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校閲記者の熱い思い『校閲至極』

2023年12月12日 | 読書

時代劇で聞いたような言葉「恐悦至極(きょうえつしごく)」ならぬ『校閲至極』の題名。新聞社の校閲セクションで多くの誤字や不適切表現に出会い、時には苦悶する事例を紹介する。面白おかしく頷き、考え込んでしまう内容も。「あとがき」でタイトルを考えた際に<(校閲とは)人の間違いを見つけて「悦」に入るような仕事というよりは、間違いを見逃して「恐れ」を抱く方が多い>とあるとおり、日々真剣なのである。四字熟語の「恐悦至極」の意味(恐れつつしみながらも大喜びすること)にふけることなく、赤ペンを手に次の文字・文脈に目を走らせるのだ。あらためて調べたのだが、「校正」とは(表記の誤りを正すこと)、「校閲」とは(情報・内容の誤りを正すこと)。もちろん校閲記者は両方に鋭く目を光らせる。例えば表記の誤りは「乳洞」は「鍾乳洞」が正しいし、「追及」・「追求」・追究」も使い分けが必要だ。内容の誤りは「新宿区の南新宿駅」は「渋谷区」が正当。最近自身が目にしたものでは、地元の議会だよりに「長野県甲府市議会」、購読紙で訂正されていたが「恋物」は「恋物語」など。つい先日も知人からのメール文で「拡張高い文章・・・」について早速、パソコンの変換ミスと「格調高く」連絡が届いた。この本の最後に(高みから誤り切り捨てることではなく)<誤りが発生する現場の感覚や正解のない問題にあがき続ける姿を伝えることを重視した>とある。単なる解説本でも苦労話でもない。より正確に物事を伝えたいという校閲記者の熱い思いを受けとめた。

     



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