ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

夏休みになって・・・・

2011年08月01日 | 医療
夏休みになって10日余り。
子どもの多くは、県外に短期避難するので、さぞや外来は暇になるだろう、
と、タカをくくっていたけれど、あんまりヒマじゃない。

 医療機関がヒマじゃないのは、ほんとはあんまりいいことじゃないんだけど。
 だって、具合の悪い方がそれだけいらっしゃる、ということなんだから・・・。

もっとも、おいでになるお子さんは、予防接種や健診も多い。
これまでの定期接種に加えて、肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチン・子宮癌のワクチン、
などが増えたので、それらの接種スケジュールの説明に、時間がかかる。
当院では、看護師がスケジュールの説明をかなりきっちりしてくれるので、
わたしは助かっているけど。

でも、相変わらず、ヘルパンギーナとか、手足口病とか、プール熱とか、
夏かぜウイルスのお子さんも多い。
ヘルパンギーナは、のどに口内炎のような水疱がたくさんできて、
小さいお子さんは痛くて(食べたくても)食べられなくて、
高熱の上、脱水や低血糖になってしまうこともある。この暑さだしね・・・。

点滴して、ちょっと元気になって帰ったおこさんが再診の時には、
診察室に入るなり、わたしの顔見て、思いっきり泣かれてしまったり。
そうだよなぁ、赤ちゃんだって、嫌なことされたのは、しっかり覚えてるよなぁ。
しかも、一週間前に予防接種なんかしてた日には、

「あ、このヒト、なんか、やなことしたヒト!」

って、みるみる表情が変わるんだもん。

でもね。

そういう赤ちゃんたちでも、
長いお付き合いのうちには、ある日突然、泣かなくなるから、不思議。

この夏休みの間に、転校や転園するお子さんもいる。
気管支喘息やアトピー性皮膚炎で通院してたお子さんには、
紹介状をお渡しすることもある。

カルテの数年前の記事をひっくり返しながら、紹介状を書く。
書きながら、そのお子さんが小さかった頃のことを思い出す。

あるお嬢ちゃんは、アトピーがひどくて、毎晩からだを掻きむしって、
いつも顔や手足が傷だらけだった。
少し良くなってきた頃に弟が産まれて、小さいながらも、甘えたいのを我慢して、
でも泣き虫さんで、すぐに目の周りが涙でかぶれて、それをまた掻くから、
いっつも、目の周りがカサカサしてたっけ。

転校することが決まった時、やっぱり泣いたんだそうだ。
我慢強い子だから、それがからだに出ないといいな。
そんなことを考えながら、紹介状を書いた。

 センセイもね、小学校は2回も転校したんだよ。
 でも、その分、お友達もたくさんできたよ。
 だから、あなたもナンにも心配ないよ。
 いろんなところにお友達ができるんだから、よかったね。

そう話したら、その子は恥ずかしそうに笑った。
うん。きっと、この子は、大丈夫だ。
いま、どうしてるかな。

子ども達だけで、キャンプに行ってる子。
お母さんと一緒に短期滞在してる子。
みんな、元気かな。

今年の夏休み。
わたしは、絶対に、忘れない。
お母さんの気持ち、お父さんの気持ち、子どもたちの気持ち、
避難した人も、ここで過ごした人も、
みんなが、それぞれに、どんな思いで過ごそうとしたか、
どんなふうに過ごしたか、
絶対に、忘れない。

 福島県の子ども達をお世話して下さってる自治体の方々、ボランティアの方々、
 ほんとうに、ありがとうございます。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。






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3 コメント

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BGMは井上陽水の「少年時代」の気分^^ (山田)
2011-08-24 09:33:31
小児科って、とても大変な診療科だと思いますが、子供の成長を共に見届ける事が出来ることは、医師にとってもとても励みになりますね^^転校していった子供達も、みんな、新しい土地で幸せにやって行けますよ。子供同士は偏見や先入観を持っていないから、きっと「福島から来たの?そっか、大変だったね。でも大丈夫だよ、仲良くしよう!!だって私も、友達が増えて嬉しいから^^」そんなにぎやかな会話が聞こえて来そうです^^
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こんばんは (なおみ)
2011-08-24 23:10:03
東京・鎌倉と旅行してきました。

よそのお家やホテルに泊まり続けるのはしんどいですね。親戚の家や親切なホテルでも、自分の家に勝る場所はないと思いました。後半はごはんがのどを通らなくなりました。

私なんかは勝手にしていることなんだ、でも避難している方々は・・・と、ふとした時に思いがよぎりました。どうせなら楽しもうと思っても、ふっと気にかかる。

私もこの夏のことは忘れないと思います。

「あの時は大変だったよね」と、過去形でみんなが振り返れる日が来るように。

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愚痴です~! (なおみ)
2011-08-28 15:59:17
 夏休みの最後に、一番下の子だけ「ふくしまっ子支援」の苗場に申し込んだのです。低学年は保護者同伴可だったのと、ひとつくらいはうちだって参加してみたいとのすけべ心から・・・。

 そうしたら当日の朝、子どもがまさかの高熱!この夏休みはあちこち連れまわしすぎたかな・・・と反省の気持ち半分。せっかく当たったのに!無料なのに!という意地汚い気持ち半分・・・。抽選で外れた人もいたかもしれないのに、うちらの分が無駄になっちゃって悪かったな~とか。

 一晩看病したら、おかげさまで元気になりました(先生に会えるチャンスを逃してしまった!残念!)。

 下の子は地震の直後、夜中に嘔吐・高熱、5月くらいに微熱とだるさを訴えてお休み1回、そして今回。これまで元気な子だったので、事故以降は不調を訴えられると、ちょっとドキッとします。

 今回は私も(宿泊先がホテルなので、家族単位の部屋かなと思って)楽しもうと、お茶にお菓子に本に音楽にパックにアロマに・・・と荷造りしていたのですが、がっくりきて魂が抜けてしまいました。

 置いていくはずだった家族には「今、私いないから。ここにいるのは抜け殻だから」と宣言して、子どもの看病以外家事をしないことに決めました。予定では火曜の夕方、正気に戻るでしょう。

 なんか~気持ちが~疲れちゃいました~。

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