ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

「環境を守りたいという思い」と「できること」と「やらなければならないこと」

2023年02月28日 | 11. ≪スタッフコラム≫

◎ ◎ ◎ スタッフコラム ◎ ◎ ◎

2022年度が終わろうとしています。

“Yui-Tool ingin melindungi lingkungan”, “apa yang dapat kami lakukan”, dan “apa yang harus kita lakukan”.

(2023年2月20日の梅。東京にて)

これからのことを考えています。

結局、新しいプロジェクト「自然学校づくり」に新規の予算を取ることはできず、来年度も少ない予算での活動を余儀なくされそうです。

今取り組んでいる「マングローブ林での持続可能な観光開発プロジェクト」をもっと発展させたい、とも考えています。

私は、ロンボク島のプラスチックごみを減らしたいと思っています。

マングローブ林に注目したのは、ロンボクではまだまだマングローブ観光が発展していないから。

せっかくポテンシャルがあるのに、プラスチックごみを海に流れ出るままにして、観光地を汚してしまっている現状。

マングローブを守りながら観光に利用して、訪れる人にも環境の大切さを伝えることができるのに、できていない現状。

「環境を守りたい」という思いがあるから、私はゆいツールを立ち上げました。

環境を守る方法はひとつではありません。

クリーンアップ活動は直接的な活動です。

魅力的な啓発イベントを実施する、という手もあります。(東京では、毎年4月に渋谷の代々木公園で『アースディ東京』という野外イベントが開催されます)

ナショナル・トラスト活動と言って、豊かな自然やきれいな景色を守る目的で、行政が保護区にできない土地などを開発などから守るために、民間で買い取って守る、という方法もあります。

SDGsのように、企業などに「持続可能な社会」への視点を持ってもらい、商品の原材料、商品の流通、商品が利用されて破棄された後のことなど、様々な段階で、企業が努力すべきことが実はたくさんあることに気づいて改善を促す、という方法もあります。

FSCやMSC、RSPOなど、様々な認証を示すエコラベルがあり、それらを意識して消費者が商品を選ぶこともできます。

(エコラベルについては、WWFのこちらのページをご参照ください)

木の苗を植えて、森を増やす、というやり方もあります。

ゆいツールができることは「環境教育」です。自ら参加型プログラムを開発することもできます。

2021年度には、「マングローブ林環境教育プログラムツール」を開発しました。

西ロンボク バゲッ・クンバールで内陸の村の子供たち向けに実施(2022年2月)

西ロンボク 南レンバール村の子供たちに実施(2022年3月)

東ロンボク ギリ・ランプの子供たちに実施(2022年3月)

今ゆいツールは、マングローブ林周辺に暮らす村人への環境教育の必要性を痛感しています。

もっと広げれば、ロンボク島の住民にマングローブ林の大切さを伝え、日々無頓着に捨てているプラスチックごみが海の生きものたちの暮らしを脅かしていることも強調したいです。

そして、12月にヒヤリングしたロンボクの大学の先生テジョ教授が言っていたことを思い出します。(ヒヤリングの内容

環境を守ることを伝えるだけでは不十分で、住民の生活が向上するような工夫をすること。

私は、マングローブ林を守ることと、観光開発をセットにしたいと考えました。

やみくもな開発ではなく、「持続可能な観光の開発」です。

それは、観光を発展させるとごみが増えたり自然や文化が壊されたり、地域の外へお金が流れていくような開発ではなくて、自然を守りながら、訪れた人に環境の大切さを伝えることができ、地域の文化を尊重し、村の経済が発展するような開発です。

マングローブ観光地にガイドを置いて、訪問者を案内することで収入が得られるようにしたり、地域の特産をお土産にして売って村の人の暮らしがよくなるようにしたり、学校団体を受け入れて子供たちに環境教育を行ったり(学校へプログラムを販売する)。

それから、今ひとつアイデアがあります。「カニの養殖プログラム」です。

ビジネスだけが目的の事業ではありません。

西ロンボクのバゲッ・クンバールというマングローブ植林地では、カニがよく捕れます。

外から来た人がカニを捕っている現状があります。

バゲッ・クンバールの観光チームリーダーのアグスさんは、カニが捕りつくされてマングローブ林のエコシステムのバランスが崩れるしまうことを心配しています。

カニの養殖がうまくいったら野生のカニを守ることができ、お土産や食事での提供により村の人たちの生計向上も期待できます。

「カニの養殖プログラム」は、ゆいツールのノウハウでできることではありません。

でも、マングローブ林のエコシステムを守るための全体のプロジェクトの中に、それらの取り組みを位置づけ、必要な専門家や実施部隊(観光チームメンバー)をコーディネートして、プロジェクトを進めていくことはできます。

事業に関わる人たちに環境教育を提供し、ただ作業をするだけ、とならないようにすることもできます。

バゲッ・クンバールではマングローブの植林が行われますが、残念なのは苗を植えた後のプラスチックのポットをきちんと回収できていないことです。植林を手伝う村人(手間賃が支払われます)は、苗を植えるという作業のことしか考えません。

マングローブが育ったら魚やカニやエビが豊かになり、人間の暮らしも豊かになるだろう、というところまでは考えているかもしれません。

でも、苗木を育てたポットをポイ捨てして海に流れ出して、それが生きものたちの生存を脅かしたり、最終的に自分たち自身へ害を与えることになるのだ、ということまで考えません。

事業に携わる人たちに、本当の目的をきちんと共有することが大切です。(ここで環境教育の出番です)

それから、マングローブ林を守り育てていくことは、20年30年のスパンで取り組むべき課題ですが、小さな小さなNPOがその責任を背負うことはできません。でも、環境は守っていかなければいけません。

どうしたらいいのでしょう。

国や、国にぶら下がっている大きな組織が、何かやってくれるのを待っていることしかできないのでしょうか。

環境を守りたい。できることは小さい。動かせるお金も小さい。

でも、やらなければならないことは、もっともっと大きなことなのです。(山)

(東京・江戸川区の海の風景)

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