ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

マーチングフェスタ2009

2009年11月29日 | 子どもたち


今日は当市でマーチングフェスタ2009というイベントがありました。
赤ちゃんの時から診ているお子さんが通っている小学校のマーチングバンドも参加します。
その子は、今年から入部したのだそうです。

センセイ、29日の日曜日、1時から、よかったら観に来て下さい。

この間の外来で、そうお誘いを受けたので、行ってきました。
マーチングはTVでは知ってるけど、実際にはまだ観たことがありません。
夫も母も興味があるらしく、3人で出かけました。


少し遅れてしまったのですが、丁度プログラムの2番目、その子の小学校の出番でした。
どれどれ、いるかな・・・?
あ、いたいた!
上級生のお姉さんたちの間で、小さいながら一生懸命演奏しています。
ドリルもきびきび動いて決まってたし、カラーガードの女の子達もなかなか素敵。
我が子じゃないのに、感動です

その小学校は、もうひとつの小学校と共に、これまでに何度も全国大会まで出場しています。
それも、金賞や銀賞です。
練習も半端じゃないらしい。
練習がつらくて、学校に行くのもつらくなってしまうお子さんも、診察したことがあります。
こんな風に書くと、そんなにまでして・・・・、って感じる方々が必ずいらっしゃると思う。
でもね。
子どもの時に、仲間と一緒に何かを一生懸命頑張る、ともかくもやり遂げるという体験は、
とても大切なことだと思います。
精一杯頑張った記憶は、その後の人生の糧に、必ずなるから・・・。

平日の放課後や休日の殆どを練習に費やす子どもたちは勿論大変だけれども、
その子たちを陰で応援し、支える親御さんたちにも、拍手です。

フェスタが行われた体育館は、我が子や孫・友だちを観ようと詰めかけた観客で満員でした。
みんな、親バカ・じじ・ばばバカです。(^_^)
わたしは何バカ、っていうのかな。

その子もこれから、練習がうまくいかなかったり、仲間と喧嘩したり、
監督(って言うのかな?)や先輩に叱られたりすることがあるかも知れません。
投げ出したりしたくなることだって、あるかも知れません。
でも、家族も友だちもわたしも、応援してるからね。

素晴らしい演奏でした。とても楽しかったよ。
ありがとう。







新型インフルエンザワクチンの悩み

2009年11月28日 | 医療
当市では、初めの予定よりも前倒しで今月16日から、
喘息など基礎疾患のある方々への新型インフルエンザワクチン接種が開始されました。
それでも東京都などよりは遅いようです。
隣県でも、基礎疾患のない1歳以上のお子さん達への接種がすでに始まっているようです。

接種開始に伴い、1回分だけですが、市からの補助も出ることになりました。
3600円が2600円になります。
わずか1000円といえども、これは嬉しいことです。

でも、問題もあります。
うちのように接種対象者がある程度多いところには、
ワクチンの薬液が1本10ml入りのものが配られるのです。
これには正直、参りました。
だって、子どもの1回接種量は、0.2mlとか0.3mlなのです。
10ml入りなら、約40人分に相当します。
しかも、一度開封したら、24時間以内に使い切らなければなりません。
10mlのうち、もしも4ml(15~20人分)余ったら、捨てなければなりません。
それでは勿体ないので、初めの週は、急遽あちこち電話をしておいでいただきました。

その問題を解消すべく、今度は集団接種を県が考慮、という話が地元紙に報道されました。
これも、現場のわたしたちには、寝耳に水、です。
なぜならば、インフルエンザワクチンは任意接種ですから、基本的には自費です。
BCGや3種混合ワクチンのような無料の定期接種なら、集団接種も可能ですが、
金銭のやりとりはどうするのか、場所はどこでやるのか、
スタッフは?、救急の体制は?・・・・・・。
各医療機関で持っているインフルエンザワクチンを持ち寄るのか、
その具体的な方法は、まったくわかりません。

なぜ10ml入りのワクチンを製造したのか、コストの問題なのか、
集団接種を考慮に入れてのことだったのか、今もって不明です。

集団接種するならするで、国の方針として初めから計画を立てればよかったのに。
全部無料にしてさ。以前のように。
前にも書いたけど、いろんなところで予算を削るようだから、
緊急対策として、補助予算はつけられなかったのでしょうかね。
それとも、国をあげて無料で接種したとして、
万が一重大な副反応が出た時に、責任を取りたくなかったのでしょうかね。

悩みはもうひとつ。
こっちの方が切実です。
基礎疾患のあるお子さんに、小さい弟や妹がいるとします。
でもその子たちは、まだ何も基礎疾患と思える病気は発症してない。
保育園にも行っている。できれば一緒に接種させたいのが、親心。
できればわたしも接種してあげたい。
でも、できない。
大っぴらに行政からの指示を逸脱することは、だめらしい・・・。
ごめんね、お母さん。あと少しだけ、待って・・・。
毎回、苦しい言い訳をします。
子どもに優先順位なんて、どうしてつけるの?
「子ども」というだけで優先じゃないの?
そう思うけれど、地方の行政側も国の方針を逸脱することは難しいらしい。

あぁぁ!!!
いったいこの騒動は、いつまで続くんだろう!

ともかくも、今できることを粛々とこなす、
それしかない・・・。

事業仕分けの疑問・学力テスト

2009年11月25日 | Weblog
政権が替わり、事業仕分けの様子が連日のように報道されます。
わたしたちの税金の使い道が、無駄のないように検討されるのは、大いに歓迎すべきところ。
でもさ。
なんか、疑問なんだよね。
一見無駄と思われることでも、
10年・100年先のことを見据えた研究なり仕事は必要でしょう。
なんでもかんでも、「まず削除・削減ありき」でとらえていませんか?

そのひとつが、スーパーコンピューターの開発の縮減と学力テストの大幅縮減。

こんなこと書くと、アンタはイシャだから、勉強ができたから、そう思うんでしょ、
って言われそうだけど、そうじゃない。

競うことは、いけないことですか?

スポーツ少年団は?
サッカーは?
野球は?
中体連は?
インターハイは?
国体は?
箱根駅伝は?
ワールドカップは?
オリンピックは?
さまざまな、コンクールは?

学問や学力は、競ってはいけないのですか?

競うことで、自分の位置がわかり、それを励みにしてさらに上を目指す。
自分のために。

人を見下すのではなく、自分の励みとして、自分の位置を知る、
そのひとつとしての学力テストなのではないですか?

勉強ができることがエライのではなく、自分自身のためのものとしての学力テストなのだ、
と、児童生徒に教育するのが、先生方のお仕事でしょう。

社会に出れば、あらゆる場面で競わなければなりません。
悔しい思いも、情けない思いもします。
そのトレーニングのひとつとしてとらえても、いいじゃないですか。

日本国憲法で謳っている「人は皆平等」という文言、
これは、「みんなが同じ」ということではないはず。
それを、何か勘違いしてませんか?

人はみんな、ひとりひとり、違うのです。違って当たり前なんです。
違うことは、悪いことじゃない。
かけっこが遅いことも、算数ができないことも、人として劣っていることじゃない。

あれは、息子が小学校に入学して初めての運動会の時のことでした。
私に似て運動神経が欠如しているひ等しい息子が、なんと、かけっこで2等賞でした。
「すごいねぇ!! 頑張ったねぇ!!」
親バカですから、心から喜び、息子の健闘を讃えました。
でもね。
よくよくその内容を後で知ると、
あらかじめ行った体力テストで、タイムの速い児童、遅い児童、のグループに分けて、
かけっこのグループを決めていたのです。
これでは、意味がないでしょう。
一等賞もいれば、ビリもいる。
それが、世の中です。
でも、一等賞もビリも、人の価値としての優劣ではないのです。
それを小学校の時に教えずに、見せかけの平等で大事な子ども時代を過ごしたら、
いざ世の中に出て、本当に競わなければならない時に、心が付いて行きますか?

わたしは、可哀想に思いましたが、息子に言いました。
あのね、2等賞は、本当のオマエの実力ではないんだよ。
でも、頑張って走ったのは、偉かったね。

1年生の息子には、はじめピンとこなかったようでしたが、
学年が進むにつれて、母の言ったことを理解していたようです。

スポーツや芸術を競いあうように(正確には、芸術は競い合うものではないと思いますが)、
学力だって、競い合っていいと思います。
そこで、人を見下すことなかれ、と教え続けること、それが一番大切なことだと思う。
わたしがかつてK先生から教わったように・・・。
いい意味での競い合いがなければ、学力の向上も望めないでしょう。
今現在の子ども達の学力が向上しなければ、日本の将来はどうなるのですか。

ここで言う学力とは、判断力や創造力につながる総合的な学力という意味です。
その基礎となるのが、小学校で学ぶ、「読み書きそろばん」なのだと思います。
学力テストは「読み書きそろばん」の力試しではなのいですか?

何度でも言います。
学力を上げるためには、学力テストは必要です。
今現在の自分の位置がわからなければ、その後の方針も立てにくい。
これは、スポーツなら当たり前のことでしょう。
マラソン選手が時々後ろを振り返るのだって、そうでしょう。
国策として子どもの学力を上げることが無駄とは、わたしには思えないのですが。
(都道府県別ランキングとかは、どうかな~、とは思うけど)

インフルエンザ外来

2009年11月23日 | 医療
22日は休日当番、23日は市の夜間診療所の当番でした。
当市では、休日の救急外来は各開業医が自院で診察、
夜間救急は市の保健福祉センター内に設置されている夜間診療所に開業医が出向いて診察、
という形で行っています。
今月15日の日曜日から来年の3月まで、日曜祝祭日と年末年始の日中も、
夜間診療所の場所を借りて、インフルエンザ外来を行うことになりました。

来週の月曜も夜間診療所の当番。
3月までは、わたしは月に2回の当番があります。
来年の1月2日は、午前中の休日インフルエンザ外来の当番です。

さて、昨日の休日当番では、約170名近くのお子さんがおいでになりました。
そのうちの約8割がインフルエンザでした。
今日の夜間診療所では、夜7時から診察開始なのですが、少し早めに行ったつもりが、
もう入り口の外まで患者さんたちが並んでいました!
こんなことは、これまで初めての状態です。
88名のお子さんが受付をしたそうですが、8名がキャンセル、
わたしは80名の患者さんを診察しました。
今までのわたしの夜間診療所での記録では、一番多い人数でした。
インフルエンザじゃない患者さんは、ほんの4~5名でした。
夜7時少し前から開始して、終わったのは11時30分でした。

今夜の夜間診療所の当番薬剤師さんは、当院の調剤をお願いしている先生でした。
薬剤師になったばかりの息子さんも、一緒に来てくれていました。
わたしは慣れてるからともかく、昨日もうちの休日当番で大変だっただろうに、
今日も、本当にお疲れさまだったと思います。

しかし、なんといっても・・・・、
大変だったのは、2~3時間近くも待つことになった患者さんたちでしょう。

夜間診療所が開設された当初は、いくらなんでもこんなことは想定していなかったので、
受付や看護師さんの人数も足りない(でも今夜はいつもより看護師さんが多かった)、
薬剤師さんだって、自分のところの慣れた調剤器や薬剤ではない、調剤場所も狭い、
待合室も狭い、椅子も足りない、・・・・・・まるで満員電車のよう。
内科の先生も、外科の先生も、受付さんも看護師さんも、もちろんわたしも、
一生懸命、息つく間もないぐらい、頑張っているのだけれど、追いつかない、
・・・そんな状態でした。

でも、非常事態だからなのかどうか、
例年だと、混雑してくれば必ず、待ちきれなくなった患者さんのひとりかふたり、
怒鳴ったり文句を言ったり、という場面に遭遇するのですが、
昨日も今夜も、そういう方々はひとりもいませんでした。
(具合が悪すぎて文句も言えなかったのかも、・・・とも思いますが・・・)
じっと待っててくださった方々、本当にありがとう、お疲れさま、です。

11時半、わたしの当番時間が終わって帰る時、
もう1時間以上も前に診察したお子さんのお父さんが、会計やクスリを待っていました。
センセイ、おつかれさまでした、
と声をかけていただいて、逆に恐縮してしまいました。
こちらこそ、大変ですね、どうぞお大事に・・・。
こんな言葉しか返すことができませんでした。

救急外来で診察するのは、ほとんどが初対面、その日限りの出会いです。
あとはかかりつけの先生が診ることになりますから、
その後のことは、ほとんどは、わかりません。
今日診察したお子さんたちが、肺炎や脳症を併発しないといいな、
明日はもっと楽になってるといいな、
今夜も、そう願いながら帰ってきました。

「子ども手当」より「子どもに手当て」を!

2009年11月04日 | 日々のつぶやき
表題は、私が参加している小児科医のMLでも話題になりました。

中学生までのお子さんがいる世帯には、子ども一人あたり、毎月2万6千円ずつ支給。
いただけるものは、勿論何でもうれしいかも知れないんだけど・・・。

前の政権の時にも、一時給付金なるものが支給されました。
その時にも書いたけど、そんなことより、「今現在」することが、あるんじゃないの!?
って言いたいのは、わたしだけじゃないはず。

アメリカでは、新型インフルエンザワクチンを全国民の子ども達に無料で接種することを、
早々にオバマ大統領が宣言しました。
日本だって、何らかの対策はないのでしょうか?
子どものインフルエンザワクチン接種は2回。
季節性インフルエンザと新型と、それぞれ接種すれば、合計4回です。
どちらかだけでも、無料にするか、せめて1000円とか500円だっていいです。
そのぐらいの補助を、国ではできないのでしょうか。

昨年からやっと導入されたヒブワクチンだって、有料です。
水ぼうそうやおたふくかぜワクチンも、いまだに有料です。

保育所の待機児童もたくさんいます。
保育所が決まらなければ、母親は就業できないんです。
保育所の毎月の負担を安くするだけだって、ありがたいと思います。
小学生の学童保育も足りません。

奥さんを病気で亡くして、3人のお子さんを男手一人で育てているお父さんがいます。
子ども3人分のワクチン代を捻出するには、自分の分はできない、と・・・。
でも、もしも子どもの誰かが病気になったり、自分が会社を休むことになれば、
どうしようもなくなる、とも。
もらえるものはありがたいけど、それよりも、今現在困っていることを何とかして欲しい、
そうおっしゃっていました。
やはり一人で子育てしているあるお父さんは、
どうしても外せない出張がある前日にお子さんが発熱してしまい、
しかたなく登録ているベビーシッターさんをお願いしたそうな。
シッターさんの時給は9百円。
丸々一日頼んで、約1万円の出費。
何のための出張なのか、わからない、と。
でも、会社を首になる訳にはいかないから、仕方ない、と。

8週間の産休明けから復帰してもらわなければ困る、と会社から言われたお母さんもいます。
でも、保育所がまだ決まらない。
無認可でもどこでもいいから、とにかく入れるところにお願いするしかない。

やっと保育所が決まっても、そこは小さい子どものこと。
たびたび病気になって、保育所では預かってもらえません。
職場や同僚たちに気を遣いながら、我慢して我慢して、働いています。

永田町や霞ヶ関のエライ方々は、こういった庶民の暮らしを、
いったいどこまで正確に認識していらっしゃるのでしょうか。

マニフェストに掲げた高校の授業料無料化も実現するらしい。
これも前に書いたけど、そもそも高校は、勉強したい人が行くんでしょう?
進学したくても経済的にできない人たちにだけ援助すればいいんじゃないですか?
現行の奨学金制度を、もっと負担が少ない形にするだけではだめなのでしょうか。
高校に進学したところで、学校さぼって遊んでる学生もたくさんいるじゃない。
そういう生徒達にまで税金を使う必要はないと思います。
くどいけど、高校は、
「行きたくても行けない」ご家庭にだけ、援助すればいいと思う。

資産数億円の総理殿やその他のセンセイ方にとって、
保育料の数万円なんて、私たちの千円2千円の感覚なのでしょうね。
一般庶民が捻出に頭を悩ませるワクチン代の数千円なんて、
私たちが缶コーヒーを1本買うぐらいの感覚かもしれませんね。
その金銭感覚、カップ麺1個4百円とお答えになった前政権の総理殿と、
変わらないじゃありませんか。

子ども手当の財源を確保するために、扶養控除や配偶者控除はなくなるらしい。
では、子どものいない高齢者や専業主婦の家庭はどうなるのでしょうか。
これって、不公平じゃないですか?

お金はね、ばらまけばいいってもんじゃないんだよ。
使い方ってあるでしょう?
庶民を馬鹿にするなと言いたい。