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中央アジアの輸送路整備を支援へ…政府、中国・ロシア経由せず欧州に抜けるルート確保狙う 読売新聞 2024/08/09 05:00
政府は、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンの中央アジア3か国と欧州を結ぶ輸送路「カスピ海ルート」の整備を支援する方針を固めた。政府開発援助(ODA)を実施し、税関手続きのデジタル化などを後押しする。ロシアや中国を経由することなく、エネルギー資源や重要鉱物を輸入できるルートを確保する狙いがある。
複数の政府関係者が明らかにした。岸田首相が9~11日に中央アジアを訪れて3か国の首脳と個別に会談し、方針を伝える見通しだ。日本の強みを生かした支援メニューを提案する「オファー型協力」として打ち出す考えで、中央アジアに対しては初めてとなる。
中央アジアは石油や天然ガス、ウラン、レアメタルなどの資源が豊富に埋蔵されている。カスピ海ルートは3か国から中露を経ずに陸路と海運を使って欧州に抜ける輸送路で、ロシアによるウクライナ侵略以降、経済安全保障や流通網の多角化の観点から欧米諸国の関心も高まっている。
現状では、国ごとに税関手続きが異なるため、カザフスタン―ルーマニア間を通過するのに約50日間と、ロシア経由の2倍かかることが課題となっている。政府はこれを踏まえ、紙で行われている税関手続きのデジタル化を進めるほか、共通の税関システム導入を支援する。一度に多くの荷物を検査できる大型機材も供与し、通関の効率化を図る。これにより、カザフスタン―ルーマニア間の所要日数は半減する見込みだという。
道路や鉄道、港湾など老朽化したインフラ(社会基盤)については、米国など先進7か国(G7)と連携し、民間資金も活用しながら整備を推進する方針だ。