漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第6章 その28

2009年07月04日 02時26分54秒 | 漫画家アシスタント
( この写真は、東京、新目白通りにある某マンション屋上から見た高田馬場方面です。この道
  の先に戸塚警察署があります。《 2009年5月、撮影 》 )
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
              その28
 
 
漫画家アシスタントがパトカーで連行される・・・めったに見られない光
景です。 だいたい漫画家志望者は、色白でメガネをかけた小太りと相場が
決まっていますし、いつも家の中でグズグズしていて外へ出ない、日陰の
ナメクジの様な存在なのです。
 
警察のご厄介になる例は大変まれな例と言えます。
 
リョウさん( 仮名:内海遼一、岡山県出身、Jプロ勤続14年目、88年当時
33歳 )は若い2人の警官の指示にも素直に従い、タクシーに乗るお客さんの
様に堂々とした態度で落ち着いていました。 もちろん気分は「 坂本龍馬 」
ですが、決して声を荒げたり、人を傷付ける様な事をするリョウさんでは
ありませんでした・・・・
 
 「 おみしゃんら~もォ、ご苦労さんじゃのォ~! 」
 
タクシー気分で、パトカーの後部座席にちんまりとおさまっているリョウ
さん。 ここでまた、少しリラックスして冷静さを取り戻してきます・・・・
 
静かにゆっくりと深呼吸をしていると、さらに気分は落ち着いてきます・・
・・・・
 
「 今、警察に連行されているのだ・・・大変だ!」・・・そんな緊張や興
奮もなく・・・
 
 『 自分はいったい何をやっているのか・・・? 』
 
とか、
 
 『 こんな事をしていていいのか・・・? 』
 
そんな内省的な物悲しい気分を・・・深呼吸をしながら胸に飲み込んでい
たのです。
 
戸塚警察署は新宿区西早稲田、高田馬場駅近くにありました。そこで、リ
ョウさんはすっかり冷静さを取り戻し、警官による取り調べにも「 普通 」
に対応したわけです。
 
警官自身、いったい何でリョウさんを取り調べているのか理由が分からな
くなるほど、リョウさんの返答に違和感がありませんでした。
 
しかし、リョウさん自身は・・・
 
 『 面倒な事になったなァ・・・ 』
 
・・・と、感じていたのです。
 
こんな事で家族やJプロの皆に心配をかけてしまう事を、今さらの様に気
に病むわけです・・・( 気を病んでいる人が、気に病むのは正常ですよね
・・・ )
 
警官の取り調べは、ごく簡単なものでした。住所と電話番号、本籍地と職
業の確認などをして20~30分ほどで解放されました。
 
俗に云う「 調書 」とか「 始末書 」とか云ったものを書かされる事もあり
ませんでした。この時のリョウさんが本当に「 普通 」だった事がうかがわ
れます。
 
しかし・・・戸塚署を出て、一人になると・・・また妄想と猜疑心のメリ
ーゴーラウンドが回り始めるのです・・・・・
  
 
 
            「 漫画アシスタント 第6章 その29 」 へつづく・・・



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