政府はマイナンバーカードの普及を目的に、<2021年4月末までにマイナンバーカードを申請した方、すでにマイナンバーカードを取得されている方が、マイナンバーカードを使い、マイナポイントを申込み、指定のキャッシュレス決済を利用した場合、利用額の25%、最大5000円分のポイントが還元される>事業に昨年9月から取り組んでいた。→こちらの政府サイト
総選挙後、自民・公明両党は、新型コロナウイルス感染拡大に対応するための経済対策のうち、マイナンバーカード保有者への「マイナポイント」付与について、新たにカードを取得した人に5000円分、カードを健康保険証として使うための手続きをした人に7500円分、預貯金口座とのひも付けをした人に7500円分をそれぞれ支給する(最大で2万円を支給)最終調整に入った。→こちらなどのニュース
例えば、4人家族全員では、(5,000+7,500+7,500)x4=最大80,000円に相当するポイントを得ることができる。
でも、下記のようにまだマイナンバーカードの普及率は低い。
男女・年齢別の交付枚数率を見ると、85歳以上の女性と19歳までの男女が低いことが分かる。
高齢者に対しては従来どおり、自治体が主催する出張イベントや個別訪問でアプローチできるかもしれない。
問題は高校生までの学生・子どもだ。
通学定期券の購入時や、学生・こどもを対象としたスマートフォンの「学割」申し込み時などは、学生証が必要。公立小学校や幼稚園・保育園は学生証を発行しないので、代わりに子どもの生年月日を証明する書類として、健康保険証、住民票、母子手帳などの提示が求められる。
こうした学生・子どもこそ、顔写真の入ったマイナンバーカードを作成し、本人確認に使える身分証を確保するべきではないだろうか。
「マイナンバーカードの有効期限が通常より短い(通常は発行から10回目の誕生日まで有効のところ、5回目の誕生日まで)」「乳幼児は規定に沿った顔写真の撮影が難しい」といった問題点はあるものの、男女計の交付枚数率が35%以下の「0~4歳」「5~9歳」「10~14歳」「15~19歳」の子の親権者に対し、子のマイナンバーカードの交付申請を促さない限り、国が目標に掲げる「ほぼ全員がマイナンバーカードをもつ」状況は難しいだろう。
普及率が遅れている理由の典型的な誤解は「カードを持つと個人情報が国に把握される」というものだ。
SNSでは「たった5000円のポイントで国に情報を握られたくない」などといった書き込みが目立つ。ただ総務省の担当者は「カードの発行で国や自治体が新たな個人情報を取得することはない」と話す。
こうした誤解は、「マイナンバー」と「マイナンバーカード」を混同していることから生じているとみられる。
マイナンバーカードは希望者にのみ交付されるプラスチック製のカードだが、マイナンバーはすでに全国民に割り振られている12桁の番号だ。
国や市区町村などは行政サービスを行う過程で、国民の所得や就業、健康など多くの情報を持っており、こうした情報を番号を使って組織横断的に連携させれば、より充実した行政サービスが提供できるようになることから導入された。
つまり、一部の人が懸念するような個人情報の連携はカードの発行の有無に関わらず、すでに行われているのだ。
ただ、仮にカードを落としてマイナンバーが他人に知られたとしても、顔写真付きの身分証や暗証番号がなければ、個人情報を見ることはできない。銀行のキャッシュカードも拾っただけでは口座から現金が下せないのと同じだ。
政府のマイナポイント事業の広報を見ていると、“お得”な点を強調するあまり、本質的な議論が欠落しているようにも見える。本格的な普及を目指すなら、マイナンバーカードの必要性や、社会にもたらすメリット、安全対策などについて改めて周知し、理解を得る取り組みが不可欠だ。
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