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GSM McLAREN VALE GRENACHE SYRAH MOURVEDRE 1999

2008-09-29 06:59:45 | オーストラリア

GSM McLAREN VALE GRENACHE SYRAH MOURVEDRE 1999

(+)実家のワインセラーシリーズです。


ローズマウント社の紹介

オートレー家が経営するローズマウント・エステート。いま、豪州で大資本のワイナリーに伍して大きな成功を収めている家族経営のワイン生産者である。 年間生産量350万c/s。その3分の2を輸出する。英国や米国など海外市場での大きな成功は、需要増に対応するための新たな投資を促しており、その対象は畑や醸造所設備のみならず、マーケティング部門へのマスター・オブ・ワイン有資格者の登用など優秀な人材の配置にも及んでいる。


ローズマウントのTOP ローズマウントの歴史は1864年に遡る。ドイツから移住したカール・ブレシュトがニューサウス・ウェールズ州アッパーハンター・ヴァレーに最初の葡萄を作付けし、「ローズマウント・ヴィンヤード」と名づけたのが始まり。ブレシュトのワインは1881年のボルドー国際見本市で金メダルを獲得するなど、19世紀後半の国際的な見本市で高い評価を受けたが、後継者に恵まれなかったこともあり、1900年代初頭、ブレシュトの死とともに、葡萄園の大半は牧場になってしまった。

■ローズマウント・ルネッサンス
 ローズマウントの復興は1969年、パプア・ニューギニアでのコーヒー栽培で成功を収めたロバート・オートレーがこの土地を購入した時から始まる。オートレー家はすでに豪州で牛や馬の飼育を手がけていたが、ロバートと彼の息子たちは、この土地が葡萄栽培に適していることに着目、国際レベルのワイン生産を目標にワイン事業が開始された。
 それからおよそ30年。ロバートは慎重にワイン事業を拡大してきた。現在、ローズマウントのワイナリーは、アッパーハンター・ヴァレーにあるデンマン醸造所と、南オーストラリア州マクラーレンヴェールにあるライクロフト醸造所の2か所にある。これらの醸造所を核に、土壌やマイクロクライメットの異なる複数の自社畑約1600haを所有し、「ダイヤモンドラベル」からフラグシップボトルの「ロクスバラー」「バルモラル」「マウンテンブルー」にいたるまで、品種特性の鮮明なワインを生み出している。



■南オーストラリア州の拠点、ライクラフト
 アデレードから南におよそ50km、マクラーレンヴェールにあるライクラフト醸造所。1850年に建設された古い醸造所を、ローズマウントがプレミアムワインの需要増に対応するため、1991年に買収した同社二番目のワイナリーだ。最新式の醸造設備が導入されているが、150年前のコンクリート開放槽をそのまま使うなど、一部はオリジナルのままに、現代のワイン造りに生かしている。
 この醸造所には、マクラーレンヴェールの畑のほか、北のアデレードヒル、南のラングホーンクリーク、そしてさらに南のクーナワラの畑から葡萄が搬入される。品種はシャルドネ、セミヨン、ソーヴィニヨンブラン、リースリング、赤ではシラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、グルナッシュ、マルベックなどと非常に多彩。 ローズマウントの醸造責任者フィリップ・ショーの片腕として、ライクラフト醸造所の醸造に責任を持つ。
 マクラーレンヴェール産のカベルネ・ソーヴィニヨンは、色が濃厚で、果実味が非常に豊か。タンニンも柔らかい。「豊かなフレーバーを持っていることが、米国や英国市場で受け容れられる理由でしょう。フレーバーがしっかりしているので、アジアの料理にも合うと思います」とチャールスはいう。品種によって異なるものの、赤の発酵温度はおおむね28℃。15か月~18か月間、樽の中に置き、ラッキングは樽熟期間中にカベルネで2回、シラーズで3回おこなう。同じく、樽出しのシラーズ・グルナッシュの出来もすばらしいレベルにあり、果実香が存分に生かされている。 樽の数が全部でいくつあるかを、チャールスに聞くと、「スリーサウザンド・アンド・ナイン」と笑って答えた。約3000樽が赤ワインで、9樽がシャルドネなのだそうだ。シャルドネの樽発酵は今年の収穫から始まった。今年1月、サウスコープ社から移籍したスティーブ・チャップマンが「シャルドネのプロ」として、ここの醸造家チームに加わったからだ。シャルドネを房ごとプレスしたジュースを樽発酵、12か月~14か月樽の中に置く積もりだという。ライクラフト醸造所におけるシャルドネの新しい可能性を暗示するように、広いセラーの片隅に置かれた真新しい9個の樽が輝いて見える。チャールスの当面の関心事は2000年収穫のマクラーレンヴェール産の葡萄から造る「GSM」(グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルのブレンド)と、「トラディッショナル」(カベルネ、メルロー、プティヴェルドのブレンド)。ともに60種類以上のワインをブレンドして造る。「なにも引かずに、一つひとつを加えることで、互いに相乗効果を発揮させ、最終的に力のあるふくよかなワインにしていくのです」。数あるローズマウントのワイン群の中でも、特に料理との相性を追求したラインである。

■すぐれたシラーを生み出すバルモラル畑
 マクラーレンヴェールにあるバルモラルの畑は、ローズマウントのフラグシップワインのひとつ「バルモラル・シラー」を生み出す。西側に位置する海(セイント・ヴィンセント湾)からわずかに5km。午後になると吹きつける海からの風が、葡萄の生育期間を通じて理想的な涼しい環境をつくる。土壌は粘土層の上に石灰岩混じりの赤茶色のローム層が広がる。年間降雨量は約500mm。そのほとんどが冬の間にしか降らない。夏の日中気温は35℃になることもあり、土壌中の水分を保つために、一定の灌漑が欠かせない。海の近くだけに、地下深くから汲み上げる水には塩分が含まれている。だから、ローズマウントでは生活廃水をリサイクルして灌漑用水の一部に用いる。「リサイクル水の質は地下水よりも塩分含有量が少なく、ずっと質がよいのです」と、栽培責任者のピーター・ヘイズが教えてくれた。 バルモラル畑のシラーの葡萄樹には樹齢60年を超える樹もたくさんある。これらの樹から採れる葡萄は量的には非常に限定されるが、その分凝縮したワインになる。


■フィリップ・ショーのワイン哲学
 ローズマウントの本拠とも言うべき発祥の地がアッパーハンター・ヴァレーにあるデンマン醸造所である。デンマン醸造所では、アッパーハンター・ヴァレー、マッジー、オレンジ地区で産する葡萄をもとにワインを造る。デンマン醸造所で働く醸造家は全部で7人。そのトップが、ローズマウント・エステートのチーフワインメーカー、フィリップ・ショーだ。 今年で53歳になるフィリップは、ローズウォーシィ大学で醸造学を学ぶずっと以前、13、14歳の頃から葡萄畑に親しんできた。「この40年間、葡萄畑の外で休みをとったことはありません。南半球の畑が暇になると、北半球の畑にいますから」。フィリップは1986年にロンドンで行われた国際ワイン&スピリッツ・コンペティションで、「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのに続き、昨年はカンタス航空とワインマガジン誌から同じく「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」賞を受賞している。今回、訪問したデンマン醸造所で忙しく動き回る醸造家たちがかぶる帽子の後ろの部分には誇らしげに「Winery of the Year」の縫い取りがあった。この賞も、昨年のサンフランシスコ国際ワインコンペテイションで獲得したものだ。ローズマウントワインの受賞歴を見ると、'90年代半ば以降に限定しても世界の主要なワインコンペでの高い評価は明らかだが、とりわけ'99年のサンフランシスコでは、「バルモラル・シラー'96」「マウンテンブルー・シラーズ・カベルネ'96」「トラディショナル'96」がダブルゴールドメダルを受賞した他、リーズナブルプライスの「ダイヤモンド」を含めて全部で14のトロフィーとメダルを受賞、人気の高さを強く印象づけた。かつて、豪州の著名なワインライターが、ローズマウントをさして「いつでも、どこでも、(各種のワインコンペで)思いのままにメダルを獲得できるワイナリー」と評したことがあるが、その原動力となってきた人物の一人が、フィリップ・ショーであることは間違いない。 いま多くの醸造家は、ワイン造りにおいて葡萄の質の重要性を強調する。だが、フィリップの見解はそれとは少し違う。多くの人たちが畑こそすべて、といった言い方をするけれどと前置きして、次のように話した。
 「素材が大事であることは当然のことです。問題は優れた素材をどのように処理するかです。例えば、ふたりの料理人が同じ上等の素材を使ってポーチドエッグを造ったとしましょう。同じものができるでしょうか。どう料理するかで、味わいは変わってくるのは当然でしょう」。上質の原料を前提として、その上でどんなワインを造るか。彼の関心は一段高いところにあるようだ。
 フィリップが重視するワインの要素のひとつに「エレガント」がある。一般的にそれは、ワインのストラクチャーで決まるとされるが、彼は「ストラクチャーが弱いためにエレガントなワインができるわけではありません。軽い、重いではなく、それはバランスの良さに出発するのです。ある成分のみを抽出するのではなく、全体のバランスを重視しながらエレガントなワインに仕上げる。それが私の遣り方です」と強調する。痩せた女性がエレガントとはいえないでしょう。すべてのバランス、つまり全体の人間性が大事なのと同じですよ、と説明を加えた。
 「私には自分のゴールがある」とフィリップが言い出した。それはなにかと訊ねると、消費者の求めるワインを造ることだという。「(ローズマウントのワインでいえば)『ショー・リザーブ』より上のクラスのワインを造る。それはそれで非常に楽しいことです。しかし、量的にたくさん供給できるワインに、消費者の求めている要素を盛り込むことは、私にとって大きな挑戦であり、喜びでもあるのです」。市場からの情報を吸い上げることに熱心なフィリップは、社内からの情報のみならず、常に世界中のワイン関係者とコンタクトを欠かさない。収穫期のデンマン醸造所には世界中から多くの若い醸造家が研修のために、フィリップのもとにやってくる。今年もチリからの青年と、日本人の女性醸造家、小林敦子さんが働いていた。



■3万樽がねむる定温バリックセラー
 15℃に定温管理された樽セラーには3万個のバリックが4段重ねで積み上げられている。フレンチオークとアメリカンオークがほぼ半々。シャルドネとピノノワールはフレンチ、カベルネ、グルナッシュ、シラーはアメリカンという具合にワインの個性とワインに付与するキャラクターによって使い分ける。毎年購入する新樽は7000~8000樽。毎年これほどの新樽を購入するワイナリーは世界でも珍しいはずだ。
 アッパーハンター・ヴァレーの畑はセミヨンとシャルドネが向いているとフィリップはいう。
ロクスバラーシャルドネは、素性のよいフレーバーが感じられる。標高600mに位置するこの畑、アデレードより300kmも北になるが、標高の高い分だけ冷涼な環境で葡萄が育つ。フィリップのシャルドネのコンセプトは「樽よりもフルーツを感じさせるシャルドネ」。長い間、樽に入っていてもそれを感じさせないワイン、「オークフレーバーは隠れているべきもの」というのが、彼の基本的な考え方である。

■総延長17kmの給水パイプを敷いて
 来年から一部生産が可能になるマッジー地区カンバンドリーの畑。800haあまりの広さがあるこの畑には、赤品種の栽培適地として主にシラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローが植えられている。フィリップ・ショーがその土壌と気候を気に入って、植樹された畑だが、当初はワイン関係者からも「気が狂ったのではないか。あんなところに葡萄樹を植えて」と言われたそうだ。確かに、畑にするまでの話を聞けばそうした周囲の感想も理解できる。ローズマウントはこの畑を稼動させるために、なんと自前のダムを作り、総延長17kmに及ぶドリップパイプを畑中に張り巡らせたのだ。投資額も100万ドルを超える膨大な金額となり、葡萄園への投資としては「南半球最大の投資」といわれている。マッジー地区の栽培責任者ディヴィッド・プライスはカンバンドリーの畑について「山側に位置しているので、霜の被害も受けにくい。フィリップの気に入るフレーバー豊かな葡萄が収穫できるでしょう」。

■活気ある社風に弾みをつける数々の成功
 英国市場での販売量が過去2年間で倍増。米国では「ダイヤモンド・シラーズ」が米国シラーズ市場の74%を占めるに到った。国内市場でも業界平均を大きく超える成長率を記録...。次々に入るローズマウントの飛躍のニュースは、企業活動全体を大変活気あるものにしている。世界に230人あまり(豪州に11人)いるマスター・オブ・ワイン(MW)のうち、3人がローズマウントで働いている。そういえば、現在社長を務めるクリス・ハンコックも世界に5人しかいない名誉MWのひとりでもある。ロースマウントで働くMWの一人、ニール・ハドレーはマーケティングマネージャーの地位にある。彼は主にMWが担う同社のコミュニケーション戦略の重要性を次のように語る。「バイヤーや消費者やワイン評論家たちに対して、ローズマウントが何をしようとしているのか、同質の情報を各層にピタリと適合する形で提供すること。この仕事は高品質ワインのマーケティングに欠かせないことです」。
 国内市場と輸出市場で、積極的な販売目標を次々とクリアしつつあるローズマウント・エステート社。同社は今後4年間でさらに生産量を30%以上増やす計画を掲げている。


G S M
品種:グルナッシュ60%・シラーズ30%・ムールヴェードル10% 産地:南オーストラリア州・マクラーレンヴェール地区
香ばしいオーク樽の香りに下支えされた、生き生きとしたスパイシーな風味、 強烈なチェリーやベリー系果実のアロマがあります。 口に含むと、やわらかな口当たりとしっかりとしたタンニン分、深みのあるスパイシーな香りに、シナモンやペッパーを思わせる穏やかな風味があり、芯にプラムのような風味を感じる余韻の長い後味へと導きます。
(Rosemount Estateより)