ASEAN首脳会議 戦闘続くミャンマーに暴力即時停止など求める NHK 2024年10月9日 19時34分
ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議がラオスで開かれ、ミャンマーからは軍が派遣した外務次官が、およそ3年ぶりに代表として参加しました。クーデター以降、戦闘が続く中、各国はミャンマーに対し、暴力の即時停止などASEANとの間で合意している項目を履行するよう改めて求めたということです。
ASEAN各国と日本や中国、それにアメリカなどが参加する一連の首脳会議は3日間の日程で、ラオスの首都ビエンチャンで始まりました。
初日の9日はASEAN加盟国による首脳会議が行われ、ミャンマーからは軍が派遣した外務次官が、およそ3年ぶりに代表として参加しました。
会議ではクーデター以降、軍と民主派勢力などとの戦闘で混乱が続くミャンマー情勢について議論が交わされ、外交筋によりますと、各国はミャンマーに対し、ASEANが3年前に合意した暴力の即時停止など5つの項目を改めて履行するよう求めたということです。
また、ASEANとミャンマーの近隣諸国や国連などとの間で協力関係を強化し、事態の打開に向けた取り組みを進めるべきだという提案が出されたということです。
一方、外交筋によりますと、フィリピンなどと中国の間で領有権争いのある南シナ海の問題では、議長声明の文言をめぐって意見の対立が表面化しているということです。
10日は中国とASEANによる首脳会議も予定されていて、南シナ海情勢をめぐり、議論に進展がみられるかが焦点です。
マルコス大統領「新しい戦略を立てようとしている」
首脳会議のあと記者団の取材に応じたフィリピンのマルコス大統領は、南シナ海情勢をめぐって、中国との間でいっそう緊張が高まっている最近の状況を踏まえフィリピンの立場を主張したか問われ、「詳しくは述べなかったが、法の支配と国連の海洋法条約の順守という一般的な原則を述べた。詳しい情勢については数日中に話す機会があるだろう」と述べました。
また、ミャンマー情勢をめぐる議論については「われわれはASEANが合意した5つの項目を支持しているが、状況を変えることにあまり成功していないので、新しい戦略を立てようとしている」と述べました。
専門家「(ASEANは)人道支援に注力か」
ミャンマー情勢に詳しい京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授は、事態の打開に向けて軍と民主派勢力側の仲介を目指してきたASEAN=東南アジア諸国連合について、「軍側を下手に刺激しないよう政治問題はある程度棚上げしつつ、いま被害を受けている人や、人道的な危機に陥っている人たちを助ける人道支援に注力していこうというように見える」と指摘しました。
その上で、9月上旬の大雨の影響で、洪水や土砂崩れが発生し各地で大きな被害が出ていることについて、「クーデター以降、政府の能力自体が下がり、都市部でも教育や治安、保健衛生の面で機能していない。非常に人道危機的な状態が各地で起きている」と述べ、日本を含む各国はまずは人道支援に取り組むことが必要だという考えを示しました。
一方、軍と民主派勢力などとの間で続く戦闘については、「軍は各地で軍事作戦を行っているが目覚ましい成果は上がっていない。全体としてはこう着状態だが、軍が劣勢に立たされている地域もある」と述べ、国境に近い地域などでは民主派勢力側が優位に立っていると指摘しました。
そして、戦闘が長期化する中、軍の兵力不足に加え、民主派勢力や少数民族の武装勢力が連携を深め能力が上がっているとして、今後、各地で戦闘がさらに激しくなる可能性があると分析しています。
ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議がラオスで開かれ、ミャンマーからは軍が派遣した外務次官が、およそ3年ぶりに代表として参加しました。クーデター以降、戦闘が続く中、各国はミャンマーに対し、暴力の即時停止などASEANとの間で合意している項目を履行するよう改めて求めたということです。
ASEAN各国と日本や中国、それにアメリカなどが参加する一連の首脳会議は3日間の日程で、ラオスの首都ビエンチャンで始まりました。
初日の9日はASEAN加盟国による首脳会議が行われ、ミャンマーからは軍が派遣した外務次官が、およそ3年ぶりに代表として参加しました。
会議ではクーデター以降、軍と民主派勢力などとの戦闘で混乱が続くミャンマー情勢について議論が交わされ、外交筋によりますと、各国はミャンマーに対し、ASEANが3年前に合意した暴力の即時停止など5つの項目を改めて履行するよう求めたということです。
また、ASEANとミャンマーの近隣諸国や国連などとの間で協力関係を強化し、事態の打開に向けた取り組みを進めるべきだという提案が出されたということです。
一方、外交筋によりますと、フィリピンなどと中国の間で領有権争いのある南シナ海の問題では、議長声明の文言をめぐって意見の対立が表面化しているということです。
10日は中国とASEANによる首脳会議も予定されていて、南シナ海情勢をめぐり、議論に進展がみられるかが焦点です。
マルコス大統領「新しい戦略を立てようとしている」
首脳会議のあと記者団の取材に応じたフィリピンのマルコス大統領は、南シナ海情勢をめぐって、中国との間でいっそう緊張が高まっている最近の状況を踏まえフィリピンの立場を主張したか問われ、「詳しくは述べなかったが、法の支配と国連の海洋法条約の順守という一般的な原則を述べた。詳しい情勢については数日中に話す機会があるだろう」と述べました。
また、ミャンマー情勢をめぐる議論については「われわれはASEANが合意した5つの項目を支持しているが、状況を変えることにあまり成功していないので、新しい戦略を立てようとしている」と述べました。
専門家「(ASEANは)人道支援に注力か」
ミャンマー情勢に詳しい京都大学東南アジア地域研究研究所の中西嘉宏准教授は、事態の打開に向けて軍と民主派勢力側の仲介を目指してきたASEAN=東南アジア諸国連合について、「軍側を下手に刺激しないよう政治問題はある程度棚上げしつつ、いま被害を受けている人や、人道的な危機に陥っている人たちを助ける人道支援に注力していこうというように見える」と指摘しました。
その上で、9月上旬の大雨の影響で、洪水や土砂崩れが発生し各地で大きな被害が出ていることについて、「クーデター以降、政府の能力自体が下がり、都市部でも教育や治安、保健衛生の面で機能していない。非常に人道危機的な状態が各地で起きている」と述べ、日本を含む各国はまずは人道支援に取り組むことが必要だという考えを示しました。
一方、軍と民主派勢力などとの間で続く戦闘については、「軍は各地で軍事作戦を行っているが目覚ましい成果は上がっていない。全体としてはこう着状態だが、軍が劣勢に立たされている地域もある」と述べ、国境に近い地域などでは民主派勢力側が優位に立っていると指摘しました。
そして、戦闘が長期化する中、軍の兵力不足に加え、民主派勢力や少数民族の武装勢力が連携を深め能力が上がっているとして、今後、各地で戦闘がさらに激しくなる可能性があると分析しています。