ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

道哲士さんの演舞場「四の切」観劇記

2006-11-18 02:29:12 | 歌舞伎
海老蔵さんの生の舞台は初見です。
海老蔵ファンの友人(四国まで追っかけ)は、
「勧進帳」を観て欲しいと言っていましたが、やはり、僕としてはねぇ。
やはり『四の切』ですよね。

海老蔵さんが、『四の切』で宙乗りとのネットでのニュースを見たときは
「信じられない」というのが、正直な気持ちでした。
宙乗りといえば『澤瀉屋型』!

市川宗家の御曹司が、弟子筋というか、傍系というか、
猿之助さんの型での上演?。「???」という気持ちで一杯でした。
これについては「葵太夫」さんがHPで見事に語って居られます。ご参照下さい。

前売り直前になっても、<猿之助さん指導>のニュースが発表されても、
腹が決まらない。なんと言っても猿之助歌舞伎(当時はそう言われていた)を
最初に拝見したのが、昭和47年・名古屋御園座における「四の切」それ以来
猿之助ファンとなった私にとって、「四の切」は、大好きな狂言の一つであり、
科白の総てを暗記するくらいに観劇した演目の一つなのです。
変(失礼)な舞台は観たくない!。猿之助さんの休演以来、裏切られた感じの
観劇が多かったし、歌舞伎好きの友人たちの意見も二つに割れるし・・・

でも、観ないで後悔するよりは、観て後悔したほうが良い!
とチケットを手配したのが一週間前!
「比較して観てはいけないよ!」との彼らの意見を背に16日に演舞場へ・・・

幸い1F7列19番という席のため、
海老蔵さんの目の動きまで観ることができたのですが、
残念ながら海老蔵さん「声(喉)」をいためておられて、かなり気の毒でした。
人間誰しも、声が出ない分、演技でカバーしょうとするのでしょう。
ややオーバーな演技に見えたのは、僕のひがめでしょうかねぇ。
部分的には、首をかしげたり、思わず笑ってしまったり、
もありましたが、初演のことでもありと、
猿之助さんの面影をダブらせたりしながらの観劇でした。

海老さまの「えびぞり」(くだらん駄洒落)残念ながら左足の袴が綺麗に
流れなかったのは惜しかったですね。(16日所見)
それと宙乗りの時、左右の腕をあれほど大きく開かなければならないのが?
「白鳥が大空を翔るのではないぞ・・・」なんて・・・
全体的に「演技のための演技」って感じを受けたのは僕だけでしょうか?
もう少し細やかな感情表現が欲しかったです。
長くなるので、笑三郎さん以下一門の皆さんについては割愛します。

パンフレットに、<市川海老蔵の挑戦ー澤瀉屋型の四の切ー>と題した
藤田洋氏のエッセイの中で、氏は
現在の澤瀉屋型の四の切が出来るまでの歴史を語り、
「海老蔵が、その猿之助の生き方、意欲を学んで
『四の切』を演じようとするのは、たいへんに意義ぶかい・・・」
「その四の切を猿之助型で習得しようという海老蔵の姿勢は、
現代の歌舞伎を受け継いでいこうというときに、
まことに理に叶った選択だということができる。
大袈裟にいえば、歌舞伎役者・市川海老蔵の飛躍にもなろうという、
新しい挑戦とみることができる」と・・・(抜粋)

以上、藤田氏のエッセイ・葵太夫のHPは、期せずして、
猿之助さんのこれまでの功績を物語っていると、僕は拝見しました。
こうした意義ある舞台を観たことは、
やはり、僕の観劇史の一ページに刻み込まれることだった、と思いました。

yukinamaさんの書き込みによると、
来年6月・中日劇場では『独道中』が上演されるそうですね。
この狂言に限らず、猿之助さんが<復活通し上演>された
「猿島都」「宇和島騒動」「小笠原騒動」「伊達の十役」など、
数え上げれば切が有りません。
右近さんをはじめ一門による再演は言うに及ばず、
今回の海老蔵さんのように、勇気ある歌舞伎俳優の方々によって、
これらの「名作」が上演されることを切望しております。
東京でも、是非実現して欲しいです。

最後に葵太夫さんの言葉を・・・
「澤瀉屋の狂言をやってみたい」と思う俳優さんは幾人かあっても、
それを実現すべく行動したのは11海老蔵丈が初めだそうです。」と・・・

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7 コメント

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決心つきました♪ (きたこ@香野)
2006-11-24 13:20:55
こんにちは。

どうしようか悩んでいた演舞場のパンフ
申し込むことにしました。
やっぱり読みたい!

7月に歌舞伎座いったとき、
後に並んでいた中年女性の「亜流はみたことがない」に、まだそんなこと言ってるのか?とカチンときたんで、
こういう文章は大歓迎です。
(本流がいいなら、京都の河原で阿国踊りでも観ときなはれ・・・です)

結局、作り手が思うこととファンの保守化との間のズレというのは、どうしようもないことなんでしょうかね~。
返信する
22日、観劇 (おとみ)
2006-11-24 18:04:11
海老ちゃん、昼、夜エネルギッシュに演じているためか、とても痩せたみたいでした。
体格、顔立ちは猿之助さんに全然似ていませんが、瞬間、猿之助さんに見られる色っぽい目つきの瞬間がありました。狐ことばはまだ難しそうでしたが、仔狐の可愛らしさが溢れていました。
右近さんにしても数百回されていて、比べるのは可哀相かなと思いますが、昼夜通して、海老蔵の四の切が一番皆の心を掴んでいました。
初めて猿之助型の四の切を見た人は早替りにワァ~!アクティブさにワァ~!花吹雪にワァ~!と気持ち良く観劇を終えているように思いました.
懲りずに、楽にも行きますが、法眼夫妻、義経、静、荒法師も見所満載!楽しんできます.
返信する
まだそんなこと・・・ (yaya)
2006-11-26 10:49:20
>きたこ@香野さん

保さんの(サイトの)劇評読んで
ズッコケました…マジで。
でも、今目の前で演じている役者さんの先祖(笑)
―梅幸さんや(先の)松禄さん―スタンダード寄りの
保さんの側に立ちたい(贔屓が)気持ち自体は理解
出来ます。

私も、藤田さんが、澤瀉寄りで嬉しかったりするし。

>おとみさん

海老蔵さん、毛縫いになってからのあたりは
瞬間、猿之助さん髣髴させるところもあるんですよね~
狐詞、かなり違うところも多いけれど。
でも、「初演」ですからね~
楽観劇されるのですね。報告お待ちしてます。
私は、この週末はひたすら仕事です。
返信する
満点の出来ではないけれど (むすび)
2006-11-26 20:50:16
久しぶりの書き込みです。おじゃまします。
演舞場の夜の部ですが、私は二十四日に三階鳥屋口付近で観劇しました。
チケットを取った時点では、「宙乗り」が伝えられていただけで、まさか「おもだかや型」で行われようとは思っていませんでした。
はたしてどのようになっているものか?久しぶりにドキドキ感を味わいました。

そして感想。「海老蔵丈、敢闘賞!」に尽きます。
正直な話、第一声の時は「こういう声だすの!?」と少々苦笑してしまいました。
(客席からの笑いも多々。けれど、彦一ばなしの殿様の時もこんな感じだったなぁと回想・・)

が、未熟と思える狐詞も、端々に教え主猿之助さんのニュアンスを似せようとする様な懸命さがあり、むしろ健気にかんじました。
大柄の子狐との話も聞きましたが、この日の、私が見た限りでは、ちんまりしていて、可愛らしい狐ちゃんでした。
(懸命に身体を殺す努力をしたのではないでしょうか)

化かされてのところでは、本当に楽しそう!やんちゃな子供がほんろうしている感じで、一番気にいった場面です。

宙乗りに関してはもう、おこなったという事実だけですごい事だと思います。yaya様もおっしゃっている通り「初演」ですし、葵太夫さんもおっしゃるように「歌舞伎史上歴史的出来事」なのですから。

本当に、亜流とか邪道とかで素通りされる事がない歌舞伎界になってほしいものです。ただでさえ、「金持ち、権力者が好きな保守的娯楽」としか語られることない歌舞伎が、もっと開放的におおらかになってほしいと願って止みません。

















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千秋楽、見ました (ゆきの)
2006-11-27 00:30:55
正直見る前から、でっかい狐になりそうだな~とあまり期待はしていなかったのですが、海老蔵さんの狐忠信はそんなにデカさは感じませんでしたし、かわいかったので驚きました。
ただ、むすびさんもおっしゃるように、声が…ちょっと馴染めませんでしたが…。(私も狐の第一声にぶっとびました~(@_@;))なんか息と一緒に声もスカ~っと力なく出してたところとか…(-_-;)まあこのへんは好き嫌いの問題なのでしょう。私としてはやっぱり猿之助さんや右近さんのように甲高い声の方がしっくりきます。それに馴染んでしまっているというのもありますけれど。
こういうことは好みの問題でもありますし、まあちょっと置いといて…。
やっぱり今回は、澤瀉屋の型の『四ノ切』を澤瀉屋以外の海老蔵さんが演じたということに大きな意味があるのですね。
海老蔵さんファンの方々が、どういう感想を持たれたのか知りたいです。
でも、葵太夫さんのHPも見ましたが、海老蔵さんが『四ノ切』をなぜやろうと思ったのかという詳しいことは誰も知らないようですが、う~ん…。何故なんでしょう??
なんだかんだ言って、抜群の運動神経には拍手!と同時に「若いっていいわねぇ」(←おばはん…)とうらやましく思ったり、最後の宙乗りでの楽しそうな(うれしそうというより、楽しそうに見えましたが…)海老蔵さんの狐忠信は、見ていて微笑ましかったですね。
でもやっぱり…
右近さ~ん、また見せてくれ~!狐忠信を~!!
返信する
昨日の投稿 (むすび)
2006-11-27 18:53:25
今日になって気づきました・・。
「第一声」って正確にいえば、「狐詞の第一声」って書くべきだった~。しかも狐忠信のことばかりに触れてしまって、すごく偏ってしまいました。
早とちりに投稿した自分に反省です。


> ゆきの様  
 息と一緒に声もスカ~っと力なく出して・・
 
 私は表現下手で、ただ苦笑としか書けなかったんですが まさにその通りでした。疲れていたのかなぁとも思った けれど、そうでもないという話も聞くし・・。

 「海老蔵さんがなぜ四ノ切をやろうと思ったか」
 
 理由は、いろいろネット上で、意地の悪い憶測が流れて
 いるようですが・・・・・・・
 純粋に「学びたかった」のだと、思いたいですね。
 あと、このところ亀治郎さんとの共演が多かったこと
 も、なにかきっかけになったのではないかと私は思って います。
 (しかし、亀治郎さんより先に四ノ切を演るとは想像す  らしませんでした。)

返信する
観劇報告ありがとうございます~ (yaya)
2006-11-29 00:18:24
>むすびさん、ゆきのさん、こんばんは~

毎晩帰宅が遅いゆえ、まとめレスご容赦!!
詳細な報告、感想メチャクチャ嬉しいです。
私も、久しぶりに、とっても深い関心を持って観た
歌舞伎の舞台でした。
亀ちゃんの四の切…
いつか、歌舞伎座で
返信する

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