スケッチブック30

生活者の目線で日本の政治社会の有様を綴る

スケッチブック30(自殺「いじめ原因」)

2019-02-27 16:41:08 | 日記
2月27日(水)
 大津地裁が中学生の自殺はいじめが原因だとして、元同級生と保護者に3750万円の損害賠償を命じる判決を出した。いじめを無くそうとする立場からは画期的な判決であるが、それだけに先が不透明なある種の怖さも感じる。
 前から歯痒かったのだが苛めをする人間に、命の尊さとか善隣愛を説いてもあまり効果は上がらない。いじめを本気で無くそうと思うなら、いじめは犯罪だと決めて、刑事罰と民事罰を課すしかないと考えていた。今回の判決はその第一歩となるもので、司法がいじめは犯罪との認識で一致して、加害者に罰を課す方向で動いてゆけば、恐らく自殺する程のいじめは激減するであろう。
 それは結構なことであるが私がある怖さを感じる理由は、犯罪化が徹底されて子供の世界から、小さないじめさえ無くなるような事態になりはしないかという危惧である。私は人をいじめた経験は、自分ではないと思っているが、小さないじめを受けた記憶はある。いじめに打ち勝つ、例えば相手と殴り合う、そこまでいかなくても戦う姿勢を見せる、或いは付け込まれる元となった自分の曖昧な性格を正す、そういう経験は確実に以後の人生に役立ったと思っている。私は子供時代というものは、大人として生きてゆける自分を作る、準備期間だと考える。だからかけがえのない楽園時代という面も必要であり、同時に苦難をシミュ―レーションするという面も、必要だと思うのだ。シミュレーションを飛び越えてしまうような苦痛は勿論論外だが、行きすぎて角を矯めるようなことにならないかと、心配をするのだ。
 ただ私は今のいじめの実態を知らない。昔とは全然いじめの性質が違うとの話も聞く。だから余計な心配なのかもしれない。
 

スケッチブック30(米朝会談②)

2019-02-26 13:56:21 | 日記
2月26日(火)
 米朝会談が中国への揺さぶりだとしても、会談する以上双方とも何らかの利益を得ることが、対外的にも国内向けにも必要であろう。北のメリットは何か。最大のものは三代目体制の保証が続くということである。トランプが三代目を交渉相手とする以上、そしてすぐさま戦争を仕掛けることはないと言う以上、三代目を認めているという事であり、換言すれば体制保証をしたということになるのだ。問題はこれでは前回と同様のメリットでしかないから、北がもう少し利益を要求するかである。私は北が求める制裁解除は少しもなく、核放棄の期限延長を勝ち得たという話で、落ち着くのではないかと思う。ではトランプが得る利益は何か。
 本質的には中国を揺さぶったからそれで十分なのだが、それは水面下の成果だから、表面上でアピールできるものが必要となる。北朝鮮が自主的にする核とミサイルの実験放棄ではすまないだろう。近い将来核拡散防止条約への復帰をする、くらいの約束を取り付けるのではないだろうか。或は、これは希望的観測が大きいが、拉致被害者の帰国が約束されるかもしれない。もしそうなったら人道問題を解決したということで、トランプにとっては大きな成果となる。ノーベル平和賞受賞も十分可能だ。ただこれは北にとって大きなカードを失うことで、比例する利益を要求するだろうから、どうなるか。分からない所だ。

スケッチブック30(米朝会談)

2019-02-25 12:57:14 | 日記
2月25日(月)
 三代目は電車でハノイに向かっている。信じられないがこれが北の現実であろう。つまりベトナムまで飛べる飛行機がないのだ。前回は三代目だけは中国の飛行機を使って安全だったが、随員たちは北の旅客機に乗り込んだ。それが奇跡的にも無事故で飛べたのではないか。もう一度やって今度は随員が全員死んだら政権が崩壊すると三代目も考えたのだろう。私にはそんな国がとても核とミサイルを持っているとは信じられない。持っていないからトランプも「急がない」と言うのであろう。
 ではトランプは何故米朝会談をするのか。北を中国から引き剥がしたいからするのではないか。根本は米中対決である。もし北がアメリカ陣営に入れば、中国は大慌てであろう。文が南北融和に極めて積極的だから、文に誘われて、三代目がアメリカ陣営に靡く可能性は十分あると思う。中国も必死に北を引き留めるだろうから、三代目が今すぐアメリカ陣営に旗幟を変えることはないだろうが、米朝会談は中国を揺さぶる大きな効果がある。
 思うのだがアメリカは北に手を差し伸べる振りはするが、米中どっち付かずの状態に置いておくのが、本音ではないか。北を手に入れてその後の面倒を見るのは真っ平御免な筈だ。文に面倒を見させるのも、朝鮮半島が逆に中国のものとなる危険性が高く、これもやらせたくない。北の崩壊は東アジアの政治的激変であり、どんな事態が生じるか分かったものではない。だから中国にとっても避けたい事態であり、中国の本音も北の現状維持であろう。だからアメリカは、生かさず殺さずではないが、北朝鮮取りの綱引きが中国を困らせる手段になるなら、時々会談という飴を舐らせながら、現状のまま北に制裁をかけ続けてゆくのではないかと思う。現状は、北は中国の子分である。親分は子分の窮状を救う義務があるから、北への制裁が続くことは中国に何らかの北援助を強いることになり、それは国際合意違反を続けさせることを意味し、中国ディスカウントとなってトランプは大喜びなのだろう。北はアメリカが中国をいたぶる為の、パンチの受け役となっている。なぜ中国がそれを容認しているかというと、本気のパンチが飛んで北が倒れたら、中国もアメリカとの戦争を決意せざるを得ないくらいの極限状態に陥るかも知れず、それが怖いからである。
 アメリカが本気のパンチを出さないから、拉致問題も多少の進展でお茶を濁されるだろう。文は三年後の牢屋入りが怖いから相当北にのめり込むだろうが、それを許さぬアメリカの策謀によりロウソクデモで倒されるか、無駄なあがきの内に牢屋入りを迎えるかであろう。ここら辺は米中対決の進展具合によって大きく変化するであろうが。

スケッチブック30(大東亜戦争は無謀な戦い③)

2019-02-20 13:55:54 | 日記
2月20日(水)
 日本は己で企画立案したわけでもなく、情勢の変化につられた場当たり的な対応の繰り返しで、大東亜戦争に飛び込んでいったのであるが、それは戦闘の各過程にも引き継がれていった。
 真珠湾攻撃は、マリアナ沖での一大決戦という軍令部が練り上げた作戦を、山本五十六が場当たり的に一蹴して、行われたものだった。その戦果はせいぜい3か月間アメリカ艦隊の行動を封じるというものに過ぎなかった。軍令部の作戦通りに西太平洋上に網を張り、マリアナ沖で日本海海戦の再現(十分可能であった)をしていれば、アメリカの海軍軍人の主要人員はそこで死んでしまい、ほとんどいなくなる。17年の末に両洋艦隊法による軍艦が出来上がってきても、操船する海軍軍人は簡単には養成できない。2年間くらい行動不能に出来たと思う。
 アメリカは真珠湾の敗北に拘わらず17年の初めに、空母を繰り出して南洋諸島の日本軍基地を盛んに空爆した。その対処の為もあって珊瑚海海戦が起こるのだが、真珠湾の戦果に酔う山本は実に無謀な、相手を見下した作戦を取った。このとき日本はインド洋作戦を終えて6隻の空母が南洋にいた。南洋方面で活動しているアメリカ空母は2隻とみられていた。そこで山本は翔鶴瑞鶴の2隻をアメリカ空母相手に残し、残りの4隻は、ミッドウェー作戦の為に内地に向かわせてしまったのだ。その結果珊瑚海で2対2の戦いとなり日本は一隻を中破され、敵の一隻は幸運にも航空燃料の爆発で沈没したが、もう一隻のヨークタウンを中破のまま逃してしまった。このヨークタウンが修理されて、ミッドウエー海戦で大活躍するのである。もし六隻の空母で掛かっていたら翔鶴の中破もなく、レキシントンとヨークタウンを完全に沈没させていただろう。ミッドウエーは起こらなかったか、海戦があっても勝っていた可能性が極めて高い。アメリカの力量を下算した結果の、無謀な作戦だったと言えよう。
 これを受けたのかミッドウエーで山本は自分が乗る大和以下の大戦艦群を、戦闘には何ら関係しない遥か後方に下げるという、信じられないほど愚かな陣立てをさせた。だから空母四隻がやられても将棋が指せたのだ。
 ガダルカナルで山本は砲撃力の弱い金剛榛名に艦砲射撃をさせた。だから第二飛行場とジャングルに隠された航空燃料の撃破が出来なかった。大和と陸奥をもって射撃していたら、砲弾の破壊半径が数倍に広がるから、撃破できた可能性が高い。では何故そうしなかったのだ。大和と陸奥は金剛榛名より速力が約5ノット遅い。砲撃した後の逃げ足が遅くなるのを恐れたのだ。しかし艦砲射撃で敵を全滅させておけば逃げ足など問題にならないだろう。また仮に敵機が残存していて攻撃を受けたとしても、それが何だというのだ。目的はガダルカナル島の敵殲滅である。その為攻撃を受けたとしても、目的が叶うなら、それをどうして恐れるのだ。敵の下算の裏返しである、怯懦の心理が山本を支配していたからだ。
 山本五十六(ほかの司令官もそうだが)はとにかく米軍の攻撃を恐れに恐れた。ソロモンでは大艦隊を何度も出したが、偉いさんが乗る戦艦は極力戦闘を避け、航空部隊ばかりに消耗戦を強いた。頑丈な司令塔に守られていてさえ戦場に出ないのに、殆ど対空砲火はないと言っても良い駆逐艦が、名ばかりの護衛をする無防備の輸送船団には、平気でガダルカナルへの突入を命じた。正直彼らが祖先であることを私は恥ずかしく思う。
 大東亜戦争はまさに無謀な戦争であった。しかし戦争に巻き込まれるまでの日本の対応には同情できるところが多々あるが、戦争が始まってからの海軍の戦いぶりは、唾棄するところばかりである。無謀な戦いは、山本を筆頭とする海軍首脳部の戦いぶりに、その極致を見る。
 戦後の日本は自虐史観に囚われていると識者から批判される。しかし山本のような無謀な戦い振りを見て祖先にがっかりさせられれば、羹に懲りて膾を吹きたい心情も、分るというものだ。
 
 

スケッチブック30(大東亜戦争無謀な戦い②)

2019-02-05 10:36:29 | 日記
2月5日(火)
 日本の策もむなしくドイツは6月22日ソ連に攻め入った。日本で独ソ開戦を予想した者は少ないが、スターリンだって予想しなかったのだから責められまい。バルカン半島にソ連の基地を作らせろとかボスボラス海峡の通行権とか独ソの対立はあったが、それはドイツの威圧によってソ連は結局要求を引っ込めると、日本は思っていた。だから独ソ国境へのドイツ軍の集結も、一種の威圧だと思っていたのだ。だがスターリンの油断は理解できない。基本的にドイツが二正面作戦を始める筈がないと思っていたからだろうが、我が身に降りかかる事態なのだからもっと真剣にドイツ侵攻を考慮すべきであった。私はヒットラーはその時点での独ソ対立が原因でソ連侵攻をしたのではなく、昔からソ連を取る強固な意思があったから、この機会を捉えて攻撃に踏み切ったというものだと思う。もしスターリンがヒットラーのこの根本的心情を知らなかったとしたら、油断もむべなるかなとは思う。
 日本としては4国同盟は最早霧散したのだから、早急な対策が必要となった。選択肢は三つである。①アメリカに屈して東アジアに蟄居する。②三国同盟でもアメリカを威圧できる。外交を工夫してアメリカと戦争にならないようにしつつ、大東亜共栄圏構想を進めるべきだ。③アメリカ側に寝返りドイツに宣戦布告する。
 ①はアメリカとの戦争は避けられても、日本の国益は相当削減されることが予想される。支那大陸からの撤退は勿論満州国の解体も予想される。腰抜けに予算はいらないと、陸海軍とも大幅な兵力削減となる憂き目は避けられないだろう。政府首脳部だって大幅に更迭される。日本の指導者層が自分で自分の首を絞めるようなことをする筈がない。
 私は③が良策であったと思う。ドイツに宣戦をして大西洋に艦隊を出し、Uボート戦を行うのである。イギリスからは最高の感謝を受け、アメリカも経済制裁の解除をせざるを得なくなる。蒋介石を切って、支那における日本の特殊権益を認めるであろう。これで宿願だった支那事変が解決できる。残念なのはイギリス・フランスの植民地を取ることは出来なくなることだ。大東亜共栄圏構想は不発に終わる。だが日本は戦勝国の一員なのだから戦後も相応の資源融通をして貰えるだろう。インドや東南アジア諸国の独立は十年単位で遅れたろうが、これとて永久に植民地支配が続いたとも思われない。大東亜戦争終結後のような急激な変化はないにしても、日本もアジア諸国も少しづつ発展していったように考える。何より日本は二百万人を超す同胞の死も、原爆の投下も、戦争犯罪国家との濡れ衣を着せられることなくもすんだ。
 ③の選択は強力な指導者が出て音頭を取れば、出来ない話ではなかったように思う。海軍は元々日米戦に自信がないのだから、面子を潰さない工夫をしてやれば乗ってきたと思う。陸軍は支那権益の拡大と支那事変解決で押せば抑え得たと思う。経済界は資源確保を示せば反対しないだろう。大西洋でUボート相手に戦果を挙げれば民間の意識もこれで良いとなったのではないか。しかし近衛にそんな指導力はなかった。そもそも政策大転換の発想があったとも思えない。
 結局日本が選択したのは②である。積極的な選択というより新発想と新企画がないまま、漫然と従前の方針に引きずられたというべきかもしれない。そして南部仏印進駐で、巧い外交も糞もなく、アメリカから石油禁輸と資産凍結を食らってしまった。この辺でアメリカは太平洋と大西洋の二正面戦争もやむを得ないと、覚悟を固めたように思う。ならばと日本は対米戦も辞せずと、国策を決定した。こういうやり方を場当たり的と言うのだと考える。
 場当たりの最たるものは、日本の対米戦決意は、不敗の体制を堅持しつつドイツの勝利に期待するという、人頼みの作戦であったことだ。ドイツが負けた場合のことは想定しない作戦だった。ドイツは既にイギリスの空の戦いで負けている。バルバロッサ作戦は今のところ順調だが、作戦発動が一月遅れている。モスクワの冬を心配しなくてよいだろうか。大東亜戦争は見通しのない、無謀な戦争だったというべきである。