「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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「京都霊山護国神社」(ごこくじんじゃ)

2006年03月06日 21時16分47秒 | 古都逍遥「京都篇」
 八坂神社から清水寺へと続く二寧坂、それと交差する高台寺参道にかかると維新の道と愛称される坂道がある。東山山麓へと向かって勾配のある坂だ。この上り詰めたところに護国神社があり、小高い丘へと続いている。今もなお、老若男女を問わず崇拝され偲ばれている、いや、その志は日本人の失ってはならない心の指針ともなっている、ある人物の霊が祀られている丘でもある。
 その人物とは、近代日本統一の演出者「坂本龍馬」である。勤皇・佐幕と対立抗争をくりかえしていた幕末に、「日本はひとつにまとまらなければならない」という大きな視野から、新しい時代を構想していたのが坂本龍馬。薩長連合(1866年)を成立させ、海援隊を組織し、世界情勢や貿易の必要性を唱えたが、同志中岡慎太郎とともに、1867年京都近江屋で暗殺された。龍馬と慎太郎の墓が当神社の奥、丘陵に銅像と共に祀られている。

 護国神社は明治元年5月10日、明治天皇の御沙汰書を拝し創建された。
 明治10年社頭に銅碑建設の際は、勅命に依り有栖川宮幟仁親王御揮傲毫の題篆が下賜され、昭和4年には御大礼の大甞宮付属御建物を賜り、斉殿及び拝殿を建立した。社頭の荘厳は年と共に盛大になったが、昭和11年に嘉永6年以降の本府出身の英霊を悉く当社に合祀、霊山官祭招魂社造営奉賛会が組織され、新たに社殿の造営、境内の拡張が計画され、社域の拡張1500余坪、新築社殿は本殿、祝詞舎、拝殿、神饌所等12棟に及ぶ大規模造営であった。
 この時に当り国は広く全国の招魂社の制を改め、郷土出身の英霊を奉祀するために、各道府県に護国神社を指定することとなり、昭和14年4月1日「京都霊山護国神社」と改称された。
 霊山官祭招魂社において祀る祭神は549柱(平成13年10月現在の祭神数は73、011柱)あり、古くは天誅組の首将中山忠光を始めとし梁川星巌、梅田雲浜、頼三樹三郎、月照信海、来島又兵衛、久坂玄瑞、寺島忠三郎、入江九市、吉村寅太郎、平野国臣、宮部鼎蔵、真木和泉守などである。
 新選組と激しい闘争を展開していた、長州藩・桂小五郎(木戸孝允)の墓も丘陵の高台に祀られ、いまもなお洛中の平安を見守っている。

 坂本龍馬を年表で紹介しておこう。
◇1835年(天保6年) 土佐の国高知に、町人郷士坂本八平の次男として生まれる。◇53年(嘉永6年) 江戸に行き、北辰一刀流の千葉道場に入門。
◇58年(安政5年) 北辰一刀流の免許を受け、土佐に帰国。
◇61年(文久元年)武市半平太のつくった土佐勤王党に加わる。
◇62年 (文久2年)土佐を脱藩し長州へ。九州や京都に立ち寄って江戸へ行き、千葉 道場に滞在する。このころ、勝海舟の弟子となる。
◇63年(文久3年) 脱藩の罪が 許され、神戸海軍操練所の塾頭に。帰国の命令に従 わず、再び脱藩。
◇64年(元治元年)楢崎お龍と知り合う。薩摩藩の西郷隆盛と知り合う。海軍操練所が 閉ざされる。
◇65年(慶応元年)西郷隆盛と共に鹿児島へ。長州に行き、桂小五郎に薩長の和解を説 く。長崎に亀山社中をつくる。
◇66年(慶応2年)龍馬の仲立ちで、京都で薩長同盟が成立。伏見の寺田屋で幕府の役 人に襲われる。ユニオン号を率いて、幕長戦争に参加。
◇67年 (慶応3年)脱藩の罪が許され海援隊の隊長。後藤象二郎と共に京に向かう船 中で、大政奉還の「船中八策」を考案。岩倉具視に会う。大政奉還後、「新官制案」や「新政府綱領八策」をつくる。
◇同年11月15日、夕方、近江屋に中岡慎太郎が来訪し、岡本健三郎・菊屋峰吉も来  る。午後9時ごろ、岡本・峰吉は所用のため外出。その直後刺客に襲われて闘死する(享年33歳)。中岡・下僕藤吉は重傷。近江屋新助は土佐藩邸に、峰吉は陸援隊に急を 知らせる。16日、藤吉絶命する(享年25歳)。大坂に凶報達し、在坂の隊士は京都
 に急行。17日、中岡絶命(享年30歳)。18日、東山霊山に3人の遺骸を埋葬。2 6日、永井尚志、新選組局長近藤勇から事情聴取、近藤は犯行を否定。

 この山麓丘陵に立つと洛中の展望が一目で見渡せ、五山の送り火、左大文字、鳥居、舟形、妙法などが見える。だが、この丘陵、午後5時には閉門するため、残念ながら送り火をここで眺めることは許されていない。

 所在地:京都市東山区清閑寺霊前町1。
 交通:JR京都駅から市バス206系統で東山安井下車、徒歩10分。京阪
電気鉄道四条駅から徒歩25分。
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