ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
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新橋演舞場 初春花形歌舞伎 感想1

2010-01-04 21:26:59 | 歌舞伎
初日と二日目昼夜頑張りました。
二日目はさすがに、途中、個人的に休憩させて頂いた演目、幕もありましたが。

<昼の部>

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)            

曽我五郎:獅童
曽我十郎:笑也
小林朝比奈:猿弥
鬼王新左衛門:寿猿
化粧坂少将:春猿
大磯の虎:笑三郎
工藤祐経:右近

華やかな様式美を観る、といったところで、
そう内面的感動のあるお芝居ではないですが
(少なくとも私にとって)
工藤が狩場への通行切手を投げ渡す場面は、ぐっときますね。
「フェア」というものを感じる。また、右近さん、じゃなくて、
工藤の投げる切手が、笑也さん、ではなく(笑)十郎のちょうど良い位置に納まって、
そんな、何気ない細かいところに何故か目が行ったり。
笑也さんの十郎、ずいぶん、襟抜いてるな~とか(笑)
昔の役者さんの舞台写真だと(うちにある歌舞伎本など)、
そうでもないのだけれど…そんな着付け感想メールをしていたら、
友人が、結構他の役者さんがやるときも抜いてるし、
菊五郎さんのを見たときも、かなり抜くんだな~と思ったわよ、との返事。
前回の笑也さんもかなり抜いていたとのこと。

もう、30年前くらいに出版された講談社の歌舞伎本が手元にありますが、
この「対面」はドラマではなく、俳優の美しさを見せるためのショウであると。
(とすれば、着付けに目が行ってしまったりも自然の成り行き?)
毎年正月に一座の俳優の顔を揃えて上演された。
一座の俳優のそれぞれの役どころが、すべて揃うように作られている。
この対面を見れば、どういう一座で、
誰がどういう役どころを担当する俳優かひと目でわかるようにと。
(そういう意味では、海老蔵さん不在なのが残念ですね。
さすがに朝一番からは出られないのでしょうけれど)
役者の持ち味や美しさをみせる、といったあたりが魅力の舞台なのでしょうね。
役者と観客の「対面」でもあるのだそうです。
※講談社:THE KABUKI 歌舞伎を参照しています。

二、猿翁十種の内 黒塚(くろづか)

老女岩手実は安達原鬼女:右近
強力太郎吾:猿弥
山伏大和坊:猿三郎
山伏讃岐坊:弘太郎
阿闍利祐慶:門之助

これは、澤瀉ファンにとっては、とても想い入れの深い演目なので
もう、観る方も肩に力が入ってしまいましたが、初日は、右近さんも
かなり緊張されていた様子。月の光の影と戯れるあたりに、もっと
柔らか味と、少しの愛敬が欲しいところ。初日、杖の影と頭が重なり
角に見えてしまうところに、ぎょっとする、でも杖だと分かってほっとする
という所作がなかったように思えた。
いろいろ考えながら見て、ちょっと集中できなかった部分もあるから(自分が)
見逃したかな?と思ったけれど
一緒に、観ていた子もそういえばなかったような・・・と。
でも、ここは、袂であわてて頭を隠そうとする振りもあるから
やらないことが出来る部分ではないかとの、別のファンの子の声もあり。
2日目も、私はよく分からなかったのだけど
(袂で頭をさらっとの方?かなと思う所作は目撃)
別の友人がやっていたよ(杖を角と思ってしまう方)とのことで、
猿之助さんより、そういうあたりの感情の露呈のさせ方が、違うのかもしれませんね。
猿之助さんの若い頃のように、曲のテンポを上げてるそうです。
(二日目は、鳴物が走ってる!くらいに感じた!!)
照明も歌舞伎座とは異なるようですね。
本性出してからのスピード感は、対峙する強力の猿弥さんの身体能力とあいまって
見どころですね~。背面ジャンプ?での消えこみも圧巻。これは補助の黒衣さんとの
タイミングが凄く合ってる。
祐慶たちに捻じ伏せられそうになるあたりは、逆に哀れさも感じられて
終盤は、なかなか良かったです。


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