ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

おまじない

2010年12月07日 | 医療
今年は10月半ばからインフルエンザワクチンを開始しています。
もうかなりのお子さんが接種をしています。
つい先日、2回目のワクチン接種にきた4歳の男の子。
右腕の袖をまくって、診察室にはいってきました。
口を真一文字に結んで、ひとりで椅子に座りました。
お母さんに抱っこしなくていいの? と訊くと、
いいんです、いんです、
とお母さんはにこにこしながらお子さんを見守っています。
ひととおりの診察が終わって、いざ、本番。
がんばろうねぇ~、と声をかけながら接種しようとしたら、突然大声で、

 「いたくない!! いたくない!!」

とその子が叫びました。
びっくりしてその子の顔を見ると、目をぎゅっとつぶって、歯をくいしばっています。
注射する右腕をわたしの方に出し、左腕で自分の右肘のあたりをしっかり掴んでいます。
そうかぁ、頑張ってるんだねぇ、えらいぞ! と励ましながら、
ぷすっ、と針を刺した瞬間から、ワクチン液を入れ終えるまで、

 「いたくない!! いたくない!!」

と身じろぎもせずに叫んでいました。
その子の注射が終わったあと、介助についていた看護師もみんなで大拍手でした。

きっと、ここに来るまでの間、どうやって痛い注射を我慢するか、
小さな胸で一生懸命考えてきたんだろうなぁ。

頑張りすぎ、我慢のしすぎはよくないけれど、
小さい時から頑張ってみること、我慢するトレーニングを積むことは、
その後の子どもたちの人生において、決して無駄にはならないと思います。
ちょっとした「おまじない」を自分にかけることで、なんだってできちゃう、
それが、子どもの無限の可能性だと、日頃から感じています。
もちろんオトナだって同じことがいえます。

注射をひとりで頑張ったキミはもちろん偉いけど、
その子がひとりで頑張るように見守ったお母さん、
(たぶん本音はハラハラしながら見てたんだと思うけど)
あなたも素晴らしいと思います。

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