国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は30日、10月1日からSDR (特別引き出し権)の構成通貨に中国・人民元を加えることに関し「中国の通貨、為替、金融システムの改革努力の前進を反映したものだ」とする声明を出した。←こちらの報道など
SDRとは?? 聞きなれない言葉ですね。こちらの説明によると、SDR=Special Drawing Rightsは、「国際通貨基金(IMF)に加盟する国が持つ資金引出し権、及びその単位である。」と。
危機に直面した加盟国は、仮想の準備通貨であるSDRと引き換えに他の加盟国からドル・ポンド・ユーロ・円という通貨バスケットにある通貨を融通してもらう仕組みである。
今年3月時点で、2041億SDRが発行され、IMFへの出資比率に応じて加盟国に配分されている。
この加盟国に配分されているSDRの価値は、1SDR=0.5851USD + 0.38671EURO +1.0174人民元 +11.9日本円 + 0.085946GBPとなる。今後5年間有効となる。←ロイター
SDRという紙幣やコインがあるわけではない。外国為替市場で通貨としてSDRが売買されているわけでもない。
具体的な使用例としては、財政危機に直面したギリシャが保有するSDRを利用する形でIMFから支援を受ける、あるいは、IMFへの融資返済に使うといったケースである。
IMFから加盟国に配分されたSDRはドル換算で3000億ドル弱に過ぎず、世界の外貨準備高全体(約11.3兆ドル)の3%にも満たない。
SDRそのものが限界のある存在であることから、人民元がSDRの構成通貨となるといっても、短期的には直接的な影響は少ないだろう。
しかし、中国経済が抱える構造的な調整圧力に照らしてみれば、自由化や規制緩和が進む過程では、中国からの資本逃避圧力が高まるリスクもある。
また、米国の利上げがいよいよ始まる中で、中国の金融緩和はまだまだ続く。米中の金利差面からは人民元安圧力がかかってもおかしくない。このようなリスクもありえる。
現実には、世界の外貨準備に占める人民元の割合は現状ではわずか1%程度に過ぎず、中国は2020年までに人民元の国際化を図り、上海を国際金融センターとして発展させることを計画している。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)もそうした動きの一環と言えよう。
20年頃までに外貨準備における人民元の割合が、例えば10%程度、すわわち、現状のユーロの半分程度の割合にまで高まることも十分あり得よう。
しかし、人民元の実力は正直言って未知数だ。
その潜在力を考えれば、日本でも個人の資産運用や企業の資金調達などにおいて人民元が選択肢として検討されることがあって良い。
そのためにも、まずは人民元決済が実施できる枠組みの整備が課題である。←NHKなど
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SDRとは?? 聞きなれない言葉ですね。こちらの説明によると、SDR=Special Drawing Rightsは、「国際通貨基金(IMF)に加盟する国が持つ資金引出し権、及びその単位である。」と。
危機に直面した加盟国は、仮想の準備通貨であるSDRと引き換えに他の加盟国からドル・ポンド・ユーロ・円という通貨バスケットにある通貨を融通してもらう仕組みである。
今年3月時点で、2041億SDRが発行され、IMFへの出資比率に応じて加盟国に配分されている。
この加盟国に配分されているSDRの価値は、1SDR=0.5851USD + 0.38671EURO +1.0174人民元 +11.9日本円 + 0.085946GBPとなる。今後5年間有効となる。←ロイター
SDRという紙幣やコインがあるわけではない。外国為替市場で通貨としてSDRが売買されているわけでもない。
具体的な使用例としては、財政危機に直面したギリシャが保有するSDRを利用する形でIMFから支援を受ける、あるいは、IMFへの融資返済に使うといったケースである。
IMFから加盟国に配分されたSDRはドル換算で3000億ドル弱に過ぎず、世界の外貨準備高全体(約11.3兆ドル)の3%にも満たない。
SDRそのものが限界のある存在であることから、人民元がSDRの構成通貨となるといっても、短期的には直接的な影響は少ないだろう。
しかし、中国経済が抱える構造的な調整圧力に照らしてみれば、自由化や規制緩和が進む過程では、中国からの資本逃避圧力が高まるリスクもある。
また、米国の利上げがいよいよ始まる中で、中国の金融緩和はまだまだ続く。米中の金利差面からは人民元安圧力がかかってもおかしくない。このようなリスクもありえる。
現実には、世界の外貨準備に占める人民元の割合は現状ではわずか1%程度に過ぎず、中国は2020年までに人民元の国際化を図り、上海を国際金融センターとして発展させることを計画している。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)もそうした動きの一環と言えよう。
20年頃までに外貨準備における人民元の割合が、例えば10%程度、すわわち、現状のユーロの半分程度の割合にまで高まることも十分あり得よう。
しかし、人民元の実力は正直言って未知数だ。
その潜在力を考えれば、日本でも個人の資産運用や企業の資金調達などにおいて人民元が選択肢として検討されることがあって良い。
そのためにも、まずは人民元決済が実施できる枠組みの整備が課題である。←NHKなど
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