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2024年8/5 大阪取引所では日経平均先物の取り引きで午後1時26分から10分間、売買を一時中断する「サーキットブレーカー」と呼ばれる措置がとられました。

2024-08-06 01:44:48 | 株式・為替などの経済指標
株価 過去最大の値下がり ブラックマンデー超え“4つの要因” NHK 2024年8月5日 19時15分

週明けの5日の東京株式市場は、アメリカの景気減速への懸念や円高の進行を受けて全面安の展開となり、日経平均株価の終値は4400円を超えるかつてない急落となりました。世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデーの翌日につけた3836円を超えて過去最大の下落幅を記録しました。

5日の東京株式市場は取り引き開始直後から全面安の展開となり、午後に入ると売り注文は一段と膨らみました。

日経平均株価は午後2時50分過ぎには4700円以上値下がりし、かつてない急落となりました。

先週2日に発表されたアメリカの雇用統計の結果が市場の予想より悪かったことからアメリカの景気減速への懸念が一段と強まったことに加えて、東京外国為替市場で急速に円高が進んだことで、輸出関連の銘柄などでも売り注文が膨らみました。

▽日経平均株価、5日の終値は先週末の終値より4451円28銭安い、3万1458円42銭となり、世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデーの翌日につけた3836円48銭を超えて過去最大の下落幅を記録しました。

▽東証株価指数、トピックスは310.45、下がって2227.15。

▽1日の出来高は40億8980万株でした。

市場関係者は「午後に入ってからは相場の混乱をチャンスとみた投機筋の動きもみられ、株価は一段と下落した。さらに、緊迫化する中東情勢も株価下落の要因となっていて、日経平均株価とトピックスはともに終値として年初来の安値をつけた」と話しています。

「サーキットブレーカー」の措置も
株価が記録的な急落となるなか、大阪取引所では日経平均先物の取り引きで午後1時26分から10分間、売買を一時中断する「サーキットブレーカー」と呼ばれる措置がとられました。

「サーキットブレーカー」は取り引きの混乱を避けるため取引所が一時的に売買を止める措置です。

日経平均先物で発動されるのは、イギリスのEU離脱の賛否を問う国民投票の結果をめぐって株価が急落した2016年6月24日以来、およそ8年ぶりです。

午前中には東証株価指数=トピックスの先物やオプション取引でもおよそ13年ぶりに「サーキットブレーカー」が発動されています。

株価急落 4つの要因
株価が急落した要因は4つあります。

【1,アメリカの景気減速への懸念】
先週発表されたアメリカの経済指標が市場の予想を下回り、さらに2日に発表されたアメリカの雇用統計も市場の予想より悪い結果となったことで景気減速への懸念が一段と強まりニューヨーク市場で株価が急落。

これを受けて東京市場でも株価が大幅に値下がりしました。

【2,円高ドル安の加速】
きっかけとなったのは先月31日に日銀が追加の利上げに踏み切り、植田総裁が会見でさらなる利上げの可能性に言及したことです。

日本時間の翌日1日にはアメリカのFRB・連邦準備制度理事会のパウエル議長が会見で、早ければ9月の会合で利下げが決定される可能性があると発言。

日米の中央銀行トップの発言で円高が一気に進みました。

円相場は先月上旬には1ドル=161円台まで値下がりし、31日の植田総裁の会見前には1ドル=152円台で取り引きされていましたが、その後、アメリカ経済の先行きへの懸念が強まったこともあって急速に円高ドル安が進みました。

5日の東京市場で円相場は午後3時すぎに1ドル=141円台まで値上がりしました。

日本の輸出企業が事業計画をたてる際に想定する為替レートは、現在、平均で145円前後といわれています。

この水準より円高が進んだことで、これまで円安の恩恵を受けてきた輸出企業などの業績に悪影響が及ぶのではないかという懸念が一気に強まり、これが一段の株安を招きました。

【3,中東情勢の緊迫化】
イスラエルと戦闘を続けるイスラム組織ハマスの最高幹部が訪問先のイランで殺害されたことを受け、イランはイスラエルによる攻撃だとして報復を行う考えを示しています。

このため投資家の間ではリスクを避ける姿勢が強まり、売り注文が一段と膨らみました。

【4,投機筋の仕掛け】
一方、株価がかつてないような急落となった背景にはこうした要因とは別に、投機筋が短期的な取り引きで利益を確保するために先物取引やいわゆる空売りなどを通じて大量の売り注文を入れたのではないかという指摘も出ています。

株式市場では売り買いの前提条件を細かくプログラムに組み込んだいわゆる「高速取り引き」によって相場が左右されているという見方もあり、株価の急落を助長するともいわれるこうした取り引きが今回どのように影響したのかも株価急落の要因を見る上での焦点となります。

専門家はどう見たのか
「売りが売りを呼ぶ」
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、今回のかつてない株価の急落の要因について「日本の景気の先行きが大きく危惧される状況では決してなく、小さな売り材料が積み重なった結果、売りが売りを呼ぶ状況になり、株価が下げ止まらなかった」と指摘しました。

その上で、今後の見通しについて小林主席研究員は「企業の決算が順次、発表されているが、内容を見ても決して悪くない。『ここが底値だ』と信じることができれば、買いも入って、株価も上昇するのではないか」と述べました。

「米経済 軟着陸か景気後退か 確認必要」
UBS証券の守屋のぞみ株式ストラテジストは「ここまで日本株を引っ張ってきた外国人投資家が、日銀の政策の変化やアメリカの経済情勢の変化で考え方が変わったことが大きな影響を与えた。一気に円高が進んだ点も日本株の変化が大きく出た理由の1つだ」と分析しました。

その上で、今後の見通しについて「8月は投資家の動きが少なくなる夏休みの時期で、この短い時間軸で急にポジティブな展開になることを見込むタイミングではない。来週はアメリカの小売りの販売や消費者物価の統計の結果も出てくるので、アメリカ経済がソフトランディング=軟着陸するか、リセッション=景気後退のリスクが高まるか確認していく必要がある」と述べ、アメリカの景気の動向が重要なポイントの1つになると指摘しました。

「冷静に株価水準や個別銘柄見ていく局面」
岩井コスモ証券の林卓郎 投資情報センター長は「想定外であり、これほどの下げがあるかと正直驚いている。きょうの日経平均株価は午後になって下げが再び加速し十分な説明ができないような状況になっている」と述べました。

そのうえで要因については「アメリカのハイテク株の下落に加えて今まで株価を支えていた円安の流れが円高に転換したことが大きい。特に先週、日銀が利上げを実施し、今後も利上げの可能性を示唆したので思った以上に円高が進んだ。為替の円高進行は日本の企業業績にとって痛手となるので日本のファンダメンタルズに疑念が生じたのではないか。さらにマーケットの激しい動きを利用して、売買を重ねる短期筋がポジションを強制的に縮小するきっかけになり得るので、そういう動きも重なったのではないか」と指摘しました。

今後の見通しについては「相場が急変しているので落ち着くのに多少、時間がかかると思う。円高がどれだけ日本企業の業績に響くかや、アメリカの景気の動きを注視しつつも、これほどの下げを説明する投資環境の悪化は多分ないと思うので少し冷静に、株価水準や個別銘柄を見ていく局面に来ているのではないかと思う」と話していました。

【動画解説】急落の要因は 今後は

各業種での値下がりは
どのような業種で値下がりが目立ったのでしょうか。

東京証券取引所は東証株価指数・トピックスに採用されている企業を33の業種に分類し、業種ごとに株価指数を算出しています。

それによりますと、5日は33の業種すべてが6%を超える下落率となり、中でも「銀行業」が17.3%、「証券、商品先物取引業」が16.5%、「保険業」が17.6%、それぞれ下落しました。

長期金利が大きく低下したことや、株価の急落で収益への影響が懸念され、金融関連の銘柄で下落が目立ちました。

また、総合商社が含まれる「卸売業」が15.1%、自動車メーカーなどの「輸送用機器」が14.4%の下落となっていて、急速な円高の進行による採算悪化への懸念が株価の下落につながったものとみられます。

さらに、日経平均株価の値動きへの影響が大きい半導体関連などの銘柄が含まれる「電気機器」や「精密機器」でも10%を超える下落となりました。

“株価暴落”どう受け止めたか 大手企業や NISA始めた市民は
5日の株価の推移 詳細
【午前9時 取引開始】
5日の東京市場では取引開始直後から全面安となり、およそ15分で日経平均株価の下落幅は2500円を超えました。

その後はいくぶん買い戻しの動きが出て、午前の終値は先週末より1662円14銭、安い3万4247円56銭でした。

【正午以降】
ただ、午後に入ると外国為替市場で一段と円高が進んだことや、アメリカの主要な株価指数の先物がさらに値を下げたことなどから、加速度的に売り注文が増え、株価の下落に歯止めがかからない状況となりました。

さらに投機筋による売り注文が一気に膨らんだことが下落に拍車をかけたという指摘もあります。

【午後2時20分すぎ】
日経平均株価の下落幅は、世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデーの翌日につけた3836円48銭を超えて過去最大になりました。

【午後2時50分すぎ】
その後も取り引き終了にかけて下落は続き、4700円以上、値下がりしました。

【午後3時 取引終了】
結局、日経平均株価の終値は先週末より4451円28銭、安い3万1458円42銭となり、終値としても過去最大の下落幅となりました。

ことし最初の取り引きで3万3000円台だった日経平均株価は上昇基調が続き、2月にバブル期の史上最高値を上回ったあと、3月に初めて4万円を突破。

7月11日には4万2000円を超えて最高値を更新していました。

しかしその後、わずか1か月弱の間でことしに入ってからの上昇分が帳消しになるかつてない急落に見舞われています。

証券会社 問い合わせ相次ぐ
日経平均株価がかつてない急落となり、証券会社には個人投資家からの問い合わせが相次ぎました。

東京 中央区の証券会社にあるコールセンターでは、およそ20人の社員が客からの問い合わせにあたっていました。

問い合わせは、午前9時の取り引き開始直後から相次ぎ、今後の経済や株価の見通しに関する問い合わせのほか、保有する株式を売却したいという内容も多かったということです。

岩井コスモ証券東京コールセンターの本間大樹センター長は「電話の件数がかなり増えているので待ってもらう場合も出ている。焦らずに対応しようと思っているが、それ以上に株価の下がるスピードが速くなっている」と話していました。

鈴木金融担当相「NISA投資 冷静に判断を」
株価の急落について、鈴木金融担当大臣は「株価は市場において決定されるもので背景などを一概に申し上げることはなかなかできないが、政府として冷静に判断していくことが重要だと考えている。ことしの春闘での33年ぶりの高い水準での賃上げなど、日本経済には前向きな明るい動きが見られ、今後も雇用所得環境が改善する中で、緩やかに回復をしていくと考えている。内外の経済・金融市場の動向について、日銀とも連携しながら、緊張感をもって注視するとともに今後の経済財政運営にも万全を期していきたい」と述べました。

また、ことしから制度が拡充された優遇税制「NISA」で新たに投資を始めた人などに対しては「株価下落などの市場変動が進む中にあっても、長期、積立、分散投資の重要性を考慮し、冷静に判断していただきたい」と述べました。

さらに、外国為替市場で円高が急速に進んでいることについて鈴木大臣は「円相場の水準はファンダメンタルズ=経済の基礎的条件を反映して決められるものであって、安定的に推移することが望ましいと考えており、為替相場の動きも注視していきたい」と述べました。

林官房長官「緊張感持って注視 万全を期す」
株価の大幅な値下がりを受けて、林官房長官は記者団の取材に応じ、冷静に状況などを判断していく重要性を強調した上で、内外の市場動向を注視しながら、経済財政運営に万全を期していく考えを示しました。

この中で林官房長官は、株価の大幅な値下がりについて「政府としては、冷静に判断していくことが重要だと考えており、内外の経済・金融市場の動向などを緊張感を持って注視するとともに、経済財政運営に万全を期していきたい」と述べました。

その上で、国内経済について、力強い賃上げの動きに加え、設備投資や企業業績が過去最高水準になっているなどと指摘するとともに「デフレからの完全脱却、新たな成長型経済への移行に取り組み、家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り出していく」と強調しました。

さらにコーポレート・ガバナンス=企業統治の改革なども着実に進んでいるとしつつ「国内外の資金を呼び込み、成長と分配の好循環を実現していく。さらなる改革を推進し『資産運用立国』の実現に向けた取り組みを進めていく」と述べました。

一方、為替相場の動向については「ファンダメンタルズ=経済の基礎的条件を反映して安定的に推移するということが重要で、しっかり注視していきたい」と述べました。

アジアでも株価が大幅下落
5日のアジアとオセアニアの株式市場は、アメリカの景気減速への懸念から各地で売り注文が膨らみ、株価は、韓国や台湾で8%を超える大幅な値下がりで取り引きを終えました。

各地の代表的な株価指数の5日の終値は、先週末と比べて、▽韓国でおよそ8.7%、▽台湾でおよそ8.3%の大幅な下落となりました。

このうち韓国では5日午後、一時、10%を超える値下げ幅となり、売買を一時的に中断する「サーキットブレーカー」と呼ばれる措置がとられました。

このほか、▽オーストラリアのシドニーでおよそ3.7%、▽中国・上海でもおよそ1.5%値下がりして取り引きを終えました。

各地で株価が下落したのは、先週2日に発表されたアメリカの雇用統計の結果が市場の予想より悪かったことから、投資家の間でアメリカの景気減速への懸念が一段と強まったことがあります。

市場関係者は「中国の不動産不況が長期化する中で、アメリカ経済についても先行きへの警戒感が急速に強まったことから、投資家の間ではアジア各国の経済への影響を懸念する声が出ている。韓国や台湾では、株式市場をけん引してきた半導体関連の銘柄を中心に売り注文が大きく膨らんだ」と話しています。

欧州でも株価下落
5日のヨーロッパの株式市場は、アメリカの景気減速への懸念から各国で株価が下落しています。

ヨーロッパの主な株式市場では日本時間の午後4時に週明けの取り引きが始まり、各国の株価は開始直後から幅広い銘柄で売り注文が出て全面安の展開となっています。

先週末の終値と比べた株価指数は日本時間の午後5時時点で▽フランクフルト市場で2.3%下落しているほか、▽ロンドン市場で2.2%、▽パリ市場で2.1%と、いずれも2%を超える値下がりとなっています。

このうちパリ市場では一時、3%の下落となりました。

市場関係者は「アメリカ経済減速の警戒感が強まり、ヨーロッパ経済への影響を懸念する見方が広がった。外国為替市場での円高の進行とともに、株価が大幅に下落したアジア市場の流れを受けて、リスクを回避する姿勢が鮮明になっている」と話しています。

海外メディアも報じる
アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは歴史的な下落だとした上で「日経平均株価は7月、記録的な高値に達したあと25%以上下落し弱気相場の領域に入った」と伝えています。

また、CNNテレビは「パニック売りを防ぐため、変動幅が大きい時に売買を一時中断する『サーキットブレーカー』が東京とソウルで複数回にわたって発動された」とした上で、他のアジアの株式市場にも影響が広がったことを伝えています。

このほか、有力紙のニューヨーク・タイムズは「世界中の市場が動揺」という見出しでアメリカ経済の減速懸念を受けた各地での株価急落について取り上げ、「株価の下落は特に日本で顕著だった。世界経済への警戒感に加え、円高が企業収益に与える打撃への懸念が加わった」と伝えています。
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