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森村ワールドを今も道案内『森村誠一 読本』

2023年08月15日 | 読書

先月亡くなったベストセラー作家・森村誠一の作品は遠い昔に読んだ記憶がある。ただ、映画化された『人間の証明』や江戸川乱歩賞受賞作の『高層の死角』など数えるほど。推理小説が読書対象から離れるとともに他の領域の著作からも遠ざかっていた。近年、興味を覚えたのは小説そのものより写真俳句や反戦平和の発言、うつ病の克服を書いたものなど。今回、図書館の特設コーナーでたまたま手に取り、氏の多くの作品群や多彩なジャンルをあらためて知ることになった。20年以上前に出版されたものだが、その内容は色あせた印象はない。60歳台に入った氏が半生を語る冒頭のエッセーや書き下ろしの短編推理、時代推理。そして作品紹介では長編・短編のミステリー、歴史・時代小説を網羅、何人もの筆による作家論は今も新鮮に“森村ワールド”を道案内する。住んでいた熊谷市での終戦前日の空襲、学生時代の山登り、ホテルマンとしての体験が作品にどう投影、問いかけしているのか。機会のなかった時代小説の『忠臣蔵』、戦記物『ミッドウェイ』や関東軍731部隊による生物兵器研究、人体実験を告発した『悪魔の飽食』など、ぜひ読んでみたい。

                             



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