故・ハニーヤ
“ハニーヤ最高幹部殺害は敷地外からの飛しょう体”イラン発表 NHK 2024年8月3日 23時54分
イスラム組織ハマスの最高幹部がイランを訪問中に殺害されたことをめぐり、アメリカのメディアは、宿泊先の部屋に仕掛けられていた爆発物で殺害されたと伝えていますが、状況を調べていたイランの軍事精鋭部隊は「敷地の外から発射された飛しょう体によって殺害された」と発表しました。
ハマスのハニーヤ最高幹部は、7月31日に訪問していたイランの首都テヘランで殺害されました。
当時の状況を調べていたイランの軍事精鋭部隊・革命防衛隊は3日、声明を出し、「イスラエルによって計画・実行され、アメリカによって支援されたテロ行為だ」と主張しました。
そのうえで、ハニーヤ最高幹部の殺害は、宿泊していた施設の敷地の外から発射された短距離の飛しょう体によって行われたことが分かったと説明しています。
一方、アメリカの複数のメディアは、イスラエルによって宿泊先の部屋に仕掛けられた爆発物で殺害されたと伝えていて、情報が錯そうしています。
革命防衛隊は声明で「イスラエルは、この犯罪に対する報いとして適切な時と場所、質で、厳しい罰を受けるだろう」として、報復を行う考えを改めて強調しています。
【詳細】イスラエル パレスチナ 中東情勢(8月3日) 2024年8月3日 22時56分
ガザ地区でイスラエルとの戦闘を続けるイスラム組織ハマスの最高幹部が訪問先のイランで殺害され、イランや支援を受ける武装組織がイスラエルへの報復を行うとしていて、中東で緊張が続いています。一方、ガザ地区での戦闘が始まってから300日以上がたちましたが、イスラエル軍による激しい攻撃で犠牲者が増え続けています。
※中東情勢に関する日本時間8月3日の動きを随時更新してお伝えします。
“ハニーヤ最高幹部殺害は敷地外からの飛しょう体”イラン発表
ハマスのハニーヤ最高幹部は先月31日、訪問していたイランの首都テヘランで殺害されました。当時の状況を調べていたイランの軍事精鋭部隊・革命防衛隊は3日、声明を出し「イスラエルによって計画・実行され、アメリカによって支援されたテロ行為だ」と主張しました。
その上でハニーヤ最高幹部の殺害は、宿泊していた施設の敷地の外から発射された短距離の飛しょう体によって行われたことが分かったと説明しています。一方、アメリカの複数のメディアは、イスラエルによって宿泊先の部屋に仕掛けられた爆発物で殺害されたと伝えていて、情報が錯そうしています。革命防衛隊は声明で「イスラエルはこの犯罪に対する報いとして、適切な時と場所、質で、厳しい罰を受けるだろう」として、報復を行う考えを改めて強調しています。
“イランの報復 数日から1週間の間に”の見方 中東の緊張続く
ガザ地区でイスラエルとの戦闘を続けるイスラム組織ハマスの最高幹部が訪問先のイランで殺害され、イランなどが報復を行うとする中、アメリカのメディアはイランがどのような報復を行うか決めた兆候はないものの、数日から1週間の間に行われるとする見方があるとの当局者の話を伝えていて、中東での緊張が続いています。
パレスチナのガザ地区でイスラエルと戦闘を続けるハマスのハニーヤ最高幹部が先月31日、訪問先のイランで殺害されたことを受け、イランの最高指導者ハメネイ師はイスラエルが攻撃したとして報復を行う考えを示しています。
また、ハマスに連帯を示すレバノンのシーア派組織ヒズボラもイスラエルの空爆で幹部が殺害されたことを受けて報復する構えです。
これについて、アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、イランがどのような報復を行うか決定した兆候はないものの、数日から1週間の間に行われるとする見方があるとの当局者の話を伝えています。
また、アメリカのCNNテレビは複数のアメリカ当局者の話として、報復は数日のうちに行われる可能性があると伝えました。
イランはことし4月にもシリアにあるイラン大使館が攻撃されたあと、多数のミサイルや無人機による報復を行いましたが、当局者はイランが、後ろ盾になっている武装勢力と連携することで、より大規模で複雑な攻撃になる可能性があるとも指摘しています。
アメリカ国防総省は、イスラエルへの支援を強化するため、国防長官が巡洋艦などの追加派遣を指示したことを明らかにしていて、イランなどからの報復をめぐり中東の緊張が続いています。
専門家「報復はあと1日か2日の間に起きる」
イラン情勢に詳しい慶應義塾大学の田中浩一郎教授はイランの出方について「ことし4月のイスラエルに対しての報復攻撃よりも大規模な動きが軍に見られる。報復は確実に行う、しかもあと1日か2日の間に起きるだろうという兆候に見える」と分析しています。
イランはことし4月、シリアにあるイラン大使館が攻撃を受けた報復として、イスラエルへの多数の無人機やミサイルによる大規模な攻撃に踏み切っています。
田中教授は、より大規模な報復が予測される理由として「前回の攻撃ではイスラエルに対して十分な警告が届いていないということで、より激しい形での報復を行うことが不可欠であると結論づけた。今回、賓客として招いた要人が首都で重要な政治イベントの流れのなかで殺害された。イスラエルへの怒りだけでなくイランが沈黙すると、ハマスなどとの信頼関係が損なわれる危険性があり、積極的な行動を示す結論が導きだされた」との見方を示しました。
どのような報復攻撃を行うかについては「イランからの直接攻撃は不可欠で、弾道ミサイルなどの飛しょう体の数は前回を確実に上回る。イスラエルの軍関係施設を中心に狙うと見られる」としています。
そのうえで「今回はヒズボラの司令官も殺害されている。イランも撃つ、ヒズボラも撃つ、イエメンのフーシ派やイラク国内の民兵組織の一部も加勢し、飽和攻撃のような形で、最終的にイスラエルの防空能力を損なう形にもっていくのが狙いだと見られる」と分析しています。
米 イスラエルの防衛を支援 不測の事態に備え軍の態勢強化指示
アメリカ国防総省は2日、オースティン国防長官が、イスラエルの防衛を支援し、不測の事態に対応できるようにするため、アメリカ軍に態勢を強化するよう指示したと明らかにしました。
具体的には、▽弾道ミサイルからの防衛能力がある巡洋艦や駆逐艦を中東地域などに追加派遣するほか、▽戦闘機部隊を中東地域に追加で派遣し、防空を支援する能力を強化するとしています。
さらに、原子力空母「セオドア・ルーズベルト」を中心とする空母打撃群に代わり、原子力空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群を派遣することも明らかにしました。
一方、オースティン長官は2日、イスラエルのガラント国防相と電話で会談し、オースティン長官は、イスラエルを防衛するアメリカの揺るぎない支援を強調し、追加支援の内容についても伝えました。
そして、緊張のさらなる高まりは避けることができると述べたということです。
中東情勢の行方が一段と懸念される中、アメリカとしては、さらなる戦闘の拡大は避けたい考えです。
イラン最高指導者がイスラエルに報復行う考え示す
ガザ地区でイスラエルと戦闘を続けるハマスのハニーヤ最高幹部が先月31日、訪問先のイランで殺害されたことを受け、イランの最高指導者ハメネイ師はイスラエルが攻撃したとして報復を行う考えを示しています。
また、ハマスに連帯を示すレバノンのイスラム教シーア派組織、ヒズボラもイスラエルの空爆で幹部が殺害されたことを受けて報復する構えを示していて、2日もイスラエル軍との間で攻撃の応酬が続き、中東で緊張が続いています。
こうした中、ドイツのルフトハンザ航空はイスラエル最大の商業都市、テルアビブに向かう航空便の運航を、今月8日まで見合わせるなどとしていて、イスラエルのメディアは、航空便の欠航を発表した会社は10社にのぼっていると伝えています。
カタールでハニーヤ最高幹部の葬儀 市民から非難の声
ハニーヤ最高幹部のひつぎはこれまで活動の拠点としてきたカタールに運ばれ、2日、首都ドーハのモスクで行われた葬儀にはハマスの幹部や、カタールのタミム首長も参列しました。
モスクの前には金属探知機が設置され、スマートフォンなどの電子機器の持ち込みが禁止されるなど厳重な警戒態勢が敷かれました。
集まった市民からはイスラエルへの報復を求める声があがり、パレスチナ人の男性は「彼は私たちのリーダーだ。かなり激しい報復が行われるだろう」などと話していました。
モスクでの葬儀では、ハニーヤ最高幹部らのひつぎが置かれ、参列した人々は祈りをささげたあと、パレスチナの旗を掲げながら「われわれはイスラエルを認めない」などと声を上げていました。
ロイター通信などによりますと、ハニーヤ最高幹部のひつぎはその後、家族やハマスの関係者などが見守る中、ドーハ市内の墓地に埋葬されたということです。
ガザ地区の保健当局 “3万9480人が死亡” 犠牲者増え続ける
去年10月にガザ地区でイスラエルとハマスの戦闘が始まってから300日以上がたちました。
イスラエル軍による激しい攻撃が続いていて、2日には南部ハンユニスで集合住宅が空爆されて4人が死亡したと地元メディアが伝えています。地元の保健当局はこれまでに3万9480人が死亡したとしていて、犠牲者が増え続けています。