( この写真は、Jプロが入っている目白のMマンションです。手前には大変見事なイチョウの木があっ
たのですが・・・・バッサリと枝打ちされてしまいました。以前の写真「第7章その24」 に出ているイ
チョウです。本来なら、緑の葉でいっぱいだったはずなのですが・・・・《 2011年4月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その39
《 漫画家アシスタントが・・・国防について書く・・・!? 》
大事故の発生がまだ首相官邸に連絡される前。東京神楽坂にある料亭には、元総理大臣( 与
党の中心人物 )を上座に、農政大臣、大手建設会社会長、原電開発本部長、そして新任の通
産大臣などが、懐石料理を囲んでいる・・・・
これは、私が20年近く前に書いた「 双頭の子 」のシナリオの一部です・・・・どうか、も
う少しお付き合いのほどを・・・・・・
一番年の若い通産大臣がマルボロを手に取りながら・・・・
「 次の( 新原発 )立地は、今しばらく時間をいただければ・・・・ 」
向かい側に座る太った建設会社会長が、子供でも見る様な眼で通産大臣を見つめながら・・・・
「 そ~簡単にゃ~いかんだろう・・・・ 」
通産大臣( マルボロを吸うポマード男 )
「 ・・・・と言いますと・・・・? 」
大手建設会社会長( ハゲ豚 )
「 反対する者をよォ、金と脅しで潰していく『 ブルドーザー方式 』はもう古いんだよ 」
通産大臣( ポマード男 )
「 ですが、それで反対派を少しずつ減らしていけば・・・・ 」
大手建設会社会長( ハゲ豚 )
「 減らしてけば・・・・いずれいなくなるってんだろ・・・・それは昔の話だよ。今は、
少数でも反対派に世論の支持が集まりやすいんだ・・・・ブルドーザーで世論を潰
せるかい? 」
通産大臣
「 ・・・おっしゃる事は・・・確かに・・・・で・・・何かいいお考えでも・・・? 」
会長( ハゲ豚 )は、座イスにゆったりと掛けながら目を閉じてうなずく。その横顔を拝む様に
酒のお酌をしながら目つきの鋭い原電開発本部長( 白髪頭 )が口を出す・・・・
「 会長、『 土壌改良 』でしょ? 」
会長( ハゲ豚 )がニッコリとほほ笑むのを確認して原電開発本部長( 白髪頭 )がつづける・・・
「 ○○先生( 通産大臣 )、次の立地場所にも『土壌改良』をやってみてはと思っと
るんですよ 」
通産大臣
「 土壌改良・・・・? 」
原電開発本部長( 白髪頭 )
「 はあ。まず予定地に過疎地活性化として農業プロジェクトを立ち上げると・・・・ 」
横目でチラリと農政大臣を見ながら・・・
「 まあ、補助金をたっぷり付けて『 新農地開拓 』をやるわけで・・・・つまり農業援
助ですわな 」
通産大臣
「 そりゃ、財政の厳しい過疎村にとっては・・・・ 」
原電開発本部長
「 はあ、願ったりかなったり・・・・ですな。しかし、このプロジェクトには裏があ
りましてね・・・・ 」
通産大臣
「 ・・・・裏? 」
この時、芸者たちが次の間へ入ってきた事が告げられる。それを原電開発本部長が「 ちょ
っと待ってねェ~ 」と制しながら・・・・
「 ・・・・まあ・・・・裏ってのはねェ・・・・ 」
「 はい 」
「 大金をかけてねェ、山を崩し河川を整備して農地を造成する・・・・もう大変な大
工事ですわ。できた耕作地に何を植えるかは国が指導する。しかし、今時、農
業で儲けなんて出ませんわな 」
農政大臣
「 当たり前だろ。最初から不良作物の植え付けを計画してあるんだから! 」
原電開発本部長
「 はあ・・・そうですよねェ。ここまでは、××先生( 農政大臣 )が主役ですからねェ 」
通産大臣
「 ・・・・・・なるほど・・・・・・つまり、このプロジェクトはとん挫する。残る
のは地方財政の莫大な赤字( 借金 )ですか・・・・・・ 」
原電開発本部長
「 貧しいうえに、さらに大借金・・・・そこへ、原発立地と補助金・・・・そして甘
いもん( リベート )を持って行けば・・・・ 」
農政大臣
「 つまり、土壌改良をしておけば、後は種(金)をまいて作物が育つのを待つだけだっ
て話だよ 」
通産大臣
「 しかし、少々時間がかかりそうな話ですね・・・・? 」
原電開発本部長
「 まあ・・・・そりゃ~・・・・・・ 」
建設会社会長
「 よく時間をかけたものほど、味が出るもんさ! 」
一同、納得したように笑う。
元総理大臣( たるんだ顔としゃがれ声 )
「 国の発展をあせってはいかんよ 」
通産大臣
「 それにしも、原発関連の費用やゴミの後始末など、費用対効果が悪いのに・・・・
日本のためになるんでしょうか原発が・・・・ 」
元総理大臣( たるんだ顔 )
「 君、原発を作るのは原爆を作るのと同じだよ 」
通産大臣は、元総理大臣の顔を見詰めたまま絶句する。
「 原発はね、国防の布石( 核武装 )なんだ 」
このシナリオの最後の数行は、最近読んだ「 パンドラの箱の悪魔」( 広瀬隆著、文春文
庫 )から示唆を受けて、今、書き加えたものです。
「 漫画家アシスタント 第8章 その40 」 へつづく・・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 その38」へ戻る 】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化!
詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」