火坂雅志の『真田三代』(上・下)を読んだ。火坂雅志は1956年、新潟市生まれで早稲田大学商学部を出て、「別冊歴史読本」副編集長をつとめた後、作家デビューしたとある。私は2009年直江兼続を描いたNHK大河ドラマの原作となった『天地人』の作者としては知っていたが、その作品を読む機会はなかった。『真田三代』は大野図書館で前の本を返却した際、希望の本がないので本棚を物色していて目に付いたので借り出して読んだ。私の故郷が群馬県であることはどこかで書いたと思うが、渋川という群馬の真ん中に位置する市(現在は平成の大合併で途方もなく広くなってしまったが、合併前の渋川市内である)である。中学生の時に、何かの行事で岩櫃山に登って、ここがかつて真田の城があったところで難攻不落の城だった話を聞いていた。その後、池波正太郎の『真田太平記』を読んで、真田氏の存在には大いに興味を持った。『真田三代』は戦国末期、真田幸隆、真田昌幸、真田幸村と信幸の兄弟の三代にわたるたたかいを描いたものだ。戦国時代覇者となった、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などとは異なり、一信州の豪族でありながら、戦国時代をしぶとく生き抜いた、真田の人々の思いを強く感じさせてくれる作品である。火坂雅志の本はまだほとんど読んでいないので、これから少しずつ読み込んでいこうと思っている。