ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

中日劇場のヤマトタケル

2005-06-07 00:24:57 | ヤマトタケル
ヤマトタケルDVD


5日日帰りで猿★征してきました。(厳密には0泊2日!?)

往路では線路に人が立ち入ったとの事で、一時間のぞみが止まり、
欣弥さんの朝礼(笑)に間に合わないかと焦りました(^_^.)
まあ、ある程度余裕を持っていたので開演には間に合いましたが・・・
節約のため、ぷらっとこだまで行こうかな~とも考えていたのですが
のぞみにしておいて良かったです。
その代わり帰路は大節約モードで、ムーンライトながらで帰京。
23時55分名古屋発、翌朝4時42分東京着。指定でも6600円!
青春18切符のシーズンだと更にリーズナブルな猿★征が可能です。

さて、名古屋公演ですが、客層や劇場のキャパに合わせてか、
大阪での濃厚感は軽減されていましたが、
もし舞台が客席と演者とのキャッチボールとするなら、
適切な投球だったとも言えるでしょう。

久々の中日劇場ですが、着席してまずビックリしたのが、
舞台と客席がメチャクチャ近いこと!昼夜とも最前列で観劇したのですが、
とにかく、ほぼ自分も出演者?って思うくらい(←かなり妄想)
舞台と客席の距離感がないです。こんなに近かったかしら?と驚きました。
熊襲の宴会では舞台上の館と同様震度3から4を体感?
他の場面でも微震が起こっていました。客席側にも!(^^)!

そして、背もたれの角度が深くて、ちゃんと背をつけて座っているとなにか、
仰け反って観ているような感じです。 上手にも仮花道があったり、
斜め宙乗りであったりと、演出は演舞場バージョンを基本としたら、
松竹座より更に異なるだろう、とは思っていましたが、
それらがまた新鮮で、演舞場・松竹座を観た方も、
是非名古屋へもどうぞ!とお誘い申し上げます。

まず、大きな変化は、帝が金田さんから安井さんへ替わられたこと。
初日に友人からメールが来て、とっても優しい良いお父様に見える、と。
確かにそう。眼差しが非常に優しい父性愛に満ちた感じで、
兄殺しを問う時も、言い分を良く聞いてやろう~という雰囲気が漂います。
征伐に行けと命じながらも、父性が勝つようにも見え、
特に二幕、蝦夷へやる時にタケヒコを同道させると告げる時も、
「お前一人では心配だからな~」とやっぱり止めさてもいいかな・・・
とか実は内心思っていそう!?(いないって(ーー;))
(↑兄姫とめでたしめでたしで、そこで芝居終わる…)
とても穏やかな父帝という印象です。

そのせいか、逆にエピローグでタケルの手を取るときが、
無表情に見えてしまいました。無表情、というのはちょっと語弊があるかな?
最初からそんなに突き放しているようには見えないので、エピローグ、
タケルを承認した、というような心の変化は薄かった。

中日劇場は、いつも掲示板への投稿などでも書いていたのですが、
重低音が良く響き、もしかしたらバランスの良い音響、
という意味では満点ではないのかもしれませんが、私は好きなのです。
演舞場がちょっとキンキンする音なので、この中日劇場で聞くテーマ曲は
私の耳には、とても心地良いものとなります。
あと、照明プランも多少異なるようで、一幕切に昇る赤月を照射するライトや、
宙乗りの虹色が綺麗です。宙乗り前の台詞を云う間タケルに(というか衣装に)
射す青や紫が濃く深く映るし、宙乗りの間中、舞台正面下手から中央辺りまでに、
半分の虹橋が架かり、死して生きるタケルへの鎮魂と祝福を与えるような感じ。
(常の宙乗りでは舞台正面を観る事などないのですが、
この日本最長の!?宙乗りが、もう実にたっぷりで、
ふと、正面を振り返ると、美しい虹が舞台に架かるのを発見。
演舞場などでは左袖辺りに映っていましたが。天井に射す虹色も綺麗です。)

上手仮花道を使うのは、熊襲でのフルーツ娘(?)の出と、
能煩野のタケルとタケヒコの出。石が下手の花道付け際に置かれます。
松竹座と同様この場面で、次の陵墓の準備の関係上盆廻しが使えないため。
そして出現した瞬間驚いたのが、陵に階段が設置されていないこと。
以前から中日劇場の上演では、舞台の構造上の都合で外されていたそうですが、
初演当時は、私はまだ、猿★征なんて考えもしなかったので
(演舞場や明治座での昼夜通狂言、歌舞伎座公演で十分満足していた。)
86年の中日劇場版は観ていませんし、88年前後は海外在住だったため
ヤマトタケル再演全公演未見。95年も中日は観ていないので、
今回初めて目撃しビックリしました。一体どうやって降りてくるんだろう~?と。
(まだ、始まったばかりで未見の方も多いと思うので、観てのお楽しみ!
にしておきましょう~。まあ、そんなに特異な降り方ではありませんが(^_^))
そして、この斜め宙乗り、飛行距離が長いのに加え、
最初にぐーっと上がっていく時のスピード感と相反し、
吊り上げられた後は、かなりたっぷりめにゆったりと進んで行きます。

ちょっと不思議だったのが、中日劇場の舞台は、
松竹座より更に狭いのかもしれませんが、
間口はそんなに大きくは変わらないような気もするのです。
両花道ある分逆に、左右に大きく使える?とも思いましたが、
なぜか、舞台の中央だけを使って演じている、と見えたこと。
これは、同日一緒の舞台を観た友人らも
「なんでみんな(舞台の)真ん中だけで芝居してるのかね~」
と言っていたので、微妙にみな、中央に寄り気味の立ち位置だったような・・・

もう一つ、これは演舞場公演からずっと不思議に思っているのが
伊勢の大宮での倭姫の椅子!一階の客席センターから観ている時は、
結構下手に置いてあるように見えるのに下手側に席を取っているときは、
舞台の中央に置いてあるように見える。
上手寄りから観るとやはり中央よりすごく下手にあるように見え・・・
この中日では、自分の席がセンターでも“中央”に見えたのですが。
絵画でもよく、絵に向かって左右どちらに立っても、
作中の人物の視線や身体の向きが自分の方に向いているように見える、
というものがありますが、そんな感じで(ちょっと違うか?(^_^.))
置いてある位置は(当然)日々変わらないのでしょうけれど
自分の視座によって位置が変わって見える、目の錯覚??
個人的にとってもツボで、毎回、今日は椅子はどの位置に見えるだろう~
と眺めています。騙し絵みたい!(ってこの書き方でご理解頂けるかしらん・・・)

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