ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

復興記念貨幣

2012年02月22日 | 東日本大震災
平成27年度に4回、政府は、復興記念貨幣を発行するらしい。
1万円金貨と、千円銀貨。
貨幣のデザインは、いいな。うん。いいと思う。

でも、「復興記念」?

「記念」じゃなくて、「祈念」じゃないのか?

平成27年度には、もう復興していると?

だから「記念」?



こんな表現にも過敏になるのは、おかしいかな・・・。




宿題がひとつ、終わった

2012年02月21日 | 日々のつぶやき
ある小児科関連の雑誌に投稿依頼の原稿があったのだけど、先日、やっとできた。
4月発行で、震災の特集なのだそうだ。
そして、わたしに依頼されたのは、福島県での被ばくの影響に関すること、だった。
放射線医学の専門家ではないわたしに書けることって、なんだろう?
どう書けばいい?
学会誌ではないから気楽に思うことを書けばいい、と思いつつも、ずっと逡巡していた。
だって、その特集号のわたしの記事のひとつ前には、あの方の文章も掲載予定なのだ。
単身ロシアに渡り、多くの甲状腺がんのお子さんの手術を手がけ、現地の医師を指導してきた、
あの首長さんだ。
その方の論文と、わたしの駄文が、並んで掲載される。
どうしよう・・・、と思った。
引き受けてから、やっぱり原稿依頼を断ろうか、とも思った。
でも、やっぱり、断ってはいけない、と思い直した。
原稿用紙20枚以内。
その雑誌を手にするであろう全国の小児科の先生方に、
福島県の小児科医としてお伝えしたいことは、ただひとつ。
「福島県の子どもたちに放射線被ばくによる健康被害の可能性は極めて低い」
ということ。
でも、そのことを説明するための根拠や、
わたしたち地元の小児科医が毎日接するお子さんや親御さんが、
これまでの11ヶ月余り、どのような思いで過ごしてきたのか、
困ったことは何か、ありがたかったことは何か、これからどうすべきか、
記しておきたいことは、山ほどあった。
焦点をしぼって、20枚以内にまとめるのが大変だった。

その首長さんの論文の内容は、押して知るべし。
その地の広報でも、御著書でも、講演会でも、おっしゃっていることだ。
「福島県の中通り地域もチェルノブイリの避難指定と同等の汚染があるのだから、
 子どもの将来のためには一時的に避難・疎開が必要であり、行政はそれを支援すべき」
という内容だと想像する。説得力もあるだろう。
わたしの書いた内容は、それとは正反対のものだ。
(いや、行政の支援は必要と思ってます。)
できあがった原稿は、やっぱり舌足らずの感がある。
経歴ひとつとっても、わたしの書いたものが信用されるかは、怪しい。
たくさん、批判されるかも知れない。

でも、いいんだ。
地元で暮らす者が、地元の方々の状況を正直に伝えて、何が悪い。


3月にも、頼まれている講演がある。
いずれそれも、文章にしなくちゃならないらしい。

あぁぁ・・・。
若い頃に、もっと論文の書き方、勉強しとくんだったな・・・。
論文などではない原稿ひとつに、四苦八苦してるんだもんなぁ・・・。

今日届いたばかりの地元の医大小児科の同門会誌に、
「恩師のこと」のエントリーの先生のエッセイが載っていた。
そのエッセイの最後のほうで、「若い先生方へ」というのがあって、
学会などで口演したものは速やかに文章にすることを忘れてはなりません、
それは共同研究者にも失礼にあたるものです、という内容の文章があった。
そこには書かれていなかったけれど、かつて教授はこうもおっしゃっておられた。
症例報告をしたのなら、それを文章にして残さなければ、その患者さんにも失礼なのです、と。
わたしはもはや「若い先生」ではないのだけれど、
今更ながら、その意味を身にしみて感じる。

あぁぁ・・・。
医局時代に、ちゃんと教えを守ってりゃよかったな・・・。


 _____________________________________

 ところで、ちょっと、誤解を招くといけないかな、って後で思ったので・・・。
 前のエントリーのわたしのコメントの、みいさんへの返信で、
 大学受験の物理がからきしできなくて、生物で受験したと書きました。
 あくまでもわたしのアタマの問題でして、まして大学受験レベルのことです。
 一般的に物理学と生物学とを比較してどうの、という意味ではありませんので、
 読んだ方々は誤解のないようお願いいたします。m(_ _)m

 その物理・・・。
 ここ数年、ほとんど見なくなってたのに、つい先日、物理の模試で0点取った夢を見た。
 たぶん、放射線とは? なんてことばっかり毎日考えてるからだ・・。




「低線量被ばくとがんの生物学」

2012年02月02日 | 東日本大震災
地域で開催する講演会やおいでになる親御さん達にお伝えするために、
昨年以来ずっと、放射線に関する資料を探し、集め、読んで勉強している。
まったく、こんなに勉強するなんてわたしの生涯でも初めてといっていいぐらいだ。
 (だから今年は雪が多いのか?!)

で、最近になって表題のサイトを見つけた。

「低線量被ばくとがんの生物学」
http://www.bio-function.co.jp/LD/LDBIOL.html

パソコンで読むのには時間がかかるが、かなり詳しくわかりやすく書いてある。
これもオススメです。

(「生体機能研究会」というサイトで、東京理科大学の先生が執筆なさっています)




「基礎から学ぶ緊急被ばくガイド」

2012年02月02日 | 東日本大震災
わたしのブログのブックマークにもある「放射線学入門」の資料を作成なさった先生が、
その内容をバージョンアップして本を出版なさった。

「基礎から学ぶ緊急被ばくガイド」
http://www.iryokagaku.co.jp/frame/03-honwosagasu/422/422.html
     ↑
ここから立ち読みもできる。

この「あとがき」に、おもわず うるっ となってしまった。
クリックしても読めるが、以下にあとがきの全文を・・・。

  これまで足を踏み入れたことがなかった東北地方。福島に初めて訪れたのが平成23 年7 月。
 以来講演、シンポジウム参加あるいは原発での医療や健診等で半年間のうちに5 回福島を訪問した。
 福島県民の人柄や土地柄に触れ、新たな発見ができ、とても良い経験になった。
 恥ずかしながら、福島のおいしい農産物、海産物、名菓がたくさんあることを知らなかった。
 伊達市の桃は初めて購入させてもらい、「ゆべし」と「薄皮饅頭」は必ずお土産に買う。

  ある高校生が演劇で言った台詞がある。
    福島に生まれて、福島で育って、
    福島で働いて、福島で結婚して、
    福島で子供を産んで、
    福島で子供を育てて、
    福島で孫を見て、福島でひ孫を見て、福島で最期を過ごす。
    それが私の夢なのです。

  私も市民講演で引用したが、途中でなぜかしら感極まり、言葉を詰まらせてしまい、
 最後まで読めなかった。今でも、読むと涙が出てしまう。日本では過去になかった原発事故が
 もたらした福島へのいわれのない風評被害や偏見、これまで何事もなく普通に暮らしてきた生活が
 一変したことへの悔しい思いは、私も同様に感じるためかもしれない。

  放射線に対する不安度をアンケート調査したところ、一般市民、医師、授業で放射線を
 習ったばかりの学生の順に不安度は高かった。私のできることは放射線の正しい知識を
 わかりやすく提供し、現状の放射線影響に対する不安を少しでも取り除ければとの思いから、
 「放射線学入門(一般向け緊急被曝ガイド)」をホームページ上で4 月から更新してきた。
 さらに、この本が皆さんのお役に立てば幸いである。

  がんばっぺ! 福島。 がんばろう、日本。



著者の先生は、昨年7月に福島県小児科医会で開催した講演会にもおいでいただいた。
福島第一原発の現場へも、何度か訪れていらっしゃるのだそうだ。
遠い九州の地からも福島を応援して下さる方がいるということに、勇気づけられる。

早速アマゾンに注文した。

   先生、ありがとうございました!