日刊スポーツより
2002年に廃止された西宮競輪に施設を貸していた阪急電鉄が一方的に契約を解除されたとして、西宮市など兵庫県内の20市に計約16億円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は27日、一部を認め、計約5億8000万円の支払いを命じた。
一部認められたものとは阪急が96~99年にかけて設置した特別観覧席や大型映像施設で、完成してからわずか2年で廃棄処分せざるを得なくなったことについてのもの。
西宮競輪場跡地には、阪急百貨店やシネコンが入った大型商業施設が今年中にはオープンする予定だが、阪急電鉄そのものは西宮競輪場を潰す気はもちろん、当初はなかった。
当初は訴訟ではなく調停により解決を志した阪急電鉄だが、旧兵庫県市町競輪事務組合が応じないため、3年前に訴訟に踏み切り、昨日一審の判決が下された。
(追記)
日経新聞にもう少し詳しく掲載されていた。
事務組合が車券売上げの4%を賃借料率として支払う契約は1年ごとの更新であったが、2001年11月に翌年度以降の契約を更新しないとして2002年3月をもって契約終了となった。
その際、「満了3ヶ月前までに解約を通知すれば更新されない。」とする契約上の規定についての解釈が裁判では争点となった。
これについて滝華裁判長は、
「競輪場には相当の先行投資が必要であり、契約は長期間の継続が予定されていた。」
として、上記の設備投資については組合側が強く求めていた上で、
「双方が3ヶ月前の告知だけで解約できないことを認識していた。」
として、組合側の信義則違反を認定した。
西宮スタジアムはプロ野球撤退後は7割が競輪による収入であり、阪急電鉄は1996年以降の総額約16億2000万円の投資相当額などを損害として請求したが、
「組合の経営悪化を当然予測できたうえ、投資は阪急側の経営判断によるところが大きい。」
として、過失相殺の上、認定した損害額約15億円のうち、約35%を賠償の範囲とした。
しかしながら、今回の一審判決では、公営ギャンブル撤退の際における賠償責任を負うとした司法判断が下されたことには相違なく、今後に波紋を呼びそうである。