ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

たいせつなともだち

2016年03月03日 | 子どもたち
先日、月1回の赤ちゃんクラスの健診のためにある保育園に行った。
健診が終わって帰る時に、ホールでは年長さんたちが並んで歌を歌っていた。
卒園式の練習らしい。
観客は、先生方と年中・年少のこどもたち。
わたしも一緒に聴かせていただいた。

卒園ソングのようだけど、わたしは初めて聴く曲。
なかなかむずかしそうなメロディーなのに、みんな上手だなぁ。

 だいすきなほいくえんとも もうおわかれ
 ほいくえんのこと わすれないよ
 うんどうかいの かけっこでころんだ
 みんなが おうえんしてくれた
 ともだちと けんかして なかなおりした
 せんせい ありがとう
 おとうさん おかあさん ありがとう
 すてきな一年生に なるよ
  ・・・・・・・

といった内容の歌詞だった。

子ども達はからだでリズムをとりながら、一生懸命歌っている。

 あの子も。

 あの子も。

 あの子も。

みんな、赤ちゃんクラスの時から毎月健診させていただいたお子さんたちだ。
わたしの外来に来てくれているお子さんたちもいる。

5年前のあの日。
この子たちはまだ1歳だった。
あんな事故さえなければ、
葉っぱや泥んこや水に触れ、風の音や雨の音、などを全身で感じ取りながら、
これから、からだも心も作られていく年齢だった。

窓を開けることもできず、園庭にも出られない日々があった。
ここでこの子たちをしっかり育てていくために、
親御さんたちも先生たちも、みんな一生懸命だった。

食べ物のこと。
外遊びのこと。
心やからだの発達のこと。
これからのからだへの影響のこと。

いろいろな情報に押しつぶされそうになりながら、
毎日毎日を精一杯暮らしてきたお父さん・お母さん・先生たちの姿を、
この5年間、ずっと見てきた。

あんなこと・こんなこと・がぐるぐると走馬燈のように浮かんで、
子どもたちの歌を聴きながら目頭が熱くなった。

みんな、人生これから、まだまだ楽しいことがたくさん待ってるよ。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 歌の動画か音声を載せようと試みたけどうまくいきませんでした。
 どんな歌かご興味のある方は
 「たいせつなともだち」で検索してみてください。
 もともとはベネッセのオリジナルCM?の歌だったそうです。

福島は子育ての先進県!

2015年10月24日 | 子どもたち
週末、首都圏のある大学の、幼児教育を専門とする学科が主催の、
「子どもの遊び」をテーマにしたシンポジウムに招かれてきた。
「子どもの遊び環境デザイン」をライフワークになさっている建築家の方の御講演の後、
幼稚園・保育園の園長先生のお話・わたし、の3人がそれぞれの立場での話をした。

建築家の先生のお話は約1時間とたっぷりあったのだけれど、
淡々と話すその内容はとても興味深く、あっという間だった。

幼稚園と保育園の園長先生のお話も面白かった。
子どもたちには無限の可能性がある、そう信じられる内容だった。

今回のシンポジウムを依頼されたのは、福島の小児科医として、ということだった。
「遊び」がテーマだったけれど、震災・原発事故・放射線のことを抜きには
「福島の小児科医として」の話はできないし・・・、
かといってあまりテーマからはずれてはいけないし・・・。
すごく迷って、シンポジウムのレジュメは放射線に関係することを中心にまとめ、
実際にお話しするスライドは、遊びや心に関する内容を多く盛り込んだ(つもり)。

わたしの順番は3人の最後だった。

 震災の当初は閉じこもらざるを得なかった子どもたちも、
 今ではみんな元気に外遊びをしていること。
 県産のものは怖がっていた親御さんたちも、
 気にせず食べられるようになっている方々が増えていること。
 何よりも、県民健康調査の結果からは、子どもたちの健康被害は無いに等しいこと。
 今後は肥満や生活習慣病対策も必要で、そのためにも「遊び」は大切。
 福島は、一度壊れてゼロというよりマイナスからのスタートだけれど、
 これからも福島の子どもたちの成育を見守っていきたい。

・・・おおざっぱにはこんな内容のことをしゃべってきた。

この4年半、気にしないようにはしていたけれど、
やっぱり、叩かれるのはつらかった。
つらい、っていうより、恐怖、といったほうがいいかな。
だから、首都圏の方々を前に少しでも放射線に関することをしゃべるのは、
ほんとうはちょっと怖かった。
でも、大学の学生さんも含め、学校関係の方々や一般の方々など、ほとんどの方々に、
福島の本当の現状について、好意的に聴いていただけたように感じた。

最後のまとめで、建築家の先生が次のような内容のことをおっしゃった。

 福島は、今回のことで、子どもの健康について皆がより関心を持つようになりました。
 だから、子どもの健康・子育てに関しては、むしろ福島は先進県になるのだと思います。

ああ・・・。
そうか・・・。
マイナスからのスタート、じゃなくて、先進県。
そういうとらえ方をすればいいんだ。

日頃、お母さんたちにも、このブログでも、
「ものごとのとらえ方」を変えることで気持ちが変わりますよ、
なんて言ってたけれど、まだまだだなぁ、わたし。

園長先生方の明るく楽しい子どもたちのお話と、
建築家の先生の含蓄のあるお話と、
主催した学科の先生の優しいお心遣いに触れて、
あたたかく満ち足りた気持ちで帰路についた。



センセイ、ボクね・・・、

2011年09月18日 | 子どもたち
最近、時々外来においでになるお子さんがいる。
4歳とちょっとの、幼稚園に通うKくんだ。
この年齢だと、初対面の診察には人見知りすることも多いのだけれど、
なかなかどうして、しっかりしたおぼっちゃん、という印象のお子さんだ。

先日、Kくんは日本脳炎の1回目の予防接種をした。
Kくんにとっては、当院でする初めての予防接種だ。
お母さんに抱っこされて、泣かずに頑張った。
言い聞かされてもきたらしい。
みんなに絶賛されて、ちょっと得意げでもあった。

日本脳炎の予防接種は、初めの年には、1週間から4週間の間隔で、2回目をする。
次の接種時期をお母さんにご説明し、終わって診察室を出る時に、
わたしの肩をトントン、と叩いて、Kくんが言った。

「あのね、センセイ、ボクね、幼稚園が忙しいから、なかなか来れないの。」

「???・・・?」

お母さんも看護師もわたしも、どういう意味なのか一瞬わからなかった。
でも、ちょっと考えて見当がついた。

Kくんは、次の予防接種、ボクはやだよ! と遠回しに言ってるのだ。

みんなで爆笑した。

そうかぁ、忙しいのかぁ、じゃあ、幼稚園が暇な時に、来てね。
そう言って、ばいばいをした。

子どもの発想って、おもしろい。
ちょっとだけ、しあわせな気持ちになった。

新学期

2011年09月01日 | 子どもたち
今日から市内の小中学校は新学期を迎えた。
(一部の中学校は、数日前から2学期になっている。)

夏休みにさまざまなところへ出かけていた子どもたちも、元気に帰ってきた

家族で旅行してきた子。
お母さんと短期ステイしてきた子。
子どもたちだけで、サマースクールに参加してきた子。

いっぱい、遊んだこと、たくさん話してくれるお子さんもいる。
よかったね。楽しかったんだね。

・・・夏休みの宿題追い込みは、大変だったらしいが・・・(^_^;)

お父さんもお母さんも、お疲れさまでした。

9月から、ほぼ全ての子どもたちは、線量計をぶらさげている。
県で実施する被ばく調査のためのものだ。

いろんなことを言う人が、いるだろう。
モルモットだとか、今さら意味はあるのか、とか。
でもさ、これが安心の材料になればいい。わたしはそう思う。

  
 (もっと書きたいことがあって、草稿のままにしていたけど、このままupします)






 

小さいお母さん

2010年07月30日 | 子どもたち
今日の外来に来た女の子。
お気に入りのぷーさんをおんぶしてました。
しっかりカメラ目線です


今どきのお母さんたちって、あんまり赤ちゃんをおんぶしません。
そのせいなのかな、今のお子さんたちも、
おままごとやお母さんごっこでお人形をおんぶしたり抱っこして遊ぶことが、
少ないように感じていました。
だから、こんな格好のお子さんを見ると、なんだかほんわか嬉しくなってしまいます。

このお嬢ちゃんがあんまり可愛いので、お母さんの許可を得て、
写真を撮らせていただきました。
携帯だからあまりキレイじゃないんだけど。

          
自分の身長とおなじぐらいのぷーさんです。
おしりが可愛い
人形は動かないのだけれど、こういう「成り切り遊び」「ごっこ遊び」って、
子どもの感性を豊かにするといいます。
すでに出来上がったオモチャで遊ぶのじゃなくてね。
きっとこのお嬢ちゃんは、
自分もお母さんにたくさんおんぶしてもらったんだろうな。
あなたもお母さんになったら、ホンモノの赤ちゃんを、
たくさんたくさん、おんぶしたり、抱っこしてあげてね。

バージョンアップ

2010年04月15日 | 子どもたち
 Aくんが久しぶりに外来にやってきました。
 得意そうに、いつもの「作品」を手にしています。
 今回は、これ。


 一見、いつも作ってるトラックの用ですが・・・、
 彼はさらに工夫をしています。
 市販の「合体ロボ」みたいに、あちこちを変形させて、ロボットになるんです。
 ロボットになったのが、これ。
    

「これが手になってね、そいでね、ここがこう動いてね、・・・」
 Aくんのアタマの中では、ロボットがどんどんいろんなことをしていきます。
 
 本当はもっといろいろ変形するんだけど、時間がなくて写真を撮ることができませんでした。
 Aくん、また作ってね!
 

新学期と学校健診

2010年04月07日 | 子どもたち
昨日は市内の小中学校の入学式でした。
幼稚園年長組でおにいさん・おねえさんだった子どもたち、今度は一番小さい学年です。
1年生からみたら6年生なんてずっとずっと大きいお兄さんやお姉さんです。
先生たちだって、幼稚園や保育園の先生たちとは雰囲気が違います。
きっとドキドキしながらランドセルを背負い、小学校の門をくぐったお子さんもいたでしょう。
付き添っていくお母さんたちも、ドキドキです。
うちの子、うまく通えるかな。
お友達できるかな。
期待と不安の入り混じった4月、今年は寒いです。
無理して入学式に出席したお子さんもいるだろうな。
わたしは別の意味で、こういう時期は心配です。

さて、今日は校医をしている中学校の内科健診がさっそくにありました。
そこは市内では比較的マンモス校で、今日は3年生6クラスの約180人ほどです。
どうして新学期早々か、って?
それは来週修学旅行があるから。
できれば、旅行前に内科健診をやって、具合の悪い生徒さんは早めに対処できるようにとの学校の計らいです。

その3年生、2年前の1年生の時は初々しくて、服装の乱れもなく、みんな素直な子どもたちでした。
もちろん、3年生になった今だって、心根は同じ。いい子たちです。
でもねぇ・・・。
なんでジャージの裾をぼろぼろになるまで踏んづけるほど下げて、
トランクスやショーツ(女子!)まで見えるぐらいの腰パンの格好してるかなぁ。
トランクスもショーツも、下着だよ、下着。下着はふつう、人目につかないように身につけるもの。
君たち、羞恥心はないのかい?! って訊きたい。
だって、ここは学校だよ!?
流行を追うことって、TPOに見合う服装をすることも含まれると思うけどね。

日本人の体型も変化してきて、今時の子どもたちは足も長いけどさ、やっぱり似合わないよ。腰パン。
そういえば、オリンピックでも非難を浴びた代表選手がいましたね。

ルーズソックスもいつのまにか消えてしまいましたが、腰パンが消えるのはいつになるのかな。

新学期になって中学校の学校健診のたびに、腰パンが気になるわたしです。

 
 

手作りおもちゃとお片付け

2009年12月09日 | 子どもたち
今日は午後から市の3歳児健診があって、
そのあと、毎月1回の保育園の健診に行ってきました。
0歳と1歳のお子さんのクラスです。
みんなおやつも食べ終わって遊んでいました。

その赤ちゃんクラスの部屋はとても広々しています。
保育士の先生たちが時々模様替えをしていて、思わずわたしも一緒に遊びたくなります

ふと目に付いたのが、写真の棚でした。
段ボールの箱に、おもちゃの写真をはってます。
なんと、小さい赤ちゃんたちが、その写真の箱にちゃーんとおもちゃを片付けるんだそうです
これって、おうちでも応用できそうですよね。
わたしも、うちの子どもたちが小さい頃にこういう工夫をすればよかった・・・



箱の中には、こんな手作りおもちゃが

ペットボトルに教材用の色水とセロファン紙を小さく切ったものと大きいビーズ?が入ってます。
振ると万華鏡のようにセロファンがゆらゆら動いて、カラカラ音がします
手前の丸いのは、ガチャガチャの中にビーズを入れてビニールテープで閉じたもの。
携帯で撮ったので、あまりに色合いがわかりませんが、とってもキレイです。

こんなのも作ったんですよ、って見せていただいたのが、これ。

牛乳パックをこんな形に切って、色を塗って、透明なテープで丈夫にします。


で、広げるとこんな風に。


こうやって遊ぶんですって

いつ作るんですか? って聞いたら、家に帰ってから夜作るんだそうな。
このアンパンマンシリーズも、保育士の先生たちが考えたんですって。
毎日小さい赤ちゃんたちの保育でへとへとでしょうに、
先生たちのエネルギーには脱帽です。

帰りぎわ、歩ける赤ちゃんたちはいつもバイバイとタッチをしてくれます。
大きいクラスの子どもたちも、わたしを見つけて、
「あっ!○○センセイだ!」と駆け寄ってきてくれました。
みんなとタッチやら握手やらして、さよならしてきました。

子どもの笑顔、って、いいなぁ・・

マーチングフェスタ2009

2009年11月29日 | 子どもたち


今日は当市でマーチングフェスタ2009というイベントがありました。
赤ちゃんの時から診ているお子さんが通っている小学校のマーチングバンドも参加します。
その子は、今年から入部したのだそうです。

センセイ、29日の日曜日、1時から、よかったら観に来て下さい。

この間の外来で、そうお誘いを受けたので、行ってきました。
マーチングはTVでは知ってるけど、実際にはまだ観たことがありません。
夫も母も興味があるらしく、3人で出かけました。


少し遅れてしまったのですが、丁度プログラムの2番目、その子の小学校の出番でした。
どれどれ、いるかな・・・?
あ、いたいた!
上級生のお姉さんたちの間で、小さいながら一生懸命演奏しています。
ドリルもきびきび動いて決まってたし、カラーガードの女の子達もなかなか素敵。
我が子じゃないのに、感動です

その小学校は、もうひとつの小学校と共に、これまでに何度も全国大会まで出場しています。
それも、金賞や銀賞です。
練習も半端じゃないらしい。
練習がつらくて、学校に行くのもつらくなってしまうお子さんも、診察したことがあります。
こんな風に書くと、そんなにまでして・・・・、って感じる方々が必ずいらっしゃると思う。
でもね。
子どもの時に、仲間と一緒に何かを一生懸命頑張る、ともかくもやり遂げるという体験は、
とても大切なことだと思います。
精一杯頑張った記憶は、その後の人生の糧に、必ずなるから・・・。

平日の放課後や休日の殆どを練習に費やす子どもたちは勿論大変だけれども、
その子たちを陰で応援し、支える親御さんたちにも、拍手です。

フェスタが行われた体育館は、我が子や孫・友だちを観ようと詰めかけた観客で満員でした。
みんな、親バカ・じじ・ばばバカです。(^_^)
わたしは何バカ、っていうのかな。

その子もこれから、練習がうまくいかなかったり、仲間と喧嘩したり、
監督(って言うのかな?)や先輩に叱られたりすることがあるかも知れません。
投げ出したりしたくなることだって、あるかも知れません。
でも、家族も友だちもわたしも、応援してるからね。

素晴らしい演奏でした。とても楽しかったよ。
ありがとう。







孫が!?

2009年07月14日 | 子どもたち
孫が産まれたらこんな気分? >^_^< 
そんな風に感じるお産がありました。

わたしが当地に帰ってきて、初めて大学から外の病院に勤務した時に、
初めて「わたしの外来」に通ってくれていた兄妹がいました。
(外の病院、というのは、大学勤務に対して使う表現です)

その後また大学に戻り、さらに別の病院に勤務し、開業してからも、
ときどきおいでになりました。
お兄ちゃんは、今どき珍しいぐらいの爽やか少年、
妹もこれまた目元涼しげな可愛らしいお嬢ちゃんでした。
こんな出来たお子さんたちを育てたのはどんなお母さまかと思いきや、
なかなか型破りなドラマチックなお母さまで(しかも美人ときている)、
思ったことはずばずばおっしゃる(だからわたしと気が合う)。
さまざまなシーンでの、本質をとらえたそのお母さまの言葉には、
わたし自身が実は、とても助けられていました。

爽やか少年は青年となって海外で仕事に就き、
お嬢ちゃんはお嬢さんになってお嫁に行きました。
そのご家族から、ふしめふしめのお知らせが届くたびに、
すでに鬼籍に入られたお父さまもきっと見守って下さっているのだろうと、
ご家族のしあわせを祈っていました。

お嬢さんが新米お母さんになった日、
目の前で力強く泣く赤ちゃんを診察しながら、
それまでのご家族が過ごした日々に思いをはせました。
命って、こうやって、次の世代に伝えられていくんだな・・・。

当地にきて初めての患者さんが、お母さんになって、
その赤ちゃんをわたしが抱っこしてるなんて!
孫、って、もしかしたらこんな気持ちなんでしょうか!?

 ごめんね。ほかの赤ちゃんたちと区別してる訳じゃないからね。
 赤ちゃんは、みんなみんな、かわいいからね。
 


新幹線

2009年05月19日 | 子どもたち
 いつものAくん。
 この春から保育園の年中さんになりました。
 今日はこんな作品です。
 新幹線に、人が乗っています!

 お母さんとふたりだけの、蜜月のような日々から一転、
 急に保育園に行くことになったのは、数ヶ月前。
 Aくんは、おともだちや保育園の先生ともお話もできず、
 顔もからだもこわばって、泣くこともできなくなっていました。

 今年は元気に通っているようです。
 かぜをひいて受診することも、ぐっと少なくなりました。

 子どもは、成長の過程で、ある日突然ステップアップします。

 何かを作ったり、絵を描いたりする中で、
 そこに「人」が登場するようになれば、もうしめたもの。
 その子の心に「人とのかかわり」が根を張り始めた証拠です。
 
 小児科医やっててよかった! と実感する瞬間です。
 
 
 

できたよ!

2008年10月01日 | 子どもたち
3歳のAくんが、にこにこしながら診察室に入ってきました。
手には大事そうに、待合室のブロックで作ったトラック? かな?
ぜんぶ、ひとりで作ったんですって。
写真ではわかりにくいですが、なかなか、内部まで凝ってるんです。

うわぁ、すごいねぇ、かっこいいねぇ!!
看護婦さんも、みんなでほめたら、とても嬉しそうに、得意げな笑顔でした。

Аくんは、最近お母さんがお仕事を始めたので、保育園に行きはじめました。
はじめは、大好きなお母さんと離れるのがつらくて、泣くこともできないぐらいショックで、
保育園ではごはんもおやつも口にできないぐらい、かたまっていたのだそうです。
わたしの外来に来ても、まるで別人のように、表情が硬くなってしまいました。
でもお母さんは、どうしても働かなければななりません。
悲しくて、涙がこぼれる毎日でした。

保育園の先生とお母さんとで相談して、毎日、ちょっとずつ時間を長くしていって、
お母さんのお仕事の時間もなるべく都合をつけて、
少しずつ、少しずつ、慣れていきました。
お母さんも、がんばりました。

 センセイ、今日は、お昼までいられました。

 センセイ、今日は、お昼ごはんも食べられました。

 センセイ、今日は、午後のお昼寝もできました。

 センセイ、今日は、おやつもちゃんと食べたんです。

数ヶ月かけて、Аくんはだんだん保育園にも慣れていきました。
Аくんがにこにこになって、お母さんもにこにこになりました。
今は保育園に行くのが楽しくなってきたみたいです。

Аくんの笑顔がうれしくて、「作品」を記念に撮らせていただきました。


保育園

2008年01月09日 | 子どもたち
3日の休日当番がすごく混んだので、
7日からの外来もどうなることかとドキドキだったけど、
予想に反してまずまず落ち着いている。
 
今日は、外来が終わったあと、明日退院の産科の赤ちゃんを病棟で診察して、
今日産まれた赤ちゃんの申し送りを聞いて、午後から近くの保育園の健診に出かけた。
保育園の0歳児は、厚労省の決まりで、毎月健診を受けることになっている。

その保育園の赤ちゃんクラスは、入り口を入って一番奥の広い部屋にある。
午後2時半過ぎ。
まだ他のクラスのほとんどの子たちは、お昼寝中だ。
起こさないように小さい声で、「コンニチハ~」と言いながら入っていった。
赤ちゃんクラスでは、半分ぐらいがもう起きていた。
ひとりひとり、保育士さんが抱っこして、診察がはじまる。
たまに泣いてしまう子もいるけど、ほとんどはおとなしくしている。
中には、自分でおなかを出して順番を待ってる子も。(●^_^●)
診察が終わった子も、テーブルの回りに座って、仲間の診察をじぃっと見ている。
濁りのない瞳が並んでいる光景は、まるで、いわさきちひろの絵の世界だ。

0歳児は、成長が早い。
先月まではまだ赤ちゃんだった子が、いつのまにか幼児の顔つきになってる。
0歳児クラスでも、もう1歳になってる子は、赤ちゃんの面倒をみたりしている。
赤ちゃんの世界も、小さな社会ができてるんだなぁ。


サンタクロース

2007年12月22日 | 子どもたち
ある5歳の男の子。
その日は、2回目のインフルエンザワクチンだった。
1回目は、ちょっと泣いてしまった。
今回は、歯を食いしばって、顔を真っ赤にして、泣かずに頑張った。
おにいちゃん、すごい!
泣かないでできたねぇ!!
3歳の妹も、つられて頑張った。
すごい、すごい!
お兄ちゃんが頑張ったら、妹も上手にできたねぇ!!
おにいちゃん、ありがとう。
きっと、サンタが来るよ。

「センセイ、ちゃんとサンタに電話しといてね」とお兄ちゃん。

よし。わかった。頑張ったこと、ちゃ~んと、サンタに電話しとくよ。
そしたら、サンタからパパとママに電話がくると思うから。
ママ、よろしくね♪

「あはは。わかりましたぁ」とお母さん。
お母さんと子どもたちは、笑顔で帰って行った。

もちろん、サンタクロースは、泣いた子にも暴れた子にも、来るけどね。