ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

2013年の花見山

2013年04月13日 | 日々のつぶやき
昨年は養生のためにお休みしていた花見山公園。
今年は再開した。
4月になってからずっと寒くて風も強くて心配していてけれど、
ちょうどお天気が回復してきた頃に、例年よりも早く開花した。

今日は土曜日。いいお天気だ。
きっとお客さんで一杯だろうなぁ、といつもなら気が乗らないのだけれど、
思い切って出掛けてみた。

マイカーの一般客は、公園から2~3キロ離れた白鳥の飛来地の河川敷の臨時駐車場に駐め、
そこからシャトルバスで行く。
それがなんとまぁ、混んでいることよ!
どこが風評被害じゃぁ?! というぐらい、県外ナンバーも多かった。
 
 仙台・山形・群馬・品川・所沢・・・、なんと、鳥取ナンバーまで!

いやはや、ご苦労様です。
でも皆さま、きっと訪れた甲斐はありますよ♪

さて、公園のふもとの駐車場でバスを降りたら、そこからてくてく歩いて行く。
途中にお店屋さんも出ていて、誘惑がいっぱいだけど、もう夕方なのでひたすら歩く。

 
入り口はこんな感じ。
菜の花って、そぼくで好きだなぁ。

 
上を見上げれば抜けるような青空。
左側のはこぶし?ピンクなんだけど。右側はヒガンザクラ。

 
ヒガンザクラの群生の中にソメイヨシノ。
レンギョウの垣根の小径をてくてく。

  
公園の持ち主のお宅の駐車場には、サザエさんが!

 
公園東側の斜面。
もう日が陰っていたので、ちょっと残念。

 
ヒガンザクラは満開を過ぎてしまったけど、ハナモモが見頃。

 
花見山公園の遠景。でもこれはほんの一部。


帰りのシャトルバス乗り場も長蛇の列。
これから向かう人たちもいた。すごいな~。

この花見山は、もともとは花木農家の方が生産のために植えているもの。
それを毎年無料で一般公開している。
園主の方はもう齢90歳ぐらいの方だ。
http://www.hanamiyamakoen.jp/?cat=7
以前に地元TVのインタビューでおっしゃっておられたのだが、
園主が太平洋戦争から生還してからは、亡くなった戦友達を思って植えてきたのだそうだ。
何十年もかけて。

どこの土地だったかも忘れてしまったけれど、
ある紀行番組で、やはり自分ちのまわりの使わなくなった畑に、
せっせと花を植えているおばあちゃんがいた。

 「花をみて怒る人はいないからね~」

帰り道、おばあちゃんのそんな言葉を思い出しながら、またてくてく歩いた。

たいした距離じゃないのに、足にマメができてしまった。
日頃の運動不足を反省。




おねえちゃんになった

2013年04月02日 | 日々のつぶやき
赤ちゃんの時から診ている2歳半の女の子がいる。
その子はうちで産まれて、わたしが毎月健診にいっている保育園に通っている。
だから、ほんとに産まれた時からのお付き合いだ。

だけど、いつもいつも、外来診察の時も、保育園の健診の時も、必ず泣かれる。
病院とか白衣が怖くてしかたないみたいなのだ。

2歳を過ぎた頃からは、保育園の先生や外来に連れてくるパパやママが、
だいじょうぶだよ、痛いことなんかしないよ、と優しく言い聞かせてくれて、
その子も目に涙をためながら一生懸命泣くのをこらえるみたいなんだけど、
やっぱりいつも泣いてしまってた。

1ヶ月ほど前に、その子に弟が産まれた。
その子によく似た、色白で目がぱっちりのイケメン赤ちゃんだ。
お父さんもお母さんも、その子の赤ちゃん返りを心配していた。

でも、大丈夫。こんなことで心がゆがんだりしないから。
今はいっぱい泣いてもいいんです。

そんなお話をして、弟の1ヶ月健診が無事終わった。

それからしばらくしたある日。
赤ちゃんのお世話で忙しいママに替わって、パパと一緒に外来に来た。

あれ?
なんかいつもとちがうぞ?

そうだ! ゆきちゃん(仮名)、泣いてないじゃん!
いつもは診察室に入ってくる前に、名前を呼ばれるとすぐに泣いてたゆきちゃん。
その日は、普通にお父さんに抱っこされて、診察の時も泣かなかった。

まわりの看護師たちも、わたしも、拍手喝采。
やったねゆきちゃん! 今日は泣かないでできたねぇ!
パパも嬉しそうだった。
赤ちゃん返り心配してましたけど、案外大丈夫だったみたいですねぇ。
やっぱりおねえちゃんになると、だんだんオトナになってくるんですねぇ。
なんて会話をお父さんとしてたら、その子がぽつりと得意そうに言った。

 「おねえちゃんになった

またまたみんなびっくりして、そこでまたまた拍手喝采した。
そうだねぇ、ゆきちゃん、おねえちゃんになったんだよねぇ!

 「がんばった

またその子が言った。こんどはきっぱりと。
そうだねぇ、ゆきちゃん、今日はがんばったねぇ!
ここでまた拍手喝采。

でもね、ゆきちゃん。
あなたはまだ2歳半だから、泣きたい時は我慢しなくてもいいんだよ。
心の中でそう語りかけながら、ハイタッチをしてさよならした。

だけど、多分、その子はもう、訳もなく泣くことはもうあまりないと思う。

若い駆けだしの頃には実感としてわからなかったのだけど、
どんなに泣き叫ぶお子さんでも、ある日、ぴたっと泣かなくなる日が来るんだ。
ほんとに不思議なんだけど、ぴたっと泣かなくなる。

いや、小児の精神発達という学問的に捉えるなら、それは当たり前のこともいえる。
大人のようにまだ複雑に分化されない感情を、泣くことで身体全体で表現する時期は必要で、
この時期を経て、漠然とした感情が細分化され、自分で状況を把握して納得できるようになる。
でも、その時期にそれを受け入れてもらえずに、無理に感情を抑え込まれてしまうことは、
大きくなってから何らかの弊害が出ることだって、あるかもしれないと感じている。
だから、赤ちゃんのうちに思い切り泣くことは、成長する上でも大切なことだと思っている。

もう中学生ぐらいになったお子さんに、笑い話で赤ちゃんの頃のことを話すことがある。
キミが小さい時はねぇ、いっつも泣かれて、外来の玄関先からもう泣き声が聞こえてきて、
あ、○○くんが来た、って、泣き声でわかったようなもんだったんだよ。
それがこんなに大きくなるんだもんねぇ・・・。(しみじみ・・・)
その子は照れくさそうに笑う。お母さんも笑う。

 おとうさん、おかあさん、今、お子さんがハンパなく大泣きしたって、
 ノー・プロブレム! です。
 泣いたぶんだけ、その子はひとつずつたくましくなるのだと思うのです。

大人だってそうじゃないかな、と思う。
歌にもあるじゃない。
「涙の数だけ強くなれるよ♪」って。(古いけど・・・。知ってる人いるかな、この歌)

2012年度の冬は、新しい年度の春とタッチ交替して、今背中を向けて去りつつある。
また次に季節に巡り会うまで、サヨナラだ。
(でも、「冬」さん、てば、まだその辺で道草くってるみたいだけどね・・・。笑)

生きていればいろいろな紆余曲折があって、だから楽しいんだよ、人生。

そういうことを、毎日出会うお子さん達から教えていただけるわたしは、幸せ者だ。

う~ん、もしわたしが何十億の大金持ちだったら・・・、
妄想はいろいろ際限なく膨らむのだけれど、
やっぱり、ここで、毎日お子さん達と会うことはやめられないかな。