スケッチブック30

生活者の目線で日本の政治社会の有様を綴る

スケッチブック30(財政法)

2022-12-06 14:29:13 | 日記
12月6日(火)
 「財政法」という法律があることを初めて知った。大人として全く恥ずかしい次第である。ここに「国の歳出は、公債または借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならない」とある。つまり国は借金して何かやってはいけないと書いてあるのだ。この法律は昭和22年に出来た憲法に次ぐくらいの、オールド法律だが、その当時に出された権威ある解説書に、「太平洋戦争の戦費は公債で賄われた。この法律は戦争放棄を誓った日本国憲法の、財政的方向からの裏付けとなるものである」との趣旨の解説がなされているそうだ。
 これで何でも増税に走る財務省の心根の動機が、よく分かった。彼らは法律に準拠しようと努めているのだ。しかし実際は税金だけでは国の歳出を賄いきれない。「財政法」にもいわゆる「建設国債」は例外とするとある。更には現実には国は特別法を作って、いわゆる「赤字国債」の発行もなされている。そうやって税金以外の金を集めないと、「小さな政府」ならともかく、国としての必要な国民サービスや政策が行えないのだと思う。
 しかし官僚としては、基本法に忠実であれと、考えるのだろう。国の歳出は税金で賄え、借金は特例だと思え、これが財務官僚なのであろう。だから科学技術の振興とか防衛費の増額などの従来にない新たに必要となった新規事業は、新たな歳出なのだから当然従来の歳入にはなく、まず財源(つまり増税)が検討されることになるのだ。
 まことに敗戦当時には適応していた日本国憲法が、いまや日本の成長を阻害するものに転化しているように、「財政法」も新時代に対応する財政の弾力性を奪っているものと化している。
 先ほどの「太平洋戦争の戦費は公債で賄われた」との解説をよく考えろ。税金以外に金を集めなければ何もできない事の正直な告白である。だから今の日本だって、半導体産業の復活だってなんだって、金を集められない今の「財政法」で国家的プロジェクトが出来る筈がないのだ。現実には特例法で対応しているのだろうが、自衛隊の「戦力」と同じで、世界標準から見て後手後手に回らざるを得ない性格のものだと考える。