も黙ってしまうという状況を経験してきたり、保護者やPTA関係者など外部の大人が介入してくることによって問題の責任が曖昧になる例を見聞きしたりというような、悪しき事例を繰り返し体験することで、いじめをしても大丈夫という価値観を育ててしまうのです。
 さらにこうした悪しき「学習」は、加害者だけでなく、被害者にも悪影響を与えます。つまり、いじめのターゲットにされたらもう誰も助けてくれない、という諦めを生むのです。そして、被害者からの反撃がないことを見越した加害者のより深刻ないじめを誘発するという悪循環を生むのです。
 この「ターゲットにされたら助からない」という認識は、いわゆる傍観者層にも、うかつに手を出せば自分がやられるという恐怖感となって、結果としていじめ問題を深刻化させます。
 大人、特に教員は自分の責任をどれだけ自覚しているのでしょうか。

 

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