NHLのカロリ-ナ・ハリケーンズのゴールキーパー、カム・ワードのサインである。2005年以降、NHLでは若手の台頭が著しいが、彼もその期待の若手の1人と言ってよいだろう。年齢はまだ若干24歳である。彼の名が一躍世界に轟いたのは2005~06年のルーキー・イヤーにスタンレーカップを制覇したことによるが、これはNHL史上最多勝等数々の記録を持つパトリック・ロア以来の快挙だそうである。このサインは、彼がまだNHLに昇格する前の写真を使用したもので、実は、私も自分自身が彼のサインを持っていることを認識していなかった。彼の名前が急に有名になった後、何気なくコレクションをみていたら、今をときめく彼のサインだったのでびっくりした位である。若手のサインを集めているとと、時々そういうことがあるので楽しい。
「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」の続編、あるいは作者の新作が待ち遠しい読者に向けた1冊という位置づけだろう。私も、普段はエッセイなどあまり読まないが、待ち遠しさを紛らわせるためについ読んでしまった。さて本書だが、期待通り、こうしたエッセイ等でも随所に作者らしい感性とユーモアが感じられた。特に、作者が小説の題材を思いつくまでを吐露した「ホルモー誕生の秘密」と「モンゴルでのトナカイとの邂逅」の2編が面白い。ホルモーの由来が「灯台もと暗し」で締めくくられる話も良いし、トナカイに見守られながらのトイレの話も、本当に笑ってしまった。こうした感覚が好きだ。また、飼い猫との別れの話などもネコ派としては涙なしには読めない秀作であった。但し、本書を読んでいると、不満というわけではないが、小説家のエッセイは小説の代用品には成り得ないことを強く感じる。エッセイを書く時間があったら小説を書く時間にあてて欲しい、早く次の作品を読ませて欲しい、というのがわがままな読者の本音だ。(「ザ・万歩計」万城目学、産業編集センター)