ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
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第六回 三響會 十周年記念 1

2007-10-27 23:22:23 | 三響會
2007年10月27日(土) 新橋演舞場 昼の部・夜の部

一、能楽五変化 ~神・男・女・狂・鬼~

神 神舞―――高砂:武田文志
男 黄渉早舞―松虫:坂真太郎
女 神楽―――巻絹:古川 充
狂 楽――――梅枝:武田友志
鬼 祈り――道成寺:梅若晋矢(昼の部)、観世喜正(夜の部)

後見:清水寛二、谷本健吾

 笛:杉信太朗
小鼓:林光寿
大鼓:亀井広忠
太鼓:大川典良

二、月見座頭

座頭:藤間勘十郎
 男:茂山逸平
 男:中村勘太郎

語り:片岡愛之助(昼の部)、野村萬斎(夜の部)

 笛:福原寛
小鼓:田中傳九郎
小鼓:田中傳左衛門
大鼓:田中傳八郎
太鼓:田中傳次郎

蔭囃子:田中佐英、田中源太郎、田中佐吉郎

三味線:今藤政十郎、杵屋勝正雄、今藤長龍郎、松永忠一郎
  唄:味見純、松永忠次郎、杵屋利光、杵屋巳津也
 筝曲:小林露秋、大坪正秋

三、獅子(昼の部)

獅子:梅若晋矢
獅子:観世喜正
獅子:市川亀治郎
獅子:中村七之助

 笛:福原寛
小鼓:田中傳左衛門
大鼓:亀井広忠
太鼓:田中傳次郎

三味線:今藤長龍郎、杵屋勝正雄、松永忠一郎、今藤政十郎、今藤龍市郎
 地謡:武田文志、坂真太郎、谷本健吾、清水寛二、武田友志、古川充

三、一角仙人(夜の部)

一角仙人:市川染五郎
施陀夫人:市川亀治郎
  臣下:中村七之助
  龍神:梅若晋矢
  龍神:梅若慎太朗

  後見:清水寛二

 笛:福原寛
小鼓:田中傳左衛門
大鼓:亀井広忠
太鼓:田中傳次郎

三味線:今藤政十郎、杵屋勝正雄、今藤長龍郎、松永忠一郎
  唄:味見純、松永忠次郎、杵屋利光、杵屋巳津也
 地謡:谷本健吾、武田友志、武田文志、観世喜正、坂真太郎、古川充

能楽五変化

お能に関しては、まったく疎いので、これがどの程度
定式から乖離したものなのか、
あるいは、そうでもないのかが不明です。
能舞台ではないこと、照明が演出に加わる事などから
スタンダードな演目をスタンダードではない空間(次元)で
提示するのだろう、という理解で観(聴い)ていました。

ただ、幕が下りた後(この幕が下りる、ということ自体
常の能舞台ではありえないのだが)、自分の周囲から
もの凄い感嘆のため息・声があがったので
(たぶん、お能ファンの側から。いや~ホント、ザワザワザワ~っと!)
画期的な演奏、舞だったのかな?と思われます。

これは昼夜同じ番組でしたが、昼の部、ば~んと囃子方の皆さんを
舞台中央正面に目撃した時、結構、緊張感が漂っているのが感じられて、
思わずこちらも緊張してしまいました。(緊張ってうつるのです~)
歌舞伎の能取りものの演目の道具や所作のベースは
ここにあるのだなと、再認識しつつ舞を見ておりました。

月見座頭

不案内な内容だったので、家を出る前にざっと筋を予習したのですが、
本来の狂言のストーリーとは異なり、最後、座頭が男に突き飛ばされる、
ではなく、座頭が男たちを打つ、という趣向。
もともとのこの狂言の解説にある人間の善悪の二面性とか
不条理といったシリアスさは殆どなく
全体的にコミカルに仕上がっていた。演出が秀逸です。
傳次郎さん、GJ!(笑)

昼の部の語りの愛之助さんは、立って花道スッポンよりセリ上がり。
そのまますぐ、芝居(語り)へ突入。
なにか、横顔と語り口から、澤瀉ファン的には
笑三郎さんを思い浮かべてしまった。
真面目に丁寧に語ってらして、これはこれで良かったのだけれど
やはり、本業(!)の、夜の部萬斎さんに分があり
アドリブ炸裂で(いや、アドリブと見せかけただけだろうけど)
さ~っと客席を掴んで自分に向け、そして、次にきっちり狂言の世界へ
観客を導いて行きました。

萬斎さんは、扇で顔を隠して平伏した姿でセリ上がり。
ぱっと扇をはずして「野村萬斎でございます。」とご挨拶。
つい4~5日前に急遽出演依頼を受けたのだが、
今日劇場に来てビックリ、プログラムに名前が入っている(笑)と。
(確かに、愛之助さん、萬斎さんの出演は結構ギリギリに
決定したようですが。三響會のブログによると。でも、さすがに
ご出演が決定してから印刷されたと思いますよ・笑)
傳次郎さんや、傳左衛門さんのお側まで寄って
なにやらちゃちゃを入れ、お二人とも思わず口角が上がってました。
萬斎さん、自在すぎ~(笑)ご本人も語りというより、
落語の枕みたい~と自主ツッコミ!
でも、ふっとした間のあと、しっかり「語り」に戻り
観客の気を変えるあたりは流石です。

突如眠~続く~
【続き】

(概略)
座頭が名月の夜、月見は出来ずとも虫の音を聞こうと野辺にやってくる。
そこで一人の男と知り合い意気投合し、歌を詠みあい酒を酌み交わし舞い踊り、
良い気分で分かれるが、男は途中で立ち戻り、座頭を突き飛ばして帰っていく。
座頭は、当然目が見えないので、突き飛ばした男が
それまで楽しく過ごしていた男と同一人物とは思わず、
情のない人もいるものだと嘆くのであった。

これを元に今回アレンジされた作品で、「男」を二人にし逸平くんと勘太郎くん。
座頭が勘十郎さん。
意気投合してというより、座頭をからかいに出てきた男二人が、
最後には座頭の持つ杖で打擲され
「もしかして奴は目明きであったか?」と言わしめる。
二人から逃れた座頭は、花道でしめしめと云った様相を見せ引っ込んだので、
元の狂言よりもカラっとした内容でした。
(“元”は実際観たことないので、ストーリーとの対比から)

舞台面が暗いのと、スッポンからの出に皆視線が集中しているので
冒頭は、舞台正面にはまったく意識が行くことがなかった。
語りの愛之助さん、もしくは萬斎さんが花道付け際まで進んだところで
ぱっと舞台面に照明が当たり、ここで初めて本舞台上を目撃した客席からは
感嘆の声が上がりました。
中央にお家元はじめお囃子が、上手には四挺四枚の長唄チーム&お筝二面と胡弓。予想外の豪華な布陣に、私もどよめきました~!!
更に、狂言の途中で判明しますが、蔭囃子も入っていて、厚みのある構成でした。

そして、男二人の出方も意表を突いていて、笑った!!
お囃子が並んでいるその後ろに隠れていて
(最下手、太鼓の傳次郎さんの後ろに逸平くん、
 最上手、笛の福原さんの後ろに勘太郎くん)
まさか、そんなところから登場とは思わない観客に、姿を現した瞬間大ウケ!

筝と胡弓の奏でる旋律が綺麗で、仲秋の名月という季節感を醸し出していた。


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4 コメント

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Unknown (yu)
2007-10-28 17:24:08
歌舞伎・お能・狂言に関しては全くもって疎い私でも存じ上げているお名前が並んでますね・・・。
これはファンの方にはたまらない公演だったのではないですか??
染五郎・亀治郎・七之助と、よく聞くお名前が並んでいたので、思わず「見てみたい!」と思ってしまいました。
返信する
見てください!! (yaya)
2007-10-28 23:26:25
>yuさん、いらっしゃいませ

コメントありがとうございます。
邦楽器の音もバラエティに富んでますので
是非、ご堪能下さい。
そして、花形では一押しの市川亀治郎さん。
博多座へご出演の機会も多いので、
彼の芝居も機会があったらご覧下さい。
踊りも抜きん出てお上手です。
鉄なべさんにちゃんの写真もありました!
返信する
鼓の家(^^; (きたこ@香野)
2007-10-29 01:36:26
こんばんは。
5月の三響會、南座へは、早退して(笑)
行きました。

今回のも実は観たかったんです。
染五郎さんと亀治郎さんと
茂山家の逸平クンも出てたんで。
愛之助さんもご一緒とは・・・。
益々観たかった・・・。
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南座も (yaya)
2007-10-29 22:38:14
観(聞き)たかった~

>きたこ@香野さん、こんばんは!

同じ作品を、
時を場所を変えて演奏して(演じて)いくことの妙が
興味深いですよね~。
過去の番組を再度確認したけれど。
石橋・獅子・連獅子は、まだまだ、
いろんなアレンジが楽しめそうです。

能の音や演目に、もうちょっと造詣があれば
もっと楽しめそうな気がするけど
最近、歌舞伎もなかなか観にいけないので
お能まで手が回りません。
栗田さんのお蔭で?能楽堂自体は行くチャンスが
あるのですけどね。次回のハムレットは、
三響會が第一回の会場に使った能楽堂のようです。
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