ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】2

2005-11-26 23:52:00 | その他の演劇
関西地区、よみうりテレビで放映された「狸御殿の舞台裏」を
ただいま見終わったところ。(←大変よく出来たメイキングです。
別途、この番組ついても『見た気になれる鑑賞記』
をアップ出来ればと思います\(^o^))

何故、私が見る前から、どんな舞台になる(なってしまう)んだろう~
と、なんとなく不安(?)が先立つような思いをしてしまったのか…の
回答が得られたような気がします。
というのは、出演者や製作者の皆さんも、
同様な想いを抱いていたからなんですね。

よく、生の舞台で、演者がドキドキしたり緊張していると、
観る方にもそれが伝わってひやひやしてしまう…
といった事がありますが、
製作過程の段階では、まったく直接の交流はないのに、
何か、そんな制作側の不安感がテレポート!?されたのかしら(笑)

しかし、それらはまったく杞憂に終わりました。
いや「杞憂」というのは、ちょっと言葉が違うかもしれませんね。
「杞憂」=取り越し苦労、起こりえない心配をアレコレすることでしょうから。
実際あった(であろう)多くの問題を、ひとつづつ乗り越え、
丁寧に解決しながら、ある種の調和を作り出していったのでしょう。

舞台を観ると、本当によく練られた芝居であることが理解出来ます。
それは、後からこうしてアレコレ感想を言語化する作業をする事で、
あらためて気づくのですけどね。
とっても気軽に楽しめ、観るものを疲れさせないお芝居ですが、
その、肩の凝らなさ加減、す~っとラクに観れる分、
演者の背負っているものは、実は重いのかもしれません。

「間」の取り方のすり合せが、きっちり出来ているため、
歌舞伎役者陣と喜劇陣?女優陣との対峙も違和感ナシ。
(九尾の狐と白狐芸人ネタはちょっと・・・(-_-;))

冒頭、森をさ迷う右近さん(白馬の王子様!の意匠?)
の出から始まりますが、
これが、まったく歌舞伎の一場面と言ってもよい幕開け。
この、森(かがみの森)の背景は、
常の歌舞伎の書割ではあまり見ることない点描画なので、
スーパー喜劇という芝居の質よりこちらの方が「斬新」と思ったくらい。
そして、もうひとつ、あれ~!?と思ったのが、舞台が「赤い」ということ。

フツー(私のフツーは澤瀉の舞台、歌舞伎スタンダードですが(~_~;))
舞台の袖を覗き込むと「黒い」じゃないですか?
スーパー歌舞伎のイメージでも、とにかく舞台枠は「黒い」
けれど、この狸御殿の舞台は、舞台前面の張り出しの覆いから
袖、吊りモノ収納の天井部分まで「赤い」
あとで、よくよく筋書きに目を通してみたら、
大道具の金井勇一郎氏のコメントで
「黒幕のない舞台を作ってみた。今回は赤幕です。」とありましたが。

この、かがみの森が刷けると、狸御殿の満月祭りの場となります。
ここの、役者さんたちのダンサブルな弾けっぷりがサイコーに素敵です
衒いなく演っているので、こちらも、自然体で楽しめる。
もう、猿弥さんなんか、歌舞伎役者でなく、
もともと商業演劇のヒトなんじゃないか?
と思うくらい、顔つきまで何か違って見えるし、
唄は上手いしリズム感はあるしハァ~っと見惚れてしまいました。

また、きぬた姫(直美さん)のお婿さん候補の
猿若さん、笑三さん、喜猿さん、喜之助さんがメチャクチャカッコいい!!
いや~彼らこんなにハンサムさんだったかしらんと
マジマジ眺めてしまいました。
じゃらんじゃらんな衣装もきっちり着こなしてるし。
この4人は後に、紫さん(@卯月の方)に取り憑く、
“金毛九尾”の眷属としても登場するのですが、
この際の拵えも凄く似合って、役柄上醸し出すクールな雰囲気が、
今まで彼らが舞台上で見せたことないような、
別の側面を目撃した感じでドキっとしました。

そして、更に新境地を開いた!?喜昇さん。最強の婿候補です。
十二夜の松緑さんに、らく~に勝ってます(独断)

ここの満月祭りのキッチュな感じ、徹底してキッチュなので逆に抵抗感なし。
結構、周囲の子に、yayaさんたぶん、ダメなんじゃない?
と期待(?)されてたみたいなのですが、全然オッケー。
それより、この場面で、澤瀉一門の役者さんたちの
いろんな個性を再認識させられたことが新鮮でした。
曲もテンポも、お芝居全体の調和を乱さない耳馴染み良いメロディです。
娘狸さんたちの明るい笑顔、ノリの良い演技も魅力的。

そして、満月とピンスポしょって(笑)、きぬた姫登場!!
派手な装置や衣装以上に、
素材そのものの圧倒的な存在感を放つ直美さん。
あっちの役者さんを見たり、
こっちの役者さんを見たりと忙しかったのですが、
直美さんの登場と共に、どうしても、視線が彼女にフォーカスされる。
きぬた姫であり、でも、藤山直美という役者そのものである、
という二重性を表出しつつ、そこに、いる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。