NHLの元NYレンジャースのスター・プレーヤー、アダム・グレイブスのサイン。1994年にNYレンジャースが54年振りにスタンレーカップ優勝を果たした時、リンク上で「ナインティー・フォーティー」と叫んだ彼の姿が思い起こされる。これは、NYレンジャースが前回優勝した年が1940年であり、1940年を再現したいという気持ちを込めて、レンジャース・ファンのNYっ子が「ナインティー・フォーティー」を合い言葉にしていた、それに応えたものであった。スタンレーカップ授与式でレンジャースのキャプテンのメシエがカップを頭上に掲げたシーンも歴史に残る感動的な場面だったが、その横でのグレイブスの絶叫も忘れがたい名シーンであった。もう1つ彼にまつわる話としては、全盛期のマリオ・ルミューに悪質なスラッシングの反則をして彼を骨折させた事件がある。彼が、NYレンジャースを優勝させるために、メシエとともにオイラーズから移籍してきた年のことだったと思う。もちろん当時は、スーパースターを負傷させた「ならず者」ということで大変な顰蹙を買い、レンジャースファンも、大変な選手が来たなと思ったわけだが、その後のグレイブスに対して「荒々しいプレーヤー」という印象を持たせたという意味では、彼にとってそんなに悪い事件ではなかったということかもしれない。とにかく彼をみると、NYの人々は1994年の熱狂を思い起こすのである。その彼も現在は、NYレンジャースの制服組で活躍しているらしい。