フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 




(4日間の学会の開会と基調講演のようす)

 EAJS国際会議(リュブリャナ・スロヴェニア) でパネル発表をしてきました。

 このEAJSとは、The European Association for Japanese Studies ヨーロッパ日本研究協会)の略称で、つまりヨーロッパにおいて日本のことを研究している人たちの総合的な学会組織です。3年ごとにおこなわれる国際会議では、1000人近い研究者が集まるという大規模学会です。


(会議のポスター)

 私は1995年からこの組織に所属していますが、日本に住んでいる日本研究者であり、英語などの外国語もあまり得意ではありません。したがって、所属しているだけで、私の研究活動はもっぱら日本国内に限られてきました。
 ただ、今回は、日本の文学とテレビドラマのジェンダー研究をするヒラリア・ゴスマン教授(トリア大学・ドイツ)と日本語とドイツ語の言語分析を研究する林明子教授(中央大学・日本)のお二人から、一緒にパネル発表をしないかと誘っていただいたので、ありがたくお誘いをお受けしました。そのような経緯で、1997年ブタペスト大会以来、本当に久しぶりにこの国際学会に参加することになりました。


(政治・文学・メディア・言語など、各分科会ごとの発表と討議)

 今回も約900人の研究者がヨーロッパ各国をはじめとして、世界中の多くの国から集まりました。日本研究の最大の総合的国際会議と言ってよいでしょう。

 その中で、私たちのパネル発表は次のようなものでした。

テレビドラマ学際的分析の試み『家政婦のミタ』を例に
 [Interdisciplinary Analysis of TV Dramas: The Example of Kaseifu no Mita]

USAMI Takeshi (Chuo University, Japan):
   『家政婦のミタ』と東日本大震災
  [Kaseifu no Mita and the Great East Japan Earthquake]

Hilaria GÖSSMANN (University of Trier, Germany):
   『家政婦のミタ』のジェンダー研究による分析―「妻」の表象を中心に―
  [A Gender Analysis of Kaseifu no Mita – The Representation of ‘Wives’]

HAYASHI Akiko (Chuo University, Japan):
   『家政婦のミタ』の言語的側面―発話による人物描写とストーリー展開―
  [Linguistic Aspects of Kaseifu no Mita – Character Depiction and Story Development Through Utterances]


(初日夜におこなわれたウェルカム・パーティーのようす)

 私たちのパネル発表は、同じ『家政婦のミタ』というテレビドラマ作品を、フィクション研究、ジェンダー研究、言語研究という3人の異なる立場から考察するという趣旨でおこないました。それだけに、一つの結論を得るという目的でおこなっているものではありませんが、その分だけ、テレビドラマ研究の可能性をひらくものとして提示できればという思いがこめられています。
 幸い、多くの出席者に参加していただき、さらに参加者と私たちパネラーの間で、活発な意見交換をおこなうことができました。終了後にも多くの方から、好評の言葉をいただき、この発表をして本当によかったと思うことができました。
 このパネル発表の内容は、いずれ活字の形で残せればと思っています。


(学会がおこなわれたリュブリャナ市の美しい景色)



(学会3日目夜におこなわれたディナーのようす)



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