ナスララ
【随時更新】イスラエル パレスチナ 中東情勢(8月26日) NHK 2024年8月26日 20時10分
イスラエルとイスラム組織ハマスのガザ地区での停戦をめぐる協議は仲介国などが提示した妥協案で双方が折り合いをつけることができず、合意が実現するめどは依然、立っていません。
アメリカなどは「協議を継続する」としていて、イスラエル軍の駐留などをめぐり双方が受け入れられる落としどころを見いだせるかが焦点となっています。
※中東情勢に関する日本時間8月26日の動きを随時更新してお伝えします。
イスラエル軍 ガザ地区への攻撃続ける
イスラエル軍は26日もガザ地区への攻撃を続けていて、パレスチナのメディアは、中部のヌセイラトでは多くの住民が避難する学校が空爆を受け、女性2人が死亡したと伝えています。
また、25日にレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの大規模攻撃を受けたイスラエル北部では、26日の朝も防空警報が鳴り、イスラエル軍は侵入してきた飛しょう体を撃墜したと発表しました。
ヒズボラ側は先月、司令官が殺害されたことへの報復攻撃は完了したとしていますが、ガザ地区での戦闘が続く限り攻撃は継続するとしていて緊張が続いています。
停戦や人質解放めぐる協議 依然として合意のめど立たず
一方、ガザ地区での停戦や人質解放に向けた協議は仲介国のエジプトにイスラエルとハマス双方の代表団が赴いて25日も続けられましたが、ロイター通信は仲介国やアメリカ政府が妥協案を提示したものの、折り合いをつけることができなかったと伝えています。
双方は、イスラエルが停戦後もガザ地区南部のエジプトとの境界地帯などに部隊を駐留させ続けると主張していることをめぐって対立しています。
これについて、ハマスの幹部は25日「イスラエル側は新たな条件を追加しようとしているが、われわれはこれを受け入れない」と述べ、改めてイスラエル軍のガザ地区からの完全撤退を求めていて、合意が実現するめどは依然、立っていません。
アメリカ・ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官は「我々は、停戦と人質解放の合意の実現に向け、懸命に努力している」と述べ協議の継続を強調していて、イスラエルとハマスの双方が受け入れられる落としどころを見いだせるかが焦点となっています。
米国防長官 イスラエル国防相と電話会談
ヒズボラは25日、イスラエル軍の基地などを標的に340発のロケット弾と数十機の無人機を発射し、イスラエル軍の兵士1人が死亡しました。
今回の攻撃についてヒズボラは先月、イスラエル軍の攻撃で司令官が殺害されたことへの報復だとしています。
これを受けて、アメリカのオースティン国防長官は25日、イスラエルのガラント国防相と電話会談しました。
国防総省によりますと、オースティン長官はイスラエルの自衛権を改めて強調するとともに、イランやイランが支援する勢力による脅威からのイスラエルの防衛を支援するアメリカの強固な決意を伝えたということです。
その一環としてオースティン長官は、中東地域に派遣している2つの空母打撃群について地域にとどまるよう軍に指示したとしています。
アメリカとしては地域の緊張がこれ以上高まらないよう、ガザ地区での停戦と人質の解放をめぐる交渉での合意に向けて、イスラエルとハマス双方、それに関係国への働きかけを強めるものとみられます。
ヒズボラ最高指導者「報復完了」もイスラエル攻撃継続を強調
ヒズボラの最高指導者ナスララ師は25日、演説し「報復攻撃は計画通り完了したが、その成果が不十分であれば、さらなる攻撃も辞さない」などと述べた上で、ガザ地区での戦闘が続くかぎりイスラエルに対する攻撃を継続すると強調しました。
一方、この攻撃に先だって、イスラエル軍は大規模な攻撃の兆候があるとして隣国レバノンのヒズボラの拠点に空爆を行い、戦闘員など3人が死亡しました。
ネタニヤフ首相は25日の閣議で「イスラエル市民に対して使われるはずだった数千発のロケットを破壊したが、これで終わりではない」と述べ、さらなる対抗措置をとる構えを示しています。
こうした中、イスラエルメディアは、ガザ地区での停戦と人質の解放に向けた協議に参加するため、イスラエルの情報機関のトップらが仲介国エジプトに到着したと伝えていて、地域情勢のさらなる不安定化が懸念される中、仲介国などがイスラエルとハマスの双方に合意の実現を迫ることができるかが焦点です。