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終結への国際議論を『ウクライナ戦争をどう終わらせるか』

2023年07月20日 | 読書

ロシアの理不尽な侵攻により始まったウクライナの戦いは、もう1年半近くになる。街が硝煙に覆われ、多くの一般市民の犠牲者や海外への避難という悲惨な状況が今なお続く。一日も早く、ウクライナの人々に出口の灯りでも見せてあげられないものか、とこの本を手にした。本書では、ジャーナリスト経験などが生かされた著者の調査、取材による論考に多くの納得を得た。特に第2章<これまでの戦争はどう終わってきたのか>の第2次大戦以降の世界各地の例を詳述した部分。アメリカや旧ソ連、ロシアの大国が関わりを持ったベトナム、アフガニスタン、イラクなどへの侵攻、軍事介入である。戦争の終わり方には「軍事的勝利」か「交渉による和平合意」しかない。事例において、大国が小国に軍事的侵攻してもほとんど失敗に終わっていること。侵攻された側は軍の撤収を目標に抵抗を続け、最終的には勝利を得ている。そこには<大国の撤収が起きる前に、何らかの和平交渉と和平合意が必要だった>ということを強調。また別の章<戦争終結の課題と解決への模索>での<領土の問題、戦争犯罪、安全保障の枠組み、賠償問題と戦後復興>も過去の具体例から現実的な取り組みを示唆する。最近もウクライナ産穀物輸出合意の停止など続くロシアの横暴。それを前に望みが消えそうになるが、戦争終結にむけ国際社会において議論と具体的な検討を。関係する大国であるアメリカや中国、周辺国トルコなどが主導して本書副題にもある<「和平調停」の可能性>に真剣に向き合ってほしい。非道で残酷なシーンが日常の出来事のごとく新聞・テレビで伝えられなくなる日が来ることを願いたい。

        

(以下「国連UNHCR協会」の活動支援依頼チラシより)

    

    

  



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