洞窟の前には噴火湾が広がり、開放感いっぱい（２１日、北海道豊浦町で）＝土田浩平撮影 ©読売新聞
崖下の小幌洞窟には岩屋観音堂がある（２１日、北海道豊浦町で）＝土田浩平撮影 ©読売新聞
日本一の秘境駅のさらに奥、断崖絶壁に閉ざされた海辺の「洞窟ツアー」…林道抜け国道の２００ｍ下を目指す 読売新聞 2024/08/31 08:10
日本一の「秘境駅」とされるＪＲ小幌駅（北海道豊浦町）。そのさらに奥を訪ねるアドベンチャーツアーがあると聞き、参加してみた。
「秘境小幌洞窟ツアー」と題して、洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会が２１日に開催した。洞窟は長万部町との境の国道３７号から約２００メートル下、断崖絶壁で閉ざされた静かな海辺にある。
緩やかな林道に続き、倒木をまたいだり、くぐったり、滑りやすい沢を何度も渡って、小一時間で到着。広葉樹の森を抜けるとにわかに視界が開け、噴火湾が目の前に広がった。「今は無人ですが、昔はここでニシンやマグロも取れたそうです」とガイドの佐々木美穂子さん（４７）が解説する。
豊浦町教育委員会によると、海に面した洞窟からは、約２５００年前の縄文晩期から１３～１５世紀のアイヌ文化期までの遺跡・遺物が出土している。今も「岩屋観音堂」があり、秋には関係者が例祭を執り行っているという。札幌市南区から参加した男性（７０）は「普段見られないものを見られた」と笑顔だった。
帰りは小幌駅にも立ち寄った。同駅には車で近寄れず、１日上下６本の普通列車でしか行けない。平日にもかかわらず、プラットホームにはカメラ片手の鉄道ファンが１０人以上も。秘境駅にしてはにぎやかだった。（土田浩平）
