入院患者暴行の精神科「滝山病院」院長ら辞任 新体制で再建へ NHK 2024年9月2日 15時41分
看護師による入院患者への暴行事件が起きた、東京 八王子市の精神科病院「滝山病院」は、管理責任を問われていた院長らが辞任したと発表しました。病院は今後、新たな体制で再建を進めることとなります。
東京 八王子市の精神科病院「滝山病院」では、去年2月、入院患者への暴行事件が発覚し、その後、病院は改善計画を提出したものの、都から再発防止への取り組みが十分ではないなどと指摘されました。
これを受けて、ことし1月、医療体制の管理や見直しを怠っていた当時の朝倉重延院長と朝倉孝二理事長の責任は重大だとして、2人が辞任することなどを盛り込んだ計画を再提出していました。
病院はホームページで、8月31日に院長と理事長が辞任し、9月1日、新たに東京医科大学八王子医療センターの工藤龍彦元センター長が院長兼理事長に就任したことを発表しました。
朝倉前院長は、長らく務めた親のあとを引き継いでいましたが、今回は親族以外の就任となっていて、病院は今後、新たな体制で再建を進め、再発防止や改善に取り組むこととなります。
病院は「被害に見舞われた患者様およびご家族の気持ちを第一に考え、これまで以上に寄り添い誠実に対応したい」としています。
また、病院を監督する都は「滝山病院による自律的な取り組みが着実に進むよう、立ち入り検査などで確認し指導を続けていく」としています。
滝山病院の問題 これまでの経緯
「滝山病院」で複数の看護師らによる入院患者への虐待事件が発覚したのは去年2月。
病院を監督する東京都は4月、管理体制に不備があったとして改善命令を出しました。
その後、病院は改善計画を提出し、虐待防止マニュアルの作成などに取り組んでいましたが、都は11月、再発防止への取り組みが十分ではないなどとして指導し、計画について見直し、再提出するよう求めました。
さらに12月には、原因究明のために設置された第三者委員会が報告書をまとめ「旧院長から近親者である現院長に継承されたのちもワンマン経営の体質が変わらず、理事も近親者で固められて、外部の視点を取り入れる発想自体がなかった」などと批判していました。
こうしたことを受けて、病院はことし1月、責任を明確にするため院長と理事長が辞任することなどを盛り込んだ改善計画を都に再提出していました。
病院側の改善に向けた取り組みの一方、都が改善命令を出した去年4月以降、都や自治体は希望する患者に対して転院や退院支援を行っています。
都によりますと、8月末時点で入院している53人のうち、およそ20人が転院を希望しているものの、まだ転院先が決まっていないということです。
専門家「外部から指摘してもらえるよう 病院を外に開く必要」
障害者福祉に詳しい兵庫県立大学の竹端寛教授は「院長や経営者が交代するだけでは、虐待が起きやすい組織の土壌が改善されるとは言えない。精神科病院は閉鎖性が非常に強く、問題が起きても『おかしい』という声が届きにくいので、自分たちの独善性に基づいた運営ではなく、外部の目からも『おかしい』と指摘してもらえるように、病院を外に開いていく必要がある」と指摘しました。
その上で「監督する立場の東京都は、病院の体質は簡単には変わらないという仮説に立って、訪問や監査を続けてしっかり支援をしていく必要がある」と話していました。
看護師による入院患者への暴行事件が起きた、東京 八王子市の精神科病院「滝山病院」は、管理責任を問われていた院長らが辞任したと発表しました。病院は今後、新たな体制で再建を進めることとなります。
東京 八王子市の精神科病院「滝山病院」では、去年2月、入院患者への暴行事件が発覚し、その後、病院は改善計画を提出したものの、都から再発防止への取り組みが十分ではないなどと指摘されました。
これを受けて、ことし1月、医療体制の管理や見直しを怠っていた当時の朝倉重延院長と朝倉孝二理事長の責任は重大だとして、2人が辞任することなどを盛り込んだ計画を再提出していました。
病院はホームページで、8月31日に院長と理事長が辞任し、9月1日、新たに東京医科大学八王子医療センターの工藤龍彦元センター長が院長兼理事長に就任したことを発表しました。
朝倉前院長は、長らく務めた親のあとを引き継いでいましたが、今回は親族以外の就任となっていて、病院は今後、新たな体制で再建を進め、再発防止や改善に取り組むこととなります。
病院は「被害に見舞われた患者様およびご家族の気持ちを第一に考え、これまで以上に寄り添い誠実に対応したい」としています。
また、病院を監督する都は「滝山病院による自律的な取り組みが着実に進むよう、立ち入り検査などで確認し指導を続けていく」としています。
滝山病院の問題 これまでの経緯
「滝山病院」で複数の看護師らによる入院患者への虐待事件が発覚したのは去年2月。
病院を監督する東京都は4月、管理体制に不備があったとして改善命令を出しました。
その後、病院は改善計画を提出し、虐待防止マニュアルの作成などに取り組んでいましたが、都は11月、再発防止への取り組みが十分ではないなどとして指導し、計画について見直し、再提出するよう求めました。
さらに12月には、原因究明のために設置された第三者委員会が報告書をまとめ「旧院長から近親者である現院長に継承されたのちもワンマン経営の体質が変わらず、理事も近親者で固められて、外部の視点を取り入れる発想自体がなかった」などと批判していました。
こうしたことを受けて、病院はことし1月、責任を明確にするため院長と理事長が辞任することなどを盛り込んだ改善計画を都に再提出していました。
病院側の改善に向けた取り組みの一方、都が改善命令を出した去年4月以降、都や自治体は希望する患者に対して転院や退院支援を行っています。
都によりますと、8月末時点で入院している53人のうち、およそ20人が転院を希望しているものの、まだ転院先が決まっていないということです。
専門家「外部から指摘してもらえるよう 病院を外に開く必要」
障害者福祉に詳しい兵庫県立大学の竹端寛教授は「院長や経営者が交代するだけでは、虐待が起きやすい組織の土壌が改善されるとは言えない。精神科病院は閉鎖性が非常に強く、問題が起きても『おかしい』という声が届きにくいので、自分たちの独善性に基づいた運営ではなく、外部の目からも『おかしい』と指摘してもらえるように、病院を外に開いていく必要がある」と指摘しました。
その上で「監督する立場の東京都は、病院の体質は簡単には変わらないという仮説に立って、訪問や監査を続けてしっかり支援をしていく必要がある」と話していました。