今日（4月13日）は、「喫茶店の日」
今日の記念日を調べていると、1888(明治21)年、東京・上野に喫茶店「可否茶館」が日本で始めて開業した。1階がビリヤード場、2階が喫茶室の2階建て洋館で、1杯2銭の牛乳よりも安い1銭5厘で提供していた。日本初の喫茶店であるとの根拠は、明治21年4月13日付けの読売新聞に開業案内広告が出ていることによるという。勿論、日本にも古くから「茶屋」や「一膳飯屋」などがあったが、ここでは明治以降に西洋文化を輸入する形で広まった珈琲などを飲ませる喫茶店を言っている。「可否茶館」は、文化的な雰囲気が味わえる場所として評判を呼び、知識人や芸術家たちが集ったようだが、結局は経営が軌道にのることなく、5年で閉店してしまったようだ。
しかし、神戸元町には、こここそが、喫茶店発祥の地だと称する老舗がある。創業明治７年の茶商「放香堂」だ。可否茶館が開店する10年前の明治11年12月26日付けの読売新聞に掲げられた神戸元町3丁目の茶商放香堂の広告には、「焦製飲料コフィー、弊店にて御飲用あるいは粉にしてお求め、ともに自由・・・・・・」とあるそうであり、そうであれば、記録上確認可能な最初の喫茶店は少なくとも「可否茶館」ではなく、神戸元町の「放香堂」こそ日本におけるコーヒーハウスないしは喫茶店の元祖とされるべきだろう。この放香堂は、今も元町で営業をしている。
コーヒーの輸入がいつごろから本格的に始まったかについては、記録がないのでハッキリしたことは分からないらしいが、江戸時代、元禄の世になった頃には日本に入っていたらしい。ただ当時まだ、コーヒー特有の苦味は飲み慣れていない日本人にとって受け入れ難いものだったようだ。それが、開国と同時に、コーヒーを日常の飲料とする欧米人が続々とやってきて、その数が増えるにしたがい、彼らの必需品であるコーヒーも輸入が始まった。
今、世界の総生産量の6％のコーヒー豆が輸入されているそうで、その窓口となっているのが神戸、横浜両港である。神戸には、明治の開港以来外国人居留地が出来、居留地の隣、元町では、コーヒーを売るだけでなく客に飲ませる日本最初のコーヒーハウスが出てきたとしても不思議ではない。明治時代の焙煎卸売りは、洋食食料品を扱う食品問屋、あるいは茶の卸売業者が兼業で行っていたものが大部分であったらしいから・・。
そして、ＵＣＣ上島珈琲やネスレ日本も神戸に本拠地を置いていることからも神戸が珈琲と縁の深かったことがわかる。そして、 コーヒー店の先駆的な土地柄だったため、神戸には自家焙煎（ばいせん）店が多い。その代表が50年余の歴史を持つ有名な「にしむら珈琲店」（神戸市中央区）だ。その後、日本に紅茶が入ってくるようになると、神戸では、土地柄か、どちらかと言えば、珈琲より紅茶を愛飲する人が多いと聞くが、いずれにしても、今では、「コーヒーか紅茶がなければ、一日は始まらない」という人がいるほど、日本人にも愛飲されているコーヒーや紅茶。外出し、ちょと、「お茶でもしませんか」と言えば、喫茶店でコーヒーや紅茶を飲むことを指している。
日本で珈琲などを飲ませるところを“カフェー”と呼ぶようになるのは明治の末頃からであるが、それが、色々な変遷を辿りながら、今のような喫茶店といったものが出来た。
私も、サリーマン時代、昼食を外で採るとその後の、残り少ない休憩時間を、仕事仲間と団欒するのは喫茶店であった。会社内にも自由に使える休憩室があり、そこでは安くおいしい珈琲なども飲めるようになっているのに、休憩室では、どうも、喫茶店ほどには落ち着かない。
喫茶店は、人によって色々な目的で活用されてきた。休憩や雑談、ジャズやシャンソンなどの音楽を聴くなどのために喫茶店を使った。しかし、最近は喫茶店が流行らなくなったと聞く。
その理由として、今の若者には、携帯電話とメール、どこにでも飲み物を持ち歩けるペットボトルや缶コーヒーがあり、そして、ちゃんとした休憩場所などなくても、どこにでも座り込んでしまうジベタリアンが多い。音楽を聞くためのウオーキング・ステレオもある。特に、喫茶店に出入りする必要がなくなったのではないだろうか・・・しかも、今は、不況も長引いている。
かっては、文化の発信地とも言われた「喫茶店」・・今後は、どのような形で残っていくのか・・・それとも、このまま衰退するのか・・・。
（画像は、ＵＣＣの「月刊 珈琲人」の壁紙）
参考：
関西おもしろ文化考｜コーヒー（YOL関西）
http://osaka.yomiuri.co.jp/omoshiro/010404.htm
LoveCoffeeBreak（日本のコーヒーヒストリー）
http://www.lovecoffeebreak.com/index.html
UCC
http://www.ucc.co.jp/coffee/index.html
UCC：月刊珈琲人：時代を映す愛すべき空間 ～カフェはじめて物語・日本篇～
http://www.ucc.co.jp/jin/2001_04/topics.html
eoショップ｜喫茶特集：珈琲到来、港町の名喫茶
http://shop.kansai.com/sp/meets20/kissa/02.html
神戸教育旅行/Feel KOBE 観光推進協議会 教育旅行誘致部会「神戸地場産業」
http://www.feel-kobe.jp/kyoiku/cont/cont03/cont03-07.htm
今日の記念日を調べていると、1888(明治21)年、東京・上野に喫茶店「可否茶館」が日本で始めて開業した。1階がビリヤード場、2階が喫茶室の2階建て洋館で、1杯2銭の牛乳よりも安い1銭5厘で提供していた。日本初の喫茶店であるとの根拠は、明治21年4月13日付けの読売新聞に開業案内広告が出ていることによるという。勿論、日本にも古くから「茶屋」や「一膳飯屋」などがあったが、ここでは明治以降に西洋文化を輸入する形で広まった珈琲などを飲ませる喫茶店を言っている。「可否茶館」は、文化的な雰囲気が味わえる場所として評判を呼び、知識人や芸術家たちが集ったようだが、結局は経営が軌道にのることなく、5年で閉店してしまったようだ。
しかし、神戸元町には、こここそが、喫茶店発祥の地だと称する老舗がある。創業明治７年の茶商「放香堂」だ。可否茶館が開店する10年前の明治11年12月26日付けの読売新聞に掲げられた神戸元町3丁目の茶商放香堂の広告には、「焦製飲料コフィー、弊店にて御飲用あるいは粉にしてお求め、ともに自由・・・・・・」とあるそうであり、そうであれば、記録上確認可能な最初の喫茶店は少なくとも「可否茶館」ではなく、神戸元町の「放香堂」こそ日本におけるコーヒーハウスないしは喫茶店の元祖とされるべきだろう。この放香堂は、今も元町で営業をしている。
コーヒーの輸入がいつごろから本格的に始まったかについては、記録がないのでハッキリしたことは分からないらしいが、江戸時代、元禄の世になった頃には日本に入っていたらしい。ただ当時まだ、コーヒー特有の苦味は飲み慣れていない日本人にとって受け入れ難いものだったようだ。それが、開国と同時に、コーヒーを日常の飲料とする欧米人が続々とやってきて、その数が増えるにしたがい、彼らの必需品であるコーヒーも輸入が始まった。
今、世界の総生産量の6％のコーヒー豆が輸入されているそうで、その窓口となっているのが神戸、横浜両港である。神戸には、明治の開港以来外国人居留地が出来、居留地の隣、元町では、コーヒーを売るだけでなく客に飲ませる日本最初のコーヒーハウスが出てきたとしても不思議ではない。明治時代の焙煎卸売りは、洋食食料品を扱う食品問屋、あるいは茶の卸売業者が兼業で行っていたものが大部分であったらしいから・・。
そして、ＵＣＣ上島珈琲やネスレ日本も神戸に本拠地を置いていることからも神戸が珈琲と縁の深かったことがわかる。そして、 コーヒー店の先駆的な土地柄だったため、神戸には自家焙煎（ばいせん）店が多い。その代表が50年余の歴史を持つ有名な「にしむら珈琲店」（神戸市中央区）だ。その後、日本に紅茶が入ってくるようになると、神戸では、土地柄か、どちらかと言えば、珈琲より紅茶を愛飲する人が多いと聞くが、いずれにしても、今では、「コーヒーか紅茶がなければ、一日は始まらない」という人がいるほど、日本人にも愛飲されているコーヒーや紅茶。外出し、ちょと、「お茶でもしませんか」と言えば、喫茶店でコーヒーや紅茶を飲むことを指している。
日本で珈琲などを飲ませるところを“カフェー”と呼ぶようになるのは明治の末頃からであるが、それが、色々な変遷を辿りながら、今のような喫茶店といったものが出来た。
私も、サリーマン時代、昼食を外で採るとその後の、残り少ない休憩時間を、仕事仲間と団欒するのは喫茶店であった。会社内にも自由に使える休憩室があり、そこでは安くおいしい珈琲なども飲めるようになっているのに、休憩室では、どうも、喫茶店ほどには落ち着かない。
喫茶店は、人によって色々な目的で活用されてきた。休憩や雑談、ジャズやシャンソンなどの音楽を聴くなどのために喫茶店を使った。しかし、最近は喫茶店が流行らなくなったと聞く。
その理由として、今の若者には、携帯電話とメール、どこにでも飲み物を持ち歩けるペットボトルや缶コーヒーがあり、そして、ちゃんとした休憩場所などなくても、どこにでも座り込んでしまうジベタリアンが多い。音楽を聞くためのウオーキング・ステレオもある。特に、喫茶店に出入りする必要がなくなったのではないだろうか・・・しかも、今は、不況も長引いている。
かっては、文化の発信地とも言われた「喫茶店」・・今後は、どのような形で残っていくのか・・・それとも、このまま衰退するのか・・・。
（画像は、ＵＣＣの「月刊 珈琲人」の壁紙）
参考：
関西おもしろ文化考｜コーヒー（YOL関西）
http://osaka.yomiuri.co.jp/omoshiro/010404.htm
LoveCoffeeBreak（日本のコーヒーヒストリー）
http://www.lovecoffeebreak.com/index.html
UCC
http://www.ucc.co.jp/coffee/index.html
UCC：月刊珈琲人：時代を映す愛すべき空間 ～カフェはじめて物語・日本篇～
http://www.ucc.co.jp/jin/2001_04/topics.html
eoショップ｜喫茶特集：珈琲到来、港町の名喫茶
http://shop.kansai.com/sp/meets20/kissa/02.html
神戸教育旅行/Feel KOBE 観光推進協議会 教育旅行誘致部会「神戸地場産業」
http://www.feel-kobe.jp/kyoiku/cont/cont03/cont03-07.htm