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今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

食糧管理法公布記念日

2007-02-21 | 記念日
1942(昭和17)年の今日(2月21日)は、「食糧管理法公布記念日」。
食糧管理制度などという言葉を知っている人はもう少なくなってきただろう。食糧管理制度とは、東條内閣の頃、1942(昭和17)年に制定の「食糧管理法」(昭和17年法律第40号。いわゆる「食管法」)に基づき創設されたものである。字を見れば分かるように、「しょくりょう」の漢字は、”食料”ではなく”食糧”が使われており、この「食糧」とは、米や麦などの主食を意味している。これに対して、よく見かける「食料」は、主食以外の食品や食品材料などを指している。内容は、日本における主食である米や麦などの主食糧の生産・流通・消費にわたって政府が介入して管理するというものであり、目的は食糧の需給と価格の安定にあった。
1942(昭和17)年と言う年を振り返ってみると、前年の1941(昭和16)年12月に真珠湾攻撃で、日本は太平洋戦争に突入した。明けて1942(昭和17)年1月、日本はマニラを占領、更にシンガポールを占領・・・と緒戦のうちは怒涛の勢いであった。しかし、その反面、若い男性は殆ど徴用され、衣・食・住全ての物資が軍事優先となり、それでなくても欠乏していた生活物資が極度に欠乏するようになる。例えば、2月1日には衣料の点数切符制が実施され、都市部では、1戸で年100点と定められた。この時背広は50点であった。食べ物に関しては、さらに深刻で、2月1日には、みそ、醤油、塩が配給制となっている。このようなときに、この法律は、それまでの米穀法(大正10年法律第36号)に代わって施行されていた、米穀統制法(昭和8年法律第24号)を廃止して制定されたのである。つまり、生産された米は、農家の自家用分を除きそのすべてを政府が買入れ、それを国民に公平に配給するためのシステムを制度化したもので、米の集荷・卸・小売りのすべての流通ルートを国が指定し、米の買入価格や販売価格までもすべて国が定めたのである。
この年、4月には、パンも配給になった。それでも間に合わず、7月には、食料管理施行令を実施して、米だけでなく、麦や雑穀、ジャガイモなども強制的に管理しようとし、10月には、家庭用蔬菜(そさい)を登録制にして、野菜不足をいくらかでも緩和しようとはかったが、効果は殆どなかったという。こうして、生活物資の払底はますます深刻化した。配給米にトウモロコシが混ぜられ、米のとぎ汁が洗剤の代用品となったのもこのころである。(朝日クロニカル「週間20世紀」)
よくもま~、こんな物資不足の中で、資源の豊富な大国アメリカに戦争を仕掛けたものだと今更ながらに、感心するよ・・・\(◎o◎)/!。
1945(昭和20)年、戦争は終わっても食糧難は続き、1960年代頃までは、米は国内生産では足りず輸入を繰り返していた。そのため戦時下で作られた「食管法」も有効に機能し、乏しい米を国民が分け合うことが続いたわけである。
しかし、1970年代には日本人の食生活もパン食の増加、米も量より質への変化、外食の増加などと変化し、その影響で消費量が伸びず米が余るようになり、備蓄米が年間生産相当量まで達する事態も生じ、政府も、在庫米を多く抱えて、国の赤字が大きくなった。その反面、1993(平成5)年には、日本における記録的な冷夏による米不足現象(1993年米騒動)が起こり、その影響で同年後半から翌1994年にかけて日本国内の米が著しい供給不足(コメ不足)となり、価格の暴騰・外国産米の緊急輸入などが起きて食糧管理制度の脆弱性に対する非難が増加した。このため、政府による管理を強化する一方、農家でも米を直接販売できるようにするなど、政府はそれまでの方針と異なる方向への運用改善を余儀なくされた。
そして、1994(平成6)年12月14日、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(いわゆる食糧法)を公布、一部の条項を除き翌1995年11月1日に施行され、これに伴い食糧管理法は廃止となった。また、制度の呼称としての「食糧管理制度」も内容の変更に沿って「食糧制度」に改められた。また、2004年4月1日、食糧法を大幅に改正し、従来からの農業従事者に限らず誰でも自由に米を販売したり流通させることが出来るようにするとともに、政府が主導して推進してきた減反政策もやめることとなった。この大幅改正後の食糧法は、それまでの食糧法と区別するため「新食糧法」あるいは「改正食糧法」と呼称されている。(最終改正:平成18年6月21日法律第九〇号)
この食糧法改正は,生産者(米作り農家)の競争力を付けるために、「おいしい米」「安い米」を売りやすくした仕組みといえ、これによって、安い米や、美味しい米も自由に売買されるようになる。しかし、日本の狭い田で細々と米作りをしているところや、特長のない米を作っているところは競争力がないために収入が減り、米作りを諦めところも出てくるだろうと言われている。特に高齢者が多い地域では自家米の生産以外にお米を作られなくなるのではないかとも考えられている。米の自由化には、現在も農家を守るために、高い「関税」をかけている(2004年490%)。関税は年々下げていく約束をしているものの輸出国からは「それでは遅い」といわれており、政府はミニマムアクセスとして、「最低限これだけは買いますよ」という約束をしているが、それも足りないと圧力を掛けられており、いずれ、自由化に近い形になり、外国からも安くておいしい米が他の製品と同じ様に大量に入ってくるようになるだろう。これらは、消費者にとっては大歓迎されることであろう。しかし、輸入が途絶えたり、お米の生産が下がれば値段が暴騰することだってありうる。現に、近年、中国やインドなどの国が経済面でも急成長を遂げているが、これらの国の人口は、中国 が世界1で13億2千万人、インドが2位で11億人 である。これは、この2国で、世界人口65億7千万人の実に、37%を占めているのである。へんな言い方だが、今まで、経済成長が遅れた国のなどを食料としていた人たちが、経済的に豊かとなり、肉食をするようになると、食糧不足が一気に進むだろう。その上に、地球の温暖化が食料の生産に影響を与えている。そして、日本など先進国は少子高齢化と言っても後進国では人口が著しく増加しているのである。そのようなことを考えると、日本の米の自給率の低下などが予測されるのは、手放しで喜んでばかりはいられない。
(画像は稲。フリー百科事典Wikipediaより)
参考:
食糧管理制度-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E7%B3%A7%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%B3%95
農林水産省・総合食料局
http://www.syokuryo.maff.go.jp/index.html
新食糧法の制定/予防法務研究会HP
http://www.soyokaze-law.jp/78-1.htm
中野文庫 - 米穀統制法
http://www.geocities.jp/nakanolib/hou/hs08-24.htm
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H06/H06HO113.html
お米あれこれ百科
http://okomearekore.com/
世界の人口
http://arkot.com/jinkou/
世界がかかえる食糧問題、日本かかえる食糧問題
http://www.ecology.or.jp/crisis/9911/happyou1.html
地球は今バックナンバー(深刻な食糧問題 パート1~3)
http://www.ecology.or.jp/earthnow/index.html