ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

歌舞伎のタノシミカタ 2

2010-08-21 23:12:08 | 歌舞伎
(1も追記しました。8/21)

●第二幕(ライブ)
スーパー市民舞台「晴舞台歌舞伎楽」~ハレブタイカブキノタノシミ~

私、このタノシミカタ、勝手な先入観がありまして、
造形大で猿之助さんがされていた、歌舞伎レクチャー&発表会を踏襲したものであろう…
との認識だったのですね。なので、この市民参加の舞台は「発表会」と思ってました。
が、それが、気持ちよく裏切られ、ひとつの「エンターティメント」に仕上がっていて
これは、ホント、横内さんに拍手
もう、今日だけ(正確には美浜での公演もあったのですが)で終わってしまうなんて
勿体無いね~と同行者と言い合ってました。

道具は現代。バイク、床屋さんのサインポール(赤・白・青のくるくる廻ってるやつ)
モニターなどなど。音楽もシンセ打ち込みっぽい、いわゆる「洋楽」
一般参加者の中から選ばれた方が、それぞれ有名な役どころの拵えをしていますが
フル装備(!?)ではない。まず、鬘はつけていない。
地毛は隠されて、丸い頭の形だけが露呈されている。
皆、静止した状態。スポットを浴び、出番となると動きだす。

弁天小僧は女性。煙管を回しながら、「しらざあ~」から名乗りまで。
舞台奥の台上からは、お岩さん。あ、お岩さんは鬘つけていたかな。
4月に笑三郎さん演じた場面の一部、「今をも知れぬこの岩が・・・」の一連の恨みごとから
髪を振り絞るところまで。
次に、(これはセミプロの男性だそうですが)揚巻が(鬘はやっぱりない!)、禿を従え
高下駄に外八文字で道中。本人希望の「綺麗!」の大向こうがバンバンかかる。
その後に、吉野山の静御前(赤の着物)と忠信。笠を下手袖に放り投げるところは、
猿之助さんや、勘三郎さんを彷彿

そして前評判の高い(横内さんもブログで書かれていた、リューオーに出演されていた
京劇の俳優のお孫さん)小5の男の子の与三郎。
「もし、御新造さんえ、おかみさんえ… お富さんえ… いやさお富、久しぶりだなあ」うまっ!!
客席黙らせるってこのことか。にわか大向こうもかからず、皆台詞に聞きいってしまいました。
それから、女性による暫。暫らしいものは、何故か極端にデカイ茶色の正方形の二つの袂。
中に描かれた三升。
どうでも、いい話ですが、ウィキに「英題は文字通り『Just A Moment』(ちょっと待った)」
と書かれていたのだけど、今は、そのまま「SHIBARAKU」とかかるんじゃない?と想像。

これらの役役が下座ではなく、メロディアスな洋楽に乗って、演じられていく。
これが何故か違和感なし。ここでもツケは本職!
タイミング見計らう長坂さんの目が真剣すぎ。

あ~なんか、パルコでもかけても良いような、歌舞伎と現代劇のコラボみたいな
雰囲気をかもし出してました。
この、ちょっとポストモダンな舞台から一変、
花道に小学生5人が登場。(男子2人、女子3人だけど『白浪五人男』のパロディ)
黄色いワンタッチの傘を手にもち、ランドセルや、それに類するスクールバックを
背負っていたり、手に持っていたり。

名乗りがおかしくて、トップバッターのスラッとした、ギャル(死語?)予備軍みたいな女の子は、
(こちらは、歌舞伎の子役というより、扉座の研究生になれそうな?、手足の長い綺麗系女子)
おしゃれが大好きで、小学生向けファッション雑誌(名前忘れた)を
卒業したらポップティーンを読むのだとか。
2番手は男子で、小さいときから歌舞伎に嵌っている。
3番手は女子。プール大好きとのことで、スクール水着を着用。ボトムはスカートか
キュロット穿いてましたが。
4番手はゲームが好きな男子で、なにかゲームのキャラクターのTシャツを着ている。
最後は、ぬいぐるみ大好き女子で、ぬいぐるみをいっぱいぶら下げている。
この、自分の好きなモノや特技、勉強しないで遊んでばっかりいること!をもじった
名乗りは、もちろん、七五調で、しかも、凄い、端的にそれぞれの個性を練りこませていて
かつ、笑える台詞で、脚本横内さん面目躍如、てか、素晴らしいアテ書きです!

舞台センターには、子供の保護者?先生?PTA?おばあちゃま、と思われるような方が揃い
宿題もせず遊んでばかり!(←というような内容の台詞なのだけど、これも七五調になってる)
と、子供たちを連れ帰ろうと待ち構えてます。
この、子供を捕まえようとする大人たちと、子供たちの絡みが、だんまりになっていて
歌舞伎をよく知っている人たちには、大ウケ。
捕り手まで出てきて、子供たちを捕まえようとするので、
絶体絶命?の子供たちは、かくなる上は破れかぶれ…ではなくて、妖術で
何故か虎を呼び出す。この虎が、ちょっと可愛らしすぎるのだけど(特にまぶたの動きが。
瞬きというより、愛らしいウィンクをするのだった)
動きは、雑技の虎っぽい。イメージとしては、和藤内?
なんで、いきなり和藤内かよく分からないけど。。。
この、子供、親、虎、捕り手等々が入り乱れての、若干ドタバタが終わった後、
舞台は、一転して、落ち着いたムードに。

多数の黒衣たちが、笹の木を掲げて舞台を埋める。
(ん、百鬼丸にも似たような演出あった?別の芝居と混同してる?>自分)
(あと、唐突にマクベスの、バーナムの森が動く、を想い出したり)
この黒衣たちは、コロスの役割り。なかなか素敵でした。
物語は「曽根崎心中」に入っていき、笑野さんのお初と猿紫さんの徳兵衛。
登場時は人形振りでの演技でしたが(人形遣いをやっていたのは、たぶん、一般参加者の方。
こちらの方が大変だったのでは?)人形振りが解けたその後も、しばらく二人の台詞はなく
コロスが代行。
最後の最後に、本人たちの台詞があり。二人とも素踊りならぬ、素(化粧なし。紋付袴)の
演技だったのだけど、ちゃんと男女に見えて、ドラマティカルな舞台に仕上がってました。
心中で、客席も、水を打ったような静けさとなっていたところで
突如、派手な音楽が流れ、一般参加者がお揃いのカラフルなTシャツを着ての総踊り。
気分を高揚させて終わりたい、という、「タノシミカタ」らしい、横内さんの仕掛けかな。

●ニューディレクション舞踊劇「雪色恋狐火」~ユキゲシキコイノキツネビ~

この舞踊も、笑三郎さんが「踊る」のだ、と思っていたのだけど
ここでも、一般参加者が絡むとは予想外でした。

花道から、八重垣姫の姿で、笑三郎さん登場。
やっぱり、空気感が変わります。もしかしたら、「身内大向こう」の可能性もあるのですが、
(おもだかの役者さんも、扉座の、今回出演していない座員さんも、観にいらしていたので)
大向こうも本イキの、間の良い掛け声。

舞台センターには、一般参加者が、白い晒を両手に持って控えてます。
この晒を、笑三郎さんが踊っている周囲で振るので、プロの舞踊にここまで
絡むって、ホント、緊張しないのだろうか?ーヘンなとこに巻きついちゃったり
他の人と揃わなかったり―とか、見ているこちらの方が心配になってしまったのだけど
そうアクシデントもなく、たぶん、見ている方に邪念があり、出演している方は
無心に精一杯頑張っておられたのでしょう―
実験的なコラボとなっていました。

(ちょっと続く。そろそろ眠い・・・)

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