「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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「桂春院」(けいしゅんいん)

2006年03月15日 21時57分19秒 | 古都逍遥「京都篇」
洛西の禅苑、臨済宗正法大本山妙心寺(みょうしんじ)は、大徳寺山大燈国師の弟子無相大師が師の推薦により、花園上皇の帰依をうけて1337年に開創した名刹。
 応仁の乱によって焼失し、後、後土御門天皇の勅によって雪江宗深禅師が中興した。山内には幾多の塔頭寺院が建立され、「桂春院」もその一つである。

 慶長3年(1598)6月に織田信忠(織田信長の長男1557-1582)の次男、津田秀則(1625歿)により見性院として創建。秀則歿後、美濃の豪族、石河壱岐守源貞政(1575-1657)が寛永9年(1632)亡父光政(1583歿)の50年忌にあたり追善供養のために、桂南守仙和尚(石河光成の二男1589-1664)を請じて、現在の方丈、庫裡、書院、茶室等の建物を完備し、両親の法名天仙守桂大禅定門の桂と裳陰妙春大姉の春の二文字をとって桂春院とあらためられた。
 庭園(名勝・史跡)は江戸時代の作庭で、方丈南庭、東庭、書院前庭の3つに分かれ、三様の趣きを持ち、飛び石伝いに続く。書院の東北隅に、藤村庸軒ゆかりの草庵風茶室「既白庵」がある。

 「桂春院」の額筆は、天間独立の筆によるもの。襖絵はすべて狩野山楽の弟子、狩野山雪(1590-1651)の筆による水墨画で、山水、枯木の鵜、芦に泊り船、仏字人物雪の図、東の間は芦原の落雁、雪竹に茅屋の図、西の間は老松に滝根笹の図などあり、静寂を秘めた美がそこにある。

 庭は「清浄の庭」、思惟(しい)の庭」(写真)、「真如の庭」、「侘びの庭」とあるが、人の訪れが少なく、格好の瞑想の場である。茶室「既白庵(きはくあん)」は、書院の背後に隠れるようにひっそりとある。天井は床前が長片天井で、点前畳上は網代の落天井、にじり口の上は竹捶の掛込天井となっている。うらぶれた寂びを漂わせている。
 「妙心寺」の名刹の第一は「退蔵院」で、是非訪ねて見られることをお薦めします。また、夏は「東竹院」は夏椿の名所としても知られている。随分昔に、両院を訪ねているが、またの時に紹介しよう。

 所在地:京都市右京区花園寺ノ中町11。
 交通:JR花園下車、徒歩約20分。市バスで妙心寺北門前/妙心寺前下車、徒歩約5分。京都バスで妙心寺前下車、徒歩約10分。
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