goo blog サービス終了のお知らせ 

ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

新潟の親子の山岳遭難を考える ㊦

2018年07月27日 | ニュース

 

新潟の親子の山岳遭難を考える ㊤」の続きです。

 

遭難した親子が歩いたルート 

ネットで調べて妥当そうなところをまとめてみました。

下のマップは阿賀野市観光協会のホームページに載っている五頭山周辺の観光マップと親子が歩いたと推測される松平山ルートへの所要時間です。観光マップには親子が歩いたと推測されるルートを私がオレンジ線で書き足しています。

 

観光協会のマップ

観光協会のマップにある松平山ルートへの所要時間

 

(阿賀野市観光協会の案内マップにある魚止滝付近の駐車場から松平山の登山ルートは、「上級者コース」、主な登山ルート全体に対し、「残雪期はルートを見失う危険大」と注釈が付いているが、これらが付いたのは遭難後かもしれない)

 

推測される登山ルート

・5月5日に魚止滝付近の駐車場に車を置いて、魚止滝(ここに親子の登山届があった)から山葵山を経由し、松平山に登り、それから五頭山を目指したと推測される(山葵山と松平山の間で親子の目撃情報あり)

・10時にコンビニ(場所は不明、町の方?)にいたという目撃情報が有るので、登山開始は11時前後? そうすると、昼食もあるので松平山を過ぎたところで2時頃かな?

・予定通りだと、この親子の歩く行程(推測)の総距離は10Km前後。

 

親子の様子

・報道によると、この親子に登山の経験はあまりない。

・雪の上を歩く道具(アイゼンなど)は所持していなかったと推測される。子供は運動靴だったという情報も?

・日帰りの準備しかしていなかった

 

遭難前後の状況

・5月5日の2時頃、松平山から五頭山に向かう途中で、道に迷う?

・尾根筋の登山道から、コクラ沢という谷筋へ迷い込んだと推測される

・5月5日の夕方、不明な場所から携帯電話でお祖父さんに「ビバークする」と連絡

・5月6日の朝に、携帯電話でお祖父さんに「下山する」と連絡

・この後、携帯電話は通じなくなる

・5月6日午前中にお祖父さんは、駐在所に相談

・5月6日の夕方、県警が遭難を把握

・5月7日から捜索開始

 

登山開始が遅い

5月なのに登山開始が11時前後とは遅い。それでも、松平山から来た道を戻っていれば、4時頃には元の魚止滝付近の駐車場に戻れたかもしれない。戻らなかった理由は、それまで登って来た道が大変だったので、戻りたくなかったかもしれない。

 

残雪を見て中止と言う選択もあった

こんな状況で、残雪があると厄介です。子供連れというのはさらにきつい。当然ですが、アイゼンを付けない普通の登山靴で残雪を歩くと、滑らないよう歩くので時間がかかるし、時々滑って転んで疲れが溜まる。残雪に足跡がハッキリ付いているところはルートを見つけやすいが、足跡をうっかり信用すると違うルートに入ってしまう可能性がある。残雪の上には、枯れ葉や土がまだら模様に付いていて足跡がわかり難いこともある。登山道のところどころに残雪があると、夏道を見つけるのが難しくなる。

 

偉そうなことを言っていますが、私は残雪のある尾瀬で難渋しました。木道の上に残雪があるので滑り易いこと! 木道なのでルートを間違うことはありませんでしたが。

 

不幸な行き違いで捜索が遅れたし、混乱した

私が不審に思ったのは、親子のお祖父さんが5月6日朝(親子が一晩過ごした翌朝)駐在所に届け出たのに直ぐに捜索せず、捜索開始が7日になったこと。この捜索の遅れは痛いですね。本来なら5月5日の夜には捜索願を出すべきです。そうすると、6日から捜索が出来た。

 

捜索の遅れについて、県警幹部がお祖父さんのところに謝罪に来た。普通はこういう対応を取らないと思う。県警などの捜索の最中に、県警が謝罪に来るかな? しかし、お祖父さんと駐在所、県警との間でどういうやり取りがあったのか分からないので、何とも言えない。

 

残念なのは、このお祖父さん、偽の登山届を出していたこと。駐在所に届け出た時に「登山届は?」と聞かれて、親子が登山届を出していないと捜索しないのでは?と心配したのかな?(私の推測です) 7日に親子が書いた本当の登山届が見つかったけど、先に偽の登山届が発見されたので、7日は赤安山付近を捜索した。8日から松平山の登山道付近に捜索範囲を広げたので、1日違う場所を捜索したことになる。

 

そして24日後に遺体が見つかったコクラ沢付近は、二次遭難の可能性があったので一回も捜索しなかったと新潟県警は説明しているとか? う~ん? 二次遭難の可能性? 捜索する方法は無かったのかな?

 

理解しにくい疑問

遭難した親子のお父さんは、少なくとも5日の夕方と6日の朝の2回、お祖父さんに電話している。その時に、自分たちのいるおおよその場所を連絡しなかったのかな? 電話の相手のお祖父さんが出した偽の登山届は、親子が通ったと思える松平山ルートではなく、赤安山ルートで出しているので、連絡しなかったとしか思えない。

 

でもねえ、山葵山を通過したとか、松平山を通り過ぎた後に迷ったとか、そういうことを電話で連絡していれば、捜索範囲をもっと絞れたのに。それとも、松平山ルートを登ったけど、お祖父さんには赤安山ルートとウソをついたのかな。あるいは、何とか下山できると軽く考えていたので、今どのあたりにいるか伝えなかったのかな? どちらも考えづらいけど。

 

もっと詳しい調査を!

今回の一般的な遭難の原因を考えると下記のようなことが考えられる。

①登山開始時間が遅い

②残雪があったのに、それ用の装備を持っていなかった

③食料、水が日帰り用で、軽装だった(実際の所持品は不明)

④道に迷って谷筋を下ってしまった

⑤行き違いで捜索開始が遅れた

⑥偽の登山届で捜索が混乱した

⑦おおよその現在位置を連絡しなかった?

 

上に書いたことは推測がかなり入っているので、もっと事実を確認する必要がある。この遭難事件を教訓にするために。山の遭難の原因を詳しく分析している山の専門誌があるけど、この件も是非調べて欲しい。

 

結末が不幸な結果なので、ネットで検索しても、遭難した親子を非難する声は少なく、親子がかわいそうという声が多いようです。そこを敢えて言えば、山頂付近や日陰に残雪が残っているかもしれない5月初旬、1000m近い山に、小学校1年生の子供を連れて、昼近くから登山を始めるのは、無謀としか言いようがない。臆病な私は絶対に登りません。

 

死に至る遭難事故には、準備不足や手違い、不幸なことなどいくつかの要因が重なっていることがわかります。誰に言えば良いかわかりませんが、こういう不幸なことが起きないように願いたいものです。

 

2018.07.27

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿