辻井伸行くんという、二十歳のピアニストがいます。
2ヶ月前にアメリカで開催されたヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、
日本人として初めて優勝したので、一躍有名になりました。
彼が子どもの頃に演奏しているのをTVで初めて聴いて以来、
わたしはひそかに応援していました。
初めて聴いたのが何の曲だったのかは覚えていません。
ショパンだったような気もするし・・・。
12歳の時の彼の初めてのリサイタルの映像かもしれないし、
その後、指揮者の佐渡裕氏との協演もありました。
題名のない音楽会、だったかな。
2005年には、かの有名なショパンコンクールで、
ファイナル(最終)には残れませんでしたが、
セミファイナルまで残り、批評家賞を受賞しました。
その時のドキュメンタリーも観ました。
(今回また再放送されたようです。)
初めて彼の演奏を聴いた時、なんて澄んだ音色なんだろうと思いました。
そしてとにかく指の動きが速い!
子どもらしさがまだ残りつつも、将来を予感させるようなその音色に、
これからこの子は、どんなピアニストになるのだろうと、
思わずTVの画面に釘付けになってしまいました。
わたしもつなないピアノを弾くので、映像として演奏家を観る時は、
音を聴きながらも、どうしても鍵盤の手元ばかりを見てしまいます。
普通は、フレーズの終わりに指を鍵盤から離すとき、手首や腕も自然に上がります。
そうやって常に腕の力を抜いて、次の音を出す瞬間に備えるのです。
でも彼は、鍵盤の中央部分を弾いている時は感じないのですが、
鍵盤の両サイドまで弾かなければならないフレーズのところになると、
指がねて、手首や腕もあまり上げずに、鍵盤をなでるように弾いていました。
どうしてこんな弾き方でこの音色が出せるのだろう???
わたしの興味は、ますますわいてきて、聴き入っていました。
そのうちにふと、彼がほかの演奏家とは異なるからだの動きをしているのに気付きました。
あの動きは、誰かに似ている・・・。
そうだ、スティービーワンダーだ!
・・・もしかしてこの子は、目が見えてない???
そして番組の終わりになって、彼がやはり全盲であったことがわかりました。
あのからだの動き、頭の動かし方、指や腕の動かし方が、納得できました。
それ以来のひそかなファンでした。
今回の受賞は、とても嬉しいです。
ネットなど拝見すると、いろんな意見がありますが、優勝は優勝です。
いや、優勝でなくても、素晴らしい才能があることは、多くの人たちが認めるところでしょう。
今回のヴァン・クライバーンコンクールでの演奏は、ネットの動画でも観ることができました。
ファイナルの演奏は、フィギュアスケートで村主さんが使用していることで知られている、
ラフマニノフのピアノコンチェルトでした。
でもわたしは、彼のセミファイナルでの演奏に、さまざまなことを思いました。
セミファイナルでの曲は、べーートーヴェンのピアノソナタ「熱情」でした。
ベートーヴェンがこのソナタを作曲した時は、すでに聴力のほとんどを失っていました。
誰もが知っている交響曲「運命」の頃にはすでに難聴が悪化しはじめています。
そして、「第7番」(←「のだめ」で有名になりました)「田園」「第九」などは、
聴力がほとんどなくなってからのものです。
でも、現代のわたし達は、「耳の聞こえないベートーヴェンの曲」とは思いません。
そんなことは関係なしに、年末には「第九」がそこここで流れます。
辻井邦行くんを「全盲のピアニスト」と称するのは彼に失礼というものでしょう。
聴力を失った作曲家の曲を、視力を持たずに育った若者が演奏している・・・。
つまるところ、音楽に大切なのは、ものを感じる「心」なんですね。
2ヶ月前にアメリカで開催されたヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、
日本人として初めて優勝したので、一躍有名になりました。
彼が子どもの頃に演奏しているのをTVで初めて聴いて以来、
わたしはひそかに応援していました。
初めて聴いたのが何の曲だったのかは覚えていません。
ショパンだったような気もするし・・・。
12歳の時の彼の初めてのリサイタルの映像かもしれないし、
その後、指揮者の佐渡裕氏との協演もありました。
題名のない音楽会、だったかな。
2005年には、かの有名なショパンコンクールで、
ファイナル(最終)には残れませんでしたが、
セミファイナルまで残り、批評家賞を受賞しました。
その時のドキュメンタリーも観ました。
(今回また再放送されたようです。)
初めて彼の演奏を聴いた時、なんて澄んだ音色なんだろうと思いました。
そしてとにかく指の動きが速い!
子どもらしさがまだ残りつつも、将来を予感させるようなその音色に、
これからこの子は、どんなピアニストになるのだろうと、
思わずTVの画面に釘付けになってしまいました。
わたしもつなないピアノを弾くので、映像として演奏家を観る時は、
音を聴きながらも、どうしても鍵盤の手元ばかりを見てしまいます。
普通は、フレーズの終わりに指を鍵盤から離すとき、手首や腕も自然に上がります。
そうやって常に腕の力を抜いて、次の音を出す瞬間に備えるのです。
でも彼は、鍵盤の中央部分を弾いている時は感じないのですが、
鍵盤の両サイドまで弾かなければならないフレーズのところになると、
指がねて、手首や腕もあまり上げずに、鍵盤をなでるように弾いていました。
どうしてこんな弾き方でこの音色が出せるのだろう???
わたしの興味は、ますますわいてきて、聴き入っていました。
そのうちにふと、彼がほかの演奏家とは異なるからだの動きをしているのに気付きました。
あの動きは、誰かに似ている・・・。
そうだ、スティービーワンダーだ!
・・・もしかしてこの子は、目が見えてない???
そして番組の終わりになって、彼がやはり全盲であったことがわかりました。
あのからだの動き、頭の動かし方、指や腕の動かし方が、納得できました。
それ以来のひそかなファンでした。
今回の受賞は、とても嬉しいです。
ネットなど拝見すると、いろんな意見がありますが、優勝は優勝です。
いや、優勝でなくても、素晴らしい才能があることは、多くの人たちが認めるところでしょう。
今回のヴァン・クライバーンコンクールでの演奏は、ネットの動画でも観ることができました。
ファイナルの演奏は、フィギュアスケートで村主さんが使用していることで知られている、
ラフマニノフのピアノコンチェルトでした。
でもわたしは、彼のセミファイナルでの演奏に、さまざまなことを思いました。
セミファイナルでの曲は、べーートーヴェンのピアノソナタ「熱情」でした。
ベートーヴェンがこのソナタを作曲した時は、すでに聴力のほとんどを失っていました。
誰もが知っている交響曲「運命」の頃にはすでに難聴が悪化しはじめています。
そして、「第7番」(←「のだめ」で有名になりました)「田園」「第九」などは、
聴力がほとんどなくなってからのものです。
でも、現代のわたし達は、「耳の聞こえないベートーヴェンの曲」とは思いません。
そんなことは関係なしに、年末には「第九」がそこここで流れます。
辻井邦行くんを「全盲のピアニスト」と称するのは彼に失礼というものでしょう。
聴力を失った作曲家の曲を、視力を持たずに育った若者が演奏している・・・。
つまるところ、音楽に大切なのは、ものを感じる「心」なんですね。