ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

大阪 新歌舞伎座『新・水滸伝』 2

2013-08-22 12:18:59 | 歌舞伎

時間的制約もあるかもしれないけれど、林冲の過去がすべて説明で終わってしまう。

起承転結の「起」の部分が弱いかな。林冲の兵学校の教官としての、妻との生活を見せ、

陰謀にはめられていくまでの悲劇と別離、それと並行して時代背景と梁山泊の存在を示し

両者が出会い、結びついていく流れを。

林冲の葛藤の源も芝居として見せることが出来たなら、彼の再生?蘇生していく過程も

よりドラマティカルなものになるんじゃないかな、と思う。

 

今のスタートだと、まず「対立」ありき。「敵」ありき。

で、何故そうなのかが、説明的要素が多く、一幕、もたれる部分もある。

 

王英と青華のエピソードは、恋のストーリーという以上に

王英のキャラクターを立てることに有効となっている。

青華と花嫁衣裳なんて言葉が出てくる件(くだり)や、王英と手を重ねるところは

どうしても、新・三国志のパート1、玉蘭を彷彿させる。

女でありながら剣を持って闘うところ、二刀流などなど。

ポニーテール(笑)も。

いろいろ、いいとこどりすぎる(笑)ところはあるけれど、

これが初めて、スーパー歌舞伎にしても

四代目の「ヤマトタケル」で知りましたーという新規の観客にとっては

新感覚の「歌舞伎」として映るのでしょうね。そして、そこからまた

繋がっていく出会いがあるのかも。

 

ほぼ、アテガキと思われるので、それぞれの役者の個性にフィットしているというのは

役作り以前にアドバンテージがあると思うけれど、

ありきたりな言葉しか思い浮かびませんが、ホント、

「適材適所」で、どこもかしこも埋められていて説得力のある配役。

 

そして、笹原さんが居て下さることで、歌舞伎組だけでは

埋めきれないスペースが補われている。

 

つづく

 

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