幼稚園の頃から習っていたピアノ。
途中、いくつもの中断があったけど、未だに続けています。
今日は、10年ほど前から習っている先生の教室のピアノ発表会でした。
小さいお子さんに混じって、わたしも演奏させていただきました。
演奏したのは「別れの曲」。
これも、ショパンのエチュード集の中のひとつです。
選曲したのはもう半年以上も前のこと。
先生が提示して下さった何曲かの中から選んだのですが、
この曲は難しいのはわかっていたので、はじめは躊躇しました。
メロディーだけだと優しくきこえるのだけれど、
じつはこれ、和音でメロディーが響くように弾かなくちゃいけない。
その上、中盤はテクニック的にも譜読みも難解で、
わたしにはとても弾きこなせないと思ったから。
だってね、この手のロマンチックな曲、って、その人の中身が出るんだよね。
先生は、だいじょうぶよ~♪ とあっさりおっしゃるけれど、
がさつなわたしには、無理、無理、と思いました。
それでもあえて選んだのは、夫のひと言でした。
亡くなった夫の母が、この曲が大好きだったのだそうです。
夫も中学生までピアノを習っていたのだそうですが、
いつかこの曲を弾いて聴かせて欲しいと言ってたそうです。
でも、厳しい先生の上に、女の子ばかりの中で続けるのが嫌で、
(今だったらなんともったいないことだと言ってますが)
夫はやめてしまったそうな。
息子の代わりに、嫁のわたしが弾いたら母は喜んでくれるかな、なんて・・。
もうひとつの選曲の理由は、亡くなった友人たちのために。
ひとりは、こころざし半ばで亡くなった大学の友人。
彼女は、バラとかショパンとか、ロマンチックなものが好きでした。
もう一人は、バイオリンをやっていた友人。
彼とは中学校の同級生だったのだけれど、互いの家庭環境が似ていたこともあって、
多くを説明しなくても話が通じるところがあり、私にとっては大切な友人でした。
彼は難病の末亡くなったのだけれど、その病名を知っていたのは本人と主治医だけで、
ご家族にも、もちろんわたし達友人の誰一人にも教えることなく、
亡くなる前日まで家族と一緒に過ごしたまま、亡くなったのです。
奥さまと子ども達と、バイオリン教室の生徒さんたちと、バイオリンと音楽を、
心から大切に大事にしていました。
さて、本番。
ホールのピアノは、スタインウェイのコンサートグランドです。
普段はなかなか触ることができないピアノを弾くだけでも、嬉しいというもの。
目立たないように深呼吸して、弾き始めました。
お母さん、ともだち、聴いててね・・・
途中まではまぁまぁ、うまくいったのだけれど、
やっぱりやっちゃいましたよ。大きなミスタッチ。(^^ゞ
それも、中盤のうんと難しいところで、あとうことか、両手でばしっと押さえる和音を、
全部、1音ずつずれた鍵盤を弾いてしまいました。
何食わぬ顔でそのまま弾き続け、止まることはありませんでしたが、
分かる人にはバレバレの間違いでした。
終わったあとで、夫のひと言。
「あそこ、編曲したのかと思った。」・・だと。
生誕200年のショパンもびっくり の演奏でありました(^_^;)
やっぱり出ちゃったなぁ、がさつな中身。
天国の友人も笑ってるかも。
キミらしいよ、って。